嘱託とは?嘱託(しょくたく)とは、企業や団体などが特定の業務や職務を依頼するために、一定期間・条件のもとで雇用する働き方やその雇用形態を指します。一般的には、定年退職後に再雇用される人や、専門的な知識・技能を持つ人材を業務委託的に活用する際に用いられるケースが多いです。嘱託は正社員や契約社員とは異なり、柔軟な雇用形態をとることができるため、高齢者雇用や専門職活用の場面で重宝されます。また、企業にとっては人件費や雇用管理の負担を軽減できる一方で、本人にとってもライフスタイルやスキルに応じた働き方ができる点がメリットです。よく使われるシーンや背景定年後再雇用制度の一環としての「嘱託