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ティール組織とは?意味・使い方・実務での活かし方を解説
最終更新日: 2026-05-16 / カテゴリ: マネジメント / 英語表記: Teal Organization
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はじめに
「ピラミッド型の指揮命令系統では、変化の速い時代に対応しきれない」「現場が自律的に判断・行動できる組織にしたい」──こうした問題意識から関心が高まっているのが、フレデリック・ラルーが提唱した「ティール組織」の概念です。本記事では、ティール組織の意味、活用シーン、実務上の留意点を、人事担当者の視点で整理します。
ティール組織とは?
ティール組織(Teal Organization)とは、組織コンサルタントのフレデリック・ラルー(Frederic Laloux)が2014年の著書『Reinventing Organizations』で提唱した、進化型と呼ばれる新しい組織のあり方を指す概念です。ラルーは人類史における組織モデルを「衝動型(赤)」「順応型(琥珀)」「達成型(オレンジ)」「多元型(緑)」「進化型(ティール)」という色で表現される段階に整理し、最も新しい段階としてティール(青緑)を位置づけました。ティール組織には3つの中核的な特徴があります。第一に「セルフマネジメント(自主経営)」──固定的な上下関係ではなく、必要に応じて役割と意思決定権が流動的に分散される組織運営です。第二に「ホールネス(全体性)」──社員が職務上の役割だけでなく、感情・価値観・人間としての全体性を持って職場に存在することを認める文化です。第三に「エボリューショナリーパーパス(進化する目的)」──組織は固定的なミッションを掲げるのではなく、進化し続ける目的に耳を澄まし、それに応える存在として捉えられます。
ティール組織がよく使われるシーン
ティール組織は、組織変革・新規事業・スタートアップ経営の議論で頻繁に参照されます。
組織変革プロジェクト*: 既存のピラミッド型組織の限界を議論し、自律分散型へ移行する方向性を検討する場面で活用されます。
新規事業・スタートアップ*: 規模拡大に伴って階層型に移行するのか、自律分散型を維持するのかという経営判断の議論で取り上げられます。
エンゲージメント・心理的安全性の向上*: ホールネスの考え方を、職場文化づくりの参照軸として活用するケースがあります。
パーパス経営の議論*: 進化する目的という概念を、ミッション・ビジョン議論の刺激として取り入れる場面で参照されます。
若手社員の育成・登用*: 役職に縛られない役割設計の発想として、人事制度の見直し議論で言及されます。
ティール組織を理解することの重要性
ティール組織を正しく理解することは、組織設計・人事制度の選択肢を広げるうえで重要な意味を持ちます。
組織モデルの相対化*: 階層型組織を当然の前提とせず、複数の組織モデルから選択する視点が得られます。
自律性の設計指針*: 現場への意思決定権限委譲を進める際の理論的支柱となります。
人間としての全体性への配慮*: 職務役割を超えた人間理解が、心理的安全性とエンゲージメントを高める文化を支えます。
変化に強い組織設計*: 中央集権的な指示系統に頼らず、現場の知恵が組織判断に反映される仕組みを構築できます。
実務で活かすためのチェックポイント
ティール組織の発想を自社の現場で活用する際には、次のような観点で確認すると、運用の精度が高まります。
- ティール組織の全要素を一度に導入しようとせず、自社の現状に合わせて「自律的な意思決定範囲の拡大」など部分的な要素から段階導入する
- セルフマネジメントを掲げる場合、意思決定プロセスの透明化(誰がどう決めたかの可視化)と、責任の所在を明確にする運用ルールを併設する
- ホールネスの考え方を表面的な「弱みも見せられる文化」のスローガンに留めず、評価・処遇・人事プロセスにおいても整合的に運用する
- 階層型組織からの過渡期には、現場マネージャーへの役割再定義と研修を十分に行い、混乱や属人化を防ぐ
- ラルーの提唱を絶対視せず、批判的視点(過度な理想化、規模拡大時の課題、文化依存性など)も併せて理解したうえで自社への適用範囲を判断する
よくある質問(FAQ)
Q. ティール組織は、どんな企業にも適用できるのでしょうか?
A. 一律に推奨できるモデルではなく、企業の置かれた事業環境・規模・歴史・文化との適合性を慎重に検討する必要があります。ラルー自身も、ティール組織を「進化の到達点」として絶対視するものではなく、組織のあり方の多様性を理解する枠組みとして位置づけています。実務上は、規制産業・大規模製造業・厳格な品質管理が求められる業種では、完全なセルフマネジメントの導入は現実的でない場合が多く、業務内容に応じた部分導入が一般的なアプローチとなっています。逆に、知的サービス業、デザイン・クリエイティブ領域、研究開発組織など、現場の自律的判断が成果に直結する業務領域では、ティール組織の要素を取り入れる意義が大きいとされています。重要なのは、流行に乗って導入するのではなく、自社の事業特性と人材特性に照らして取り入れる要素と程度を主体的に判断することです。
Q. ティール組織を導入した企業の実例には、どのようなものがありますか?
A. ラルーの著書では、オランダの訪問看護組織ビュートゾルフ(Buurtzorg)、米国のトマト加工会社モーニング・スター(Morning Star)、米国のソフトウェア企業バルブ(Valve)など複数の実例が紹介されています。日本国内でも、自律分散型組織の運営を志向する複数の企業(ITサービス業、コンサルティング業、教育業等)が事例として参照されています。これらの事例に共通するのは、創業者・経営層の強い哲学的コミットメントがあること、特定の事業特性(プロジェクト単位の業務、専門職中心、サービス品質が個人の判断に依存する等)がセルフマネジメントと親和的であること、そして長い時間をかけて文化を醸成してきたことです。実例の表層を模倣するのではなく、自社の文脈との接続を考えながら学ぶ姿勢が求められます。
まとめ
ティール組織とは、フレデリック・ラルーが提唱した、セルフマネジメント・ホールネス・進化する目的を中核とする進化型の組織モデルを指す概念です。階層型組織を当然視せず、現場への意思決定権限委譲、職務役割を超えた人間理解、固定的でないミッション観という3つの軸で組織を再構想するための理論的枠組みとして広く参照されています。導入にあたっては全要素の一括移行ではなく、自社の事業特性と人材特性に照らした段階的・部分的な適用が現実解となります。
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関連情報
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