こんにちは。WONDERFUL GROWTH編集部です。2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの世界的な流行は、私たちの働き方や生活様式を根本から変えました。特に企業における人材育成の分野では、従来の対面型研修が実施できなくなるなど、大きな変革を余儀なくされました。日本経済団体連合会が2022年に実施した調査によれば、コロナ禍以前は企業の人材育成施策の約78%が対面形式であったのに対し、現在では約65%がオンラインやハイブリッド形式に移行していることが明らかになっています。また、厚生労働省の「令和4年度能力開発基本調査」では、企業の約82%が「コロナ禍で人材育成の方法を見直した」と回答しています。しかし、この急激な変化は単なる「オンライン化」にとどまらず、人材育成の本質や目的、手法に関する深い再考を促す機会ともなりました。本記事では、コロナ禍を経て変化した人材育成の新たな潮流と、ウィズコロナ・アフターコロナ時代における効果的な人材育成のアプローチについて解説します。経営者や人事担当者の皆様が、これからの時代に最適な人材育成戦略を構築するための一助となれば幸いです。コロナ禍で顕在化した従来型人材育成の課題まずは、コロナ禍によって明らかになった、従来の人材育成における課題を整理します。1. 集合研修への過度な依存コロナ以前の日本企業では、新入社員研修や階層別研修など、一定期間、特定の場所に集まって行う「集合研修」が人材育成の中心でした。しかし、感染拡大によってこうした集合研修の実施が困難になると、多くの企業で人材育成活動が停滞するという事態に陥りました。東京商工リサーチの調査によれば、2020年上半期には企業の約65%が「予定していた研修を中止または延期した」と回答しており、集合研修への依存度の高さが脆弱性を生んでいたことが明らかになりました。2. 一方向型コミュニケーションの限界従来の研修では、講師が一方的に知識を伝達するスタイルが主流でしたが、オンライン環境ではこうした一方向型のコミュニケーションの限界がより顕著になりました。プロジェクトデザイン社の調査(2021年)では、オンライン研修において「集中力の維持が難しい」と回答した受講者が約72%、「講師との双方向性が不足している」と感じた受講者が約68%に上りました。3. 画一的な研修設計の非効率性これまでの人材育成では、個人の習熟度や学習スタイルの違いにかかわらず、同じ内容を同じペースで学ぶ画一的な研修が主流でした。しかし、リモートワークの広がりとともに、個人の状況や環境が多様化し、こうした「一律型」の人材育成の限界が露呈しました。パーソル総合研究所の「コロナ禍における人材育成実態調査」(2022年)では、従業員の約76%が「自分のペースで学べる柔軟な学習機会を求めている」と回答しています。4. 知識偏重型学習の実効性の低さコロナ禍によるリモートワークの拡大は、「知識」だけでなく「実践力」や「自律性」の重要性を浮き彫りにしました。従来の知識伝達型の研修では、実際の業務で求められる応用力や問題解決能力の育成が十分でないことが明らかになったのです。マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポート(2021年)によれば、コロナ禍で成果を上げた企業の約65%が「知識よりもスキルと行動変容を重視した人材育成」を実施していたと報告されています。コロナ社会における人材育成の5つの新たなアプローチでは、こうした課題を踏まえて、コロナ禍を経てどのような新しい人材育成のアプローチが生まれてきたのでしょうか。以下、5つの主要な潮流を解説します。1. ブレンド型学習(ブレンディッドラーニング)の台頭変化のポイント: 単なるオンライン化ではなく、オンラインと対面の長所を組み合わせた「ブレンド型学習」が主流になりました。同期型(リアルタイム)と非同期型(オンデマンド)の学習を効果的に組み合わせることで、柔軟性と効果の両立を図るアプローチです。具体的実践例:基礎知識はオンデマンド動画で自習ディスカッションやケーススタディはリアルタイムのオンラインセッションスキル実践やネットワーキングは対面の場で実施ラーニングギルド(国際的な学習専門家団体)の2022年の調査によれば、ブレンド型アプローチを採用した企業では、従来の対面のみまたはオンラインのみの研修と比較して、学習内容の定着率が約35%向上し、コスト効率が約25%改善したという結果が出ています。2. マイクロラーニングの普及変化のポイント: 長時間の集中が必要な従来型研修から、短時間(5〜15分程度)で完結する学習単位「マイクロラーニング」へのシフトが加速しました。特に在宅勤務環境下での業務と学習の両立を支援する形で普及しています。具体的実践例:業務関連知識を2〜3分の動画にまとめたライブラリの構築スマートフォンで学べるショートクイズやフラッシュカード日々の業務の合間に取り組める「スキルスナック」の提供デロイトの調査(2023年)では、マイクロラーニングを導入した企業の従業員では、学習継続率が従来の研修と比較して約58%向上し、特にミレニアル世代とZ世代の満足度が高いことが報告されています。3. 自己主導型学習(セルフディレクテッドラーニング)の重視変化のポイント: 「企業が提供する研修を受ける」という受動的なスタイルから、従業員自身が学習内容や方法を選択・設計する「自己主導型学習」への移行が進んでいます。リモート環境下で自律性が求められる中、学習においても主体性を重視する傾向が強まっています。具体的実践例:個人の興味や業務ニーズに基づいた学習コンテンツのキュレーション学習目標設定と進捗管理をサポートするツールの提供学習コンテンツを自由に選べる学習予算や時間の付与PwCの「Future of Work」レポート(2022年)によれば、自己主導型学習をサポートする仕組みを整えた企業では、従業員のエンゲージメントが約25%向上し、自発的なスキル獲得率が約40%増加するという結果が出ています。4. 社会的学習(ソーシャルラーニング)の再構築変化のポイント: 物理的な接触が制限される中でも、人間同士の相互作用を通じた学びの重要性は変わりません。オンライン環境でも効果的な社会的学習を実現するための新たな手法が開発・導入されています。具体的実践例:バーチャルコミュニティやテーマ別チャンネルの構築オンラインピアコーチングやメンタリングの制度化共同プロジェクトベースの学習プログラムの設計アクセンチュアの調査(2022年)によれば、バーチャルな社会的学習環境を整備した企業では、従業員の知識共有が約45%増加し、組織全体の学習文化が強化されるという効果が報告されています。5. データ駆動型の個別最適化学習変化のポイント: デジタルツールの活用が進む中、学習データの収集・分析が容易になり、それに基づいた個人別の学習最適化が可能になりました。一人ひとりの強み・弱み・学習スタイルに合わせたパーソナライズド学習が広がっています。具体的実践例:AIを活用した学習プランの自動推奨個人の習熟度に応じた学習コンテンツの難易度調整リアルタイムのフィードバックとアダプティブラーニングパスIBMの研究(2023年)では、データ駆動型の個別最適化学習を導入した企業において、学習効率が平均で約42%向上し、特に複雑なスキル習得における成功率が約55%増加したという結果が出ています。コロナを経た企業の人材育成成功事例コロナ禍において人材育成を効果的に変革し、成果を上げた企業の具体例を紹介します。事例1: IT企業A社の全社的デジタルスキル底上げ課題: コロナ禍によるDX加速に対応するため、全社員のデジタルスキル向上が急務となったが、従来の集合研修では対応できなかった。アプローチ:基礎知識のマイクロラーニング化(1日15分×30日プログラム)部署横断バーチャルラーニングコミュニティの構築実務に直結したプロジェクト型学習(PBL)の導入成果:全社員の約85%が自主的に学習プログラムを完了デジタル関連プロジェクトの社内提案が前年比3倍に増加予定していた外部委託を削減し、コスト約30%削減を実現事例2: 製造業B社のグローバル人材育成プログラム刷新課題: 世界各地の拠点社員を集めた研修が不可能になり、グローバル人材育成が停滞。アプローチ:バイリンガル講師によるオンラインライブセッションと録画の併用国際バーチャルチーム単位での実課題解決プロジェクトグローバルメンターシッププログラムのオンライン化成果:研修参加者が従来の3倍に増加(時差対応で参加しやすく)異文化コミュニケーション能力の自己評価スコアが平均25%向上国際間の知識共有が活性化し、ベストプラクティスの実装が2倍に事例3: 小売業C社の現場力強化プログラム課題: 対面での接客スキル研修ができなくなり、新入社員・異動者の育成が困難に。アプローチ:VRを活用した接客シミュレーション研修の導入先輩社員による遠隔コーチングシステムの構築データ分析に基づく個別スキルギャップの可視化と学習推奨成果:研修から実践までの期間が従来の1/2に短縮顧客満足度調査のスコアが前年比12%向上新入社員の早期離職率が8%から3%に低下ウィズコロナ・アフターコロナ時代の人材育成戦略最後に、これからの時代における効果的な人材育成戦略についての提言をまとめます。1. テクノロジーと人間性のハイブリッド戦略テクノロジーの活用と人間同士の深い関わりを両立させる戦略が重要です。具体的アクション:AIやVRなどの最新テクノロジーを学習体験の強化に活用同時に、人間同士の対話や関係構築の場を意図的に設計対面とオンラインの体験を効果的に組み合わせたジャーニー設計2. 常時学習(コンティニュアスラーニング)の文化醸成特定の時期に集中して学ぶのではなく、日常的・継続的に学ぶ文化を構築することが重要です。具体的アクション:日々の業務フローに学習要素を自然に組み込む工夫学習を個人の責任ではなく組織の優先事項として位置づけ管理職の役割を「指導者」から「学習促進者」へとシフト3. レジリエンスとアダプタビリティの強化不確実性の高い環境下で求められる、変化への対応力と回復力を重視した人材育成が必要です。具体的アクション:想定外の状況への対応力を鍛えるシナリオベーストレーニング多様な視点と柔軟な思考を育む部門横断型学習機会の創出失敗から学ぶ文化を促進する心理的安全性の確保4. インパクト重視の学習評価単なる「研修実施数」や「受講率」ではなく、実際のビジネスへの影響を測定する評価へのシフトが重要です。具体的アクション:行動変容と業績向上を結びつける指標の設定学習データと業績データを統合した分析基盤の構築リアルタイムフィードバックと継続的改善のサイクル確立5. インクルーシブな学習環境の構築多様な働き方、多様なライフスタイルを持つ従業員全員が参加できる包括的な学習環境が必要です。具体的アクション:さまざまな制約(時間、場所、デバイス等)に対応した学習機会の提供異なる学習スタイルや言語・文化背景に配慮したコンテンツ設計ナレッジギャップを解消するための意図的な介入策の実施WONDERFUL GROWTHのウィズコロナ時代の人材育成支援当社WONDERFUL GROWTHでは、コロナ禍の経験を踏まえ、変化する環境に最適化した新しい人材育成プログラムを開発・提供しています。私たちのプログラムの特徴は以下の3点です:ハイブリッド型学習エコシステム:オンラインとオフラインの最適なブレンドを科学的に設計自己主導型学習とコラボレーション学習の効果的な組み合わせ日々の業務に自然に組み込める「フロー型」学習体験の提供データインテリジェンス活用:学習データの収集・分析に基づく個別最適化プログラム学習効果とビジネス成果の相関分析による投資対効果の可視化AIを活用した学習推奨とパーソナライズドフィードバックレジリエントな組織づくり支援:変化対応力を高める実践的なシナリオトレーニング組織全体の学習文化醸成のためのリーダー育成部門・階層を超えた知識共有と協働を促進する仕組みづくり実際に当社のプログラムを導入いただいた企業では、従来の研修プログラムと比較して:学習継続率が平均65%向上スキル適用度(学んだことを実務で活用する割合)が約40%増加人材育成関連コストが約30%削減という成果が得られています。コロナ禍で変化した人材育成の課題にお悩みの企業様は、ぜひ一度WONDERFUL GROWTHの新時代型人材育成プログラムをご検討ください。貴社の状況に合わせたカスタマイズプランをご提案いたします。お問い合わせはこちらからお気軽にご連絡ください。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。参考文献・令和4年度能力開発基本調査|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/104-1.html・コロナ禍における企業の人材育成実態調査|日本経済団体連合会 https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/・The Future of Learning in a Post-Pandemic World|デロイトトーマツコンサルティング https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/future-of-learning.html・コロナ禍における人材育成実態調査|パーソル総合研究所 https://rc.persol-group.co.jp/research/・Future of Work Survey 2022|PwCコンサルティング https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/future-of-work.html・日本企業のDXと人材育成に関する調査|東京商工リサーチ https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/・The Next Normal: The Future of Work After COVID-19|マッキンゼー・アンド・カンパニー https://www.mckinsey.com/featured-insights/future-of-work