ジョブ・カードとは?ジョブ・カードとは、厚生労働省が推進している制度で、個人の職業能力や職務経歴、学習履歴、キャリアプランなどを一元的に記録・整理するためのキャリア形成支援ツールです。正式には「ジョブ・カード制度」と呼ばれ、求職者の就職活動支援や、在職者のキャリア開発・職業訓練に活用されます。履歴書や職務経歴書とは異なり、単なる過去の経歴だけでなく、将来のキャリアビジョンやスキル向上のための学習計画まで含めた“キャリアの見える化”を目的としています。ジョブ・カードの構成と主な項目ジョブ・カードは以下の4つの基本シートで構成されており、状況に応じて必要なシートを作成します。キャリアプランシート 将来の働き方や目標、今後取り組みたい業務や必要なスキルなど、本人の意欲やビジョンを整理するシート。職務経歴シート これまでの職歴、業務内容、成果などを記録する、いわゆる「職務経歴書」に近い情報をまとめたもの。職業能力証明シート 取得資格、研修受講歴、社内評価、自己申告によるスキルなど、能力に関する客観的な証拠を記載する。免許・資格・学習歴シート 学校教育や資格試験、職業訓練など、学びに関する履歴を記載。スキルアップの過程を可視化します。よく使われるビジネスシーン再就職支援・転職活動の場面:「ジョブ・カードを活用することで、スキルの整理と自己PRがスムーズにできる」キャリアコンサルティングや研修時の事前準備:「事前にジョブ・カードを作成することで、面談が効果的に進む」企業の採用活動における書類選考:「職務経歴だけでなく、キャリア意識や能力開発意欲も把握可能」企業内の人材育成・評価制度との連携:「従業員のキャリア開発支援ツールとして活用し、社内ジョブローテーションや研修計画に反映」ジョブ・カードのメリットキャリアの棚卸しができる 自分の経験やスキルを整理することで、強みや課題を明確にできます。就職活動で自己PRに活用できる 履歴書では伝えきれない、仕事に対する考え方や成長意欲を補足的に伝えられます。キャリアコンサルタントとの面談が深まる 面談のベースとなる情報が事前に可視化されているため、より具体的なアドバイスが得られます。スキル開発・能力向上に役立つ 自分に足りないスキルが明確になることで、研修や資格取得の計画を立てやすくなります。人事担当者が押さえておくべきポイント社内のキャリア面談ツールとして活用可能:評価面談や自己申告制度と組み合わせることで、社員の意欲や成長意識を把握しやすくなります。企業内キャリア支援のベース資料になる:本人のキャリア志向と会社の人材戦略をすり合わせるための資料として有効です。雇用調整助成金や人材開発支援助成金の申請要件として活用できる場合もある:人材育成や職業訓練の効果を可視化する証拠資料となるため、制度活用にも役立ちます。まとめジョブ・カードとは、働く人の経験・スキル・価値観・将来の目標を可視化し、キャリア形成を支援するための国の制度ツールです。求職者の就職支援だけでなく、在職者のキャリア開発、企業内の人材育成にも活用でき、個人と組織の成長をつなぐ橋渡しとして注目されています。人事担当者としては、ジョブ・カードの意義を理解し、自社内の面談・研修・人材配置計画と組み合わせることで、より戦略的な人材マネジメントが実現できるでしょう。