自己効力感とは?自己効力感とは、「自分はある行動をうまくやり遂げられる」「目標を達成できる能力が自分にはある」と信じる自己の能力に対する確信のことを指します。英語では「Self-efficacy(セルフ・エフィカシー)」と表現され、心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された概念です。ビジネスの現場では、行動力・達成意欲・ストレス耐性などに大きく影響する重要な心理要素として、注目されています。自己効力感が高い人は、難しい課題や初めての業務に対しても「自分ならできる」という前向きな気持ちで取り組む傾向があります。一方で、自己効力感が低い人は、同じ能力を持っていたとしても、自信が持てず行動に移せないケースが多く、パフォーマンスに大きな差が出ることがあります。自己効力感とビジネスパフォーマンスの関係自己効力感は、職場における以下のような行動と深く関係しています。チャレンジ精神:高い目標にも前向きに挑戦できる粘り強さ:困難な状況でも諦めずに取り組む学習意欲:新しいスキルや知識を積極的に習得しようとするストレス対処能力:プレッシャーの中でも冷静に対応できる特に、変化の激しい現代のビジネス環境においては、「できるかどうか」より「できると信じられるか」が成果を左右する要因になると言われています。よく使われるシーン「この研修は、若手社員の自己効力感を高めることを目的としています」「成功体験を重ねることで、リーダーとしての自己効力感が育ってきた」「自己効力感の低い社員には、小さな目標の達成を積み重ねてもらっています」自己効力感を高める方法自己効力感は先天的なものではなく、後天的に高めることが可能です。特に人事やマネジメントにおいては、社員の自己効力感を高める関わりが重要です。成功体験の積み重ね 最も効果的なのは「自分でやり遂げた」という経験です。小さな成功を繰り返すことで、確実に自信が育ちます。他者の成功を見せる(代理経験) 近しい立場の同僚や先輩が成果を出しているのを見ることで、「自分にもできるかもしれない」と感じやすくなります。励ましやフィードバック(言語的説得) 上司や同僚からの前向きな言葉が、「やればできる」という意識を支える力になります。心身の状態の安定 過度なストレスや疲労があると、自己効力感は下がりやすくなります。健康管理や職場環境の整備も間接的な支援策です。自己効力感と人事施策の関係人事担当者は、自己効力感を育てる仕組みを制度や研修、マネジメント文化の中に組み込むことが重要です。たとえば以下のような施策があります。OJTやメンター制度による伴走支援キャリア面談での成長実感の可視化成果ではなく「努力・工夫のプロセス」を評価する人事制度チームでの成功体験の共有による心理的安全性の醸成まとめ自己効力感とは、「自分はできる」と信じる力であり、行動の質や成果に直結するビジネススキルの土台です。人事やマネジメントにおいては、社員の自己効力感を高める仕組みを意図的に設計することが、人材の成長・定着・組織の活性化につながります。日常の関わりの中で「やればできる」を引き出し、社員一人ひとりの潜在能力を引き出す視点がますます重要となっています。