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シチュエーショナル・リーダーシップ

Reading シチュエーショナル・リーダーシップEnglish Situational

シチュエーショナル・リーダーシップ(Situational Leadership、状況対応型リーダーシップ)とは、部下の発達段階や状況に応じて、リーダーが取るべき関わり方を柔軟に変えるべきだとする考え方です。米国の経営学者ポール・ハーシー(Paul Hersey)とケン・ブランチャード(Ken Blanchard)が1969年に提唱したリーダーシップ理論で、その後ブランチャードらによってSL II(Situational Leadership II)として体系化され、世界的に研修プログラムとして普及しました。基本的な枠組みは、部下の発達段階を能力(スキル)と意欲(コミットメント)の2軸で4段階に分類し、それぞれに対応するリーダー行動を「指示的行動」と「支援的行動」の組み合わせで使い分けるというものです。具体的には、能力低・意欲高の段階(典型的には新人期)には「指示型」で具体的な指示を密に与え、能力中・意欲低の段階(壁にぶつかる時期)には「コーチ型」で指示と支援を併せて行い、能力高・意欲変動の段階(自走期)には「支援型」で意思決定を支え、能力高・意欲高の段階(自律期)には「委任型」で権限を委ねる、という流れになります。重要なのは、4つのスタイルに優劣があるわけではなく、部下の状況に合致したスタイルを選択することが優れたマネジメントだとする視座です。

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シチュエーショナル・リーダーシップとは?意味・使い方・実務での活かし方を解説

最終更新日: 2026-05-21 / カテゴリ: マネジメント / 英語表記: Situational Leadership

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はじめに

「同じマネジメントの仕方では、すべての部下に合わない」「新人と熟練者では、必要な関わり方が違うのに、リーダー側の引き出しが少ない」――こうした問題意識から関心が高まっているのが、シチュエーショナル・リーダーシップという考え方です。本記事では、シチュエーショナル・リーダーシップの意味、活用シーン、実務上の留意点を、人事担当者の視点で整理します。

シチュエーショナル・リーダーシップとは?

シチュエーショナル・リーダーシップ(Situational Leadership、状況対応型リーダーシップ)とは、部下の発達段階や状況に応じて、リーダーが取るべき関わり方を柔軟に変えるべきだとする考え方です。米国の経営学者ポール・ハーシー(Paul Hersey)とケン・ブランチャード(Ken Blanchard)が1969年に提唱したリーダーシップ理論で、その後ブランチャードらによってSL II(Situational Leadership II)として体系化され、世界的に研修プログラムとして普及しました。基本的な枠組みは、部下の発達段階を能力(スキル)と意欲(コミットメント)の2軸で4段階に分類し、それぞれに対応するリーダー行動を「指示的行動」と「支援的行動」の組み合わせで使い分けるというものです。具体的には、能力低・意欲高の段階(典型的には新人期)には「指示型」で具体的な指示を密に与え、能力中・意欲低の段階(壁にぶつかる時期)には「コーチ型」で指示と支援を併せて行い、能力高・意欲変動の段階(自走期)には「支援型」で意思決定を支え、能力高・意欲高の段階(自律期)には「委任型」で権限を委ねる、という流れになります。重要なのは、4つのスタイルに優劣があるわけではなく、部下の状況に合致したスタイルを選択することが優れたマネジメントだとする視座です。

