昇給とは?昇給とは、従業員の給与(基本給や時給など)が増額されることを指します。企業においては、定期的な評価や勤続年数、業績、能力向上などに応じて給与を引き上げる仕組みが設けられており、その一環として「昇給」は重要な人事制度のひとつです。従業員のモチベーション向上や定着率の維持にもつながるため、経営戦略上も欠かせない取り組みです。昇給の主な種類昇給には大きく分けて以下の3種類があります。定期昇給(定昇) 毎年1回など、決まった時期に全社員を対象に行われる昇給です。年齢や勤続年数に応じた昇給が基本で、日本企業では最も一般的な方式です。成果昇給(能力・業績昇給) 業績評価やスキル評価に基づいて行われる昇給で、職務成果や目標達成度によって増額幅が決まります。実力主義の企業で多く導入されています。昇進昇給 役職や等級の昇格にともない、責任範囲が広がることに応じて給与が増額されるケースです。課長・部長などへの昇進時によく見られます。昇給がよく使われるシーン人事評価のタイミングで:「今回の評価結果に基づき、来月から基本給を5,000円昇給します」など。人事制度の説明資料にて:「等級制度に基づく昇給ルールは以下の通りです」など。労使交渉・春闘の場面で:労働組合からの昇給要求が交渉テーマになることもあります。求人票や採用活動において:「昇給あり(年1回)」といった文言で待遇の良さをアピールする場面。昇給の平均水準(参考)企業や業界によって異なりますが、以下は一般的な目安です。定期昇給の平均:3,000円〜6,000円程度/年昇進昇給の場合:1万円以上の増額となることも多い賃金引き上げ率(賃上げ率):2%前後が全体平均(※経済団体や労働組合の調査より)昇給制度を設計・運用する際のポイント評価制度との連動 公正な評価をもとに昇給を決定することで、納得感のある運用が可能になります。財務バランスの配慮 昇給原資を適切に管理し、企業の経営状況と照らし合わせて持続可能な制度とすることが重要です。社内の透明性を確保 昇給基準やタイミング、評価方法を社内に周知することで、信頼性の高い人事制度を構築できます。インフレ・物価変動への対応 生活コストの上昇を踏まえたベースアップ(基本給の底上げ)も、近年では重視されています。昇給と賞与・昇格の違い用語概要給与への影響昇給給与の恒常的な増額毎月の給与が上がる賞与(ボーナス)一時的な支給年に数回の特別手当昇格等級や役職の引き上げ昇給や手当の増額に連動する場合が多いまとめ昇給とは、従業員の貢献や成長を評価し、給与に反映させる仕組みであり、働くモチベーションを高める重要な人事施策です。企業にとっては、適切な昇給制度を設けることが、人材の定着や採用競争力の強化にもつながります。人事担当者としては、公平性と納得感を重視した昇給設計を行い、社員一人ひとりのキャリア形成と企業の成長を両立させる視点が求められます。