⌖ Detail
はじめに
正解の見えない課題に向き合い、新しい商品やサービス、仕組みを生み出したいとき、どこから手をつければよいか迷うことがあります。そうした場面で手がかりとなる考え方が、デザイン思考です。デザイン思考は、使う人の視点に立って課題を捉え、試しながら解決策を磨き上げていく進め方を示します。本記事では、デザイン思考の意味や活用される場面、実務で役立つポイントを整理してご紹介します。
デザイン思考とは?
デザイン思考とは、利用者の視点を起点に、課題の本質を捉えて解決策を生み出す考え方を指します。もともとは、デザイナーが製品やサービスを生み出す際の発想や進め方を、幅広い課題解決に応用したものです。あらかじめ正解を決めて進めるのではなく、使う人を深く理解し、試作と検証を重ねながら、より良い答えに近づいていく点に特徴があります。
デザイン思考は、いくつかの段階を行き来しながら進められます。まず利用者に寄り添ってその思いや困りごとを深く理解し、次に取り組むべき課題を定めます。続いて、自由に発想を広げて多くの案を出し、形にして試し、反応を確かめながら改善を重ねます。これらの段階は一方向に進むとは限らず、必要に応じて前の段階に戻りながら、解決策を磨いていきます。論理的に答えを導く考え方とあわせて用いることで、発想の幅が広がります。完成度よりも、まず形にして反応を得ることを重んじる点が、従来の進め方と大きく異なります。
広告
デザイン思考がよく使われるシーン
デザイン思考は、新しい商品やサービスを生み出す場面で広く活用されます。利用者が何を求め、どこに不便を感じているのかを深く理解することから始めるため、作り手の思い込みに頼らず、本当に必要とされるものに近づきやすくなります。前例のない課題や、答えが一つに定まらないテーマに取り組む際に、力を発揮します。
業務の改善や組織の課題解決にも応用されています。現場で働く人の視点に立って問題を捉え直すことで、見落とされていた本質的な課題が見えてくることがあります。研修や人材育成の場でも、利用者を理解する姿勢や、試しながら学ぶ進め方を身につける手段として取り入れられています。立場や職種を越えて協力しながら進められる点も、組織で活用しやすい理由の一つです。部門を越えて課題を共有し、立場の異なる人どうしが対話する過程そのものが、組織に学びをもたらします。
デザイン思考を理解することの重要性
デザイン思考を理解することは、変化の激しい時代に求められる課題解決の力を養うことにつながります。正解が見えにくい状況では、初めから完璧な答えを求めるよりも、試しながら改善を重ねる進め方が有効です。利用者を起点に考える姿勢は、独りよがりにならず、価値ある成果を生み出す土台になります。見込みで突き進むのではなく、利用者の声を確かめながら進めることで、無駄な手戻りを減らせます。
人材育成の観点からも、デザイン思考は意味を持ちます。相手の立場に立って物事を捉える力や、失敗を恐れずに試す姿勢は、職種を問わず役立ちます。論理的に分析する力と、自由に発想する力をつなぐ考え方として、組織の創造性を高める効果も期待できます。デザイン思考を理解することは、新たな価値を生み出す人と組織を育てることに関わります。
実務で活かすためのチェックポイント
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
— SHARE with カイシャの育成論 編集部