シチュエーショナル・リーダーシップがよく使われるシーン

シチュエーショナル・リーダーシップは、管理職研修や日々のマネジメント実践の文脈で活用されます。

新任管理職の育成*: 部下マネジメントの基本的な考え方として、研修プログラムの中核に組み込まれる場面が多くあります。

個別のマネジメント課題への対応*: 「特定の部下にどう関わるべきか」を整理する場面で、診断ツールとして用いられます。

チーム内の役割分担設計*: 同じチームのなかでも、メンバーごとに発達段階が異なることを踏まえた関わり方の設計に活用されます。

1on1の質向上*: 部下の状況に応じて1on1の対話スタイルを切り替える指針として参照されます。

OJT指導者育成*: 新人指導の担当者が、指示・支援のバランスを学ぶ場面で重要な観点となります。

シチュエーショナル・リーダーシップを理解することの重要性

シチュエーショナル・リーダーシップを正しく理解することは、マネジメント品質と人材育成にとって重要な意味を持ちます。

部下の発達に応じた支援*: 各段階で最も必要な関わり方を取れるため、人材の成長速度が高まります。

リーダーの引き出し拡大*: 自分の得意なスタイルだけに頼らず、状況に応じて使い分ける柔軟性が身につきます。

チーム内の不公平感の抑制*: 「部下によって関わり方を変える」ことの理論的根拠を共有することで、画一的扱いへの過剰な期待を解消できます。

マネジメント言語の共有*: チームや組織のなかで、部下の状況を語る共通言語を持てるようになります。

実務で活かすためのチェックポイント

シチュエーショナル・リーダーシップを自社の現場で活用する際には、次のような観点で確認すると、運用の精度が高まります。

  1. 4つのスタイル(指示型・コーチ型・支援型・委任型)を機械的に当てはめるのではなく、業務単位・スキル単位で部下の発達段階を見極める習慣を持つ
  2. 同じ部下でも、業務領域によって発達段階は異なる前提に立ち、「ある業務では指示型・別の業務では委任型」という使い分けの感覚を育てる
  3. リーダー自身が陥りがちなスタイルの偏り(指示型に偏りすぎる、委任型に偏りすぎる等)を自覚するための診断機会を設ける
  4. 部下との対話のなかで、本人の自己認識(自分は今この業務でどのレベルか)を聞き、リーダー側の見立てとすり合わせる
  5. 管理職研修・1on1ハンドブック・評価フィードバックの場面に、シチュエーショナル・リーダーシップの語彙を組み込み、組織内の共通言語化を進める

よくある質問(FAQ)

Q. シチュエーショナル・リーダーシップと、状況対応型ではない他のリーダーシップ理論との違いは何でしょうか?

A. リーダーシップ研究の歴史を踏まえると、シチュエーショナル・リーダーシップの位置づけがより明確になります。20世紀前半までのリーダーシップ研究は、優れたリーダーが持つ「特性」(生まれ持った資質)を探す方向で進められました(特性理論)。次に、優れたリーダーが取る「行動」を分類しようとする研究が進みました(行動理論)。しかし、どちらの研究も、ある状況で有効なリーダーシップが別の状況では有効でない例が多数あることを十分に説明できませんでした。そこで1960年代以降に発展したのが、状況によって有効なリーダーシップは変わるとする「条件適合理論(コンティンジェンシー理論)」の系譜で、シチュエーショナル・リーダーシップはその代表的理論の一つです。他の代表的理論には、フィードラーの条件適合理論、ハウスのパス・ゴール理論などがあります。シチュエーショナル・リーダーシップは、部下の発達段階という観点に焦点を絞った点と、実務的に使いやすい4スタイルの枠組みを示した点で、研修プログラムとして広く普及しました。

Q. シチュエーショナル・リーダーシップを実践する際に、よくある失敗パターンはありますか?

A. 実務でよく見られる失敗パターンは、いくつかあります。第一に、部下を「指示型タイプの人」「支援型タイプの人」というように、人単位で固定的にラベル付けしてしまう誤用です。実際には、同じ部下でも業務領域や成熟度に応じて発達段階は変動するため、業務単位で見極めるのが本来の使い方です。第二に、リーダーが自分の得意スタイル(多くは指示型または支援型)に偏ったまま、すべての部下に同じ関わり方をしてしまうケースです。理論を知ってはいても、行動が変わっていない状態です。第三に、部下の発達段階を見誤り、自律期の部下に過剰な指示を出して意欲を下げる、新人期の部下に委任しすぎて混乱を招くといったミスマッチを起こすケースです。第四に、診断ツールに頼りすぎて、本人との対話なしに発達段階を決めつけてしまう運用です。これらを避けるためには、業務単位での見極め、リーダー自身の偏りの自覚、部下との対話によるすり合わせ、定期的な見直しといった運用設計が重要となります。

まとめ

シチュエーショナル・リーダーシップとは、部下の発達段階や状況に応じてリーダーの関わり方を柔軟に変えるべきだとする考え方で、ハーシーとブランチャードが提唱した状況対応型リーダーシップ理論です。指示型・コーチ型・支援型・委任型の4スタイルを、部下の能力と意欲に応じて使い分ける枠組みが特徴で、新任管理職育成・1on1運営・OJT指導の各場面で広く活用されています。業務単位での発達段階の見極め、リーダー自身の偏りの自覚、部下との対話によるすり合わせ、組織内の共通言語化という観点で、自社に合った活かし方を設計することが望まれます。

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