⌖ Detail
はじめに
従業員が自社をどの程度信頼し、「働く場所」として周囲にすすめたいと感じているか。この感覚を一つの数値としてとらえる指標が eNPS です。離職防止やエンゲージメント向上への関心が高まるなか、従業員の本音を定点的に把握する手段として、多くの企業が eNPS を取り入れ始めています。本記事では、eNPS の意味や算出方法から、実務で活用するためのポイントまでを、はじめて触れる方にも分かりやすく整理してご説明します。
eNPSとは?
eNPS(Employee Net Promoter Score)とは、従業員が自社を親しい友人や知人に「働く場所」としてどの程度すすめたいかを尋ね、その推奨度を数値化した指標です。もともとは顧客ロイヤルティを測る NPS(Net Promoter Score)という手法を、米アップル社が従業員向けに転用したことで広く知られるようになりました。
測定方法はシンプルです。「あなたは現在の職場を親しい人にどの程度すすめたいですか」という質問に対し、従業員が0から10までの11段階で回答します。回答は、9点から10点を推奨者、7点から8点を中立者、0点から6点を批判者の三つに分類します。そのうえで、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた値が eNPS です。スコアは理論上マイナス100からプラス100までの範囲を取ります。日本国内の平均はマイナス20からマイナス40程度とされ、諸外国と比べて低めに出やすい傾向があります。これは、日本人が中間的な評価を選びやすい回答傾向によるものと考えられています。
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よく使われるシーン
eNPS は、従業員エンゲージメントの状態を継続的に把握する場面で広く用いられます。代表的なのは、年に一度の従業員意識調査や、月次・四半期ごとに実施するパルスサーベイへの組み込みです。設問数が少なく回答者の負担が軽いため、頻度の高い測定にも適しています。
また、部署別・拠点別・入社年次別にスコアを比較することで、組織のどこに課題が偏っているかを可視化する用途にも活用されます。人事施策や制度変更の前後でスコアの変化を追えば、施策の効果検証にもつながります。近年では、離職の予兆を早期にとらえる指標として、退職リスクの高い層を特定するために役立てる企業も増えています。
たとえば、四半期ごとに全社で eNPS を測定している企業では、特定の部署だけスコアが大きく落ち込んだ際に、その部署の業務量や上司との関係性に課題がないかを個別に確認し、早期の対策につなげるといった使い方がなされています。数値の変化を起点に対話の場を設けることで、問題が深刻化する前に手を打ちやすくなります。
eNPSを理解することの重要性
eNPS が注目される背景には、従業員満足度(ES)だけでは組織の実態をとらえきれないという課題があります。満足度が高くても、それが必ずしも「人にすすめたい」という前向きな行動意欲につながるとは限りません。eNPS は、満足を超えた推奨という一段深い心理をとらえるため、定着やエンゲージメントとの相関が高いとされています。
さらに、eNPS は単一の設問で測れるため、経年での比較や部署間の比較がしやすいという利点があります。数値という共通言語で組織の状態を語れることは、経営層と現場が課題認識を共有するうえでも有効です。ただし、スコアそのものよりも、その背後にある理由を自由記述などで拾い上げ、具体的な改善につなげる姿勢が重要になります。
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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