産休とは?産休とは、「産前産後休業(さんぜんさんごきゅうぎょう)」の略称で、女性労働者が出産前後に取得できる法定の休業制度のことです。労働基準法第65条により定められており、妊娠・出産という大きなライフイベントに際して、心身の健康を守りつつ、安心して職場に復帰できる環境を整えることを目的としています。産休は「取得する権利」であり、雇用形態(正社員・契約社員・パートなど)にかかわらず、一定の条件を満たせば誰でも利用できます。産休の期間とルール産休には、「産前休業」と「産後休業」の2つの期間があります。■ 産前休業(予定日の6週間前から)出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得可能です。本人の申し出があれば取得でき、会社は拒否できません。■ 産後休業(出産翌日から8週間)出産の翌日から8週間(56日間)は原則として働かせてはいけません。ただし、産後6週間を経過した時点で、本人が希望し、医師が就業可能と認めた場合は、働くことが可能です。よく使われるビジネスシーン社内通知や制度説明:「産休に入る社員の業務引き継ぎをお願いします」人事制度のガイドライン:「産休取得後は育児休業への移行も可能です」採用・労務管理:「産休・育休中の社会保険料免除や給与支給に関する説明」ダイバーシティ施策:「女性社員が安心して産休を取得できる職場づくりを推進」産休中の給与と社会保険産休期間中は、原則として会社からの給与は支払われませんが、以下のような給付制度があります。■ 出産手当金(健康保険から支給)健康保険に加入している場合、産休期間中に標準報酬日額の2/3相当額が支給されます。支給対象は、会社を休んで給与が支払われていない日数分。■ 出産育児一時金健康保険または国民健康保険に加入していれば、出産1児につき原則50万円(2023年度時点)が支給されます。産休と育休の違い比較項目産休育休対象者出産する女性男女問わず、子を育てる親取得可能期間出産前6週間〜出産後8週間原則として子が1歳(条件により最長2歳)まで給付出産手当金、出産育児一時金育児休業給付金(雇用保険)産休終了後、引き続き育児休業を取得することで、長期的に職場と育児を両立できる環境を整えることが可能です。人事担当者が押さえておくべきポイント産休取得者の業務引き継ぎ計画とフォロー体制を整備すること休業中の社会保険・雇用保険の取り扱いを正確に理解しておくこと休業取得前・復職前の面談やコミュニケーションを丁寧に行うこと育児休業とのスムーズな連携を考慮した制度設計を行うこと法改正に応じて最新情報をキャッチアップし、社内ルールを更新することまとめ産休とは、出産前後の女性社員が安心して身体を休め、将来的に職場復帰するための大切な制度です。企業にとっては、出産という人生の転機を迎える社員を支えることで、多様な人材の活躍を促し、離職を防ぐ効果もあります。人事担当者としては、制度の正確な理解と適切な運用に加え、職場全体で産休を支える風土づくりを推進することが求められます。