こんにちは。WONDERFUL GROWTH編集部です。「最近、会社で退職が増えている」「採用してもすぐに離職してしまう」といった課題は、どの企業でも少なからず耳にする問題ではないでしょうか。確かに企業である以上、一定数の退職者が出ることは避けられません。しかし、ここ数年で少子高齢化による労働人口の減少や、働き方の多様化など、雇用をめぐる状況が大きく変化してきていることをご存知でしょうか。この記事では、退職者が増える背景としての「労働市場の人口変化」「働き方の多様化」を詳しく解説しながら、その中で企業としてどのように退職防止策を実践していけばよいか、そのポイントをお伝えしていきます。1. 少子高齢化による労働市場の人口変化生産年齢人口の減少がもたらす経営リスク日本では、少子高齢化が加速度的に進んでいます。1995年には約8,000万人あった生産年齢人口(15~64歳)が、2023年には約7,480万人(総人口の約59.6%)まで減少。2013年時点(約8,060万人)から2023年にかけて約580万人の労働力が失われています。さらに、1人あたりのGDP(労働生産性)が約8万ドルと推計されるなかで、580万人の減少は年間で約4640億ドル(約68兆円)のGDP減に相当し、日本の総GDPに対して約8%のダメージを意味します。これは、企業でたとえるなら、年間何もしなくても8%の粗利や営業利益が減っていく状況に等しいともいえます。今までのように「退職が出ても、人を採用すれば補填できる」と考えるのはリスキーでしょう。優秀な人材を確保するコストは年々上昇しており、2018年度は71.5万円だった一人当たりの採用コストが、2019年度には93.6万円に増加しています。国が進める高齢者・女性・外国人採用の促進こうした労働人口の減少に対応するため、国は高齢者の就労支援や女性の社会復帰、さらには外国人採用をしやすいように各種助成金や補助金、法整備に力を注いでいます。今後は、企業の現場でも多国籍かつ多世代にわたる雇用形態が一般化し、これまでの会社組織の風景が保てなくなる可能性が非常に高いのです。2. 働き方の多様化と雇用の選択肢近年はUber Eatsやその他のシェアリングエコノミーの台頭に象徴されるように、個人が事業主(フリーランス)として働きやすい環境が整いつつあります。Uber Eatsが示す「新しい働き方」1つ目の特徴は、好きなときに自由に働ける強制力の低いワークスタイルであること。アルバイトや派遣のようにシフトに縛られず、天候や体調に合わせて柔軟に稼働できる点が魅力です。2つ目の特徴は、十分な収入を得られる人もいるという点。あるアンケート調査では、Uber Eats配達パートナー196人への調査で「配達1件あたりの平均収入が598円」「平均時給が1,324円」と報告されています。2024年時点で日本の最低賃金が最も高い東京都の1,163円を上回る数字となっているのです。組織で働くことへの「疑問」の増加従来の企業組織に勤めると、毎日8時間、同じ上司や同僚と顔を合わせる人間関係のストレスがある勤務時間や業務内容が固定的 …など一方で、副業やフリーランスなど、自分に合った働き方を自由に選べる社会が急速に整備されるなか、必ずしも大きな組織で働く必要がなくなりつつあります。こうした背景から、今後も退職率の上昇や労働力の流動化が進むことは想像に難くありません。3. 「退職者が出るのは仕方ない」では済まされない時代ここまで見てきたように、少子高齢化による労働力不足と働き方の多様化のダブルパンチが訪れている現代では、「退職は仕方ない」と片付けるのはリスクが大きいといえます。企業としては、離職率を下げ、長期定着しやすい環境づくりを行うことで、採用コストを抑えつつ優秀な人材を育成し、活躍してもらうことが肝要です。4. 不要な退職を出さないために取り組むべき3つのポイント(1) オープンなコミュニケーション環境づくり退職理由の本質を把握するには、従業員が本音を言いやすい職場環境が欠かせません。1on1ミーティングの導入チーム内の雑談や情報共有の活性化社内SNSやチャットツールでの意見交換これらを通じて従業員の声を吸い上げ、退職のサインを見逃さないようにしましょう。ただし、「わがままを聞く」のではなく、退職に至る原因を正確に把握し改善するために、コミュニケーションをオープン化するのが目的です。(2) 会社本位だけでなく、組織に所属するメリットを提示する企業にとって従業員が増えることは、生産性が上がり利益に直結するメリットがあります。しかし、従業員視点では、組織だからこそ得られる教育プログラムやキャリア形成のサポート大きなプロジェクトやリソースを活用できる点安定した給与や福利厚生、社会保険といった恩恵が期待されます。組織を活用し、自分のキャリアを伸ばしたり新しい仕事にチャレンジできる環境を提供することで、「この会社にいるメリット」を感じてもらうことが大切です。そのためにはガバナンスや評価制度の見直しも検討しましょう。(3) 採用時の見極めと丁寧なサポート体制不要な退職を減らすには、採用段階でのマッチングの精度を高めることが重要です。採用要件の明確化面接だけでなく適性検査や実技テストの導入オンボーディングプログラムの充実さらに、採用後も既存社員による育成サポートや、メンター制度の導入など、一人前に成長できる体制づくりを心がけましょう。試用期間だけで判断するのではなく、採用したからには「活躍できるまで育てる」という姿勢が必要です。現在は雇用に関わる助成金や補助金も充実しているため、採用や教育に人的工数を惜しまず投入することが大きな成果につながります。5. 退職防止につながる施策を今こそ強化しよう退職者ゼロを目指すのは難しいかもしれませんが、不要な退職者を出さない工夫は十分に可能です。長期的に定着し、戦力として活躍してくれる従業員を増やすことは、企業の生産性向上にも直結します。オープンなコミュニケーションで早期対策組織のメリットを従業員に実感してもらう採用段階から入念な見極めと教育体制の充実こうした取り組みを続けることで、少子高齢化や働き方の多様化が進むこれからの時代に対応できる、強い組織づくりが可能になるでしょう。WONDERFUL GROWTHへのお問い合わせ最後までお読みいただき、ありがとうございました。WONDERFUL GROWTH では、企業の人材定着支援や組織活性化のご相談を承っております。退職率の改善や採用コストの削減などにご興味のある方は、ぜひ下記リンクよりお気軽にお問い合わせください。WONDERFUL GROWTH へのお問い合わせはこちらから。