プレゼンティーイズムとは?意味・原因・対策をわかりやすく解説プレゼンティーイズム(Presenteeism)とは、体調が万全でない、精神的に不調である、または集中できない状態で出勤し、十分にパフォーマンスを発揮できていない状態を指します。出勤はしている(present)にもかかわらず、本来の生産性を出せていないことから、この言葉が生まれました。プレゼンティーイズムの定義と背景用語意味プレゼンティーイズム出勤しているが、心身の不調やストレスにより、生産性が低下している状態アブセンティーイズム欠勤・長期休職など、職場に不在の状態プレゼンティー vs アブセンティー出勤はしているが働けていない vs 出勤していない近年の調査では、プレゼンティーイズムはアブセンティーイズムよりも経済的損失が大きいと指摘されています。プレゼンティーイズムが発生する主な原因分類具体例身体的な問題慢性的な頭痛、アレルギー、腰痛、睡眠不足など精神的な不調ストレス、不安、軽度のうつ、燃え尽き症候群(バーンアウト)など職場環境人間関係の悪化、過重労働、ハラスメント、職務不明確など組織文化「休む=悪」「無理してでも出勤すべき」という同調圧力プレゼンティーイズムが企業にもたらす影響影響内容生産性の低下業務効率が下がり、ミスや判断ミスのリスクが増加チーム全体の負荷増加本人の低パフォーマンスをカバーするため、周囲の負担が増える離職リスクの上昇不調が放置されることで、モチベーションの低下や退職につながる顧客対応の質低下対応のミスや態度の乱れによって、顧客満足度に悪影響を与えるプレゼンティーイズムの見えにくさとリスクプレゼンティーイズムは、「出勤している」ために人事・上司が気づきにくく、放置されがちです。しかし、組織の見えない損失として積み重なり、結果的にパフォーマンスや利益に大きく影響します。プレゼンティーイズム対策のポイント1. 健康経営の推進定期健康診断の活用メンタルヘルスチェック(ストレスチェック制度など)産業医・保健師との連携2. 心理的安全性のある職場づくり上司・同僚との信頼関係「無理せず相談できる」風土の醸成ハラスメント防止や1on1の定期実施3. 柔軟な働き方の導入リモートワーク、フレックスタイム制の活用体調に合わせた時差出勤や業務調整の仕組み4. 上司・人事の早期発見力の強化表情、態度、仕事の進め方などの変化に気づく「最近どう?」という雑談を通じた声かけの習慣化プレゼンティーイズムの評価・測定方法数値での把握は難しいものの、以下のような方法で間接的に測定することが可能です。方法内容自己記入式アンケート「過去1週間の集中力や疲労感」などを可視化健康経営度調査経済産業省などが提供する評価指標の活用ワーク・エンゲージメント調査モチベーションや没頭度などのスコア化日報・1on1記録の振り返り仕事量・パフォーマンスの変化を定点観測プレゼンティーイズムが注目される理由人的資本経営が重視される今、従業員の健康状態やパフォーマンス管理が経営課題となっているメンタル不調の潜在化により、見えないコストが増大している働き方の多様化により、管理職が従業員の状態を把握しづらくなっているまとめ:プレゼンティーイズムは「出勤の裏側にある“見えない損失”」プレゼンティーイズムは、「会社に来ているから大丈夫」と思われがちな盲点ですが、組織にとって深刻なパフォーマンスリスクをはらんでいます。社員一人ひとりの状態を正しく理解し、休むことを“悪”とせず、無理をさせない仕組みづくりが、組織の持続的成長に不可欠です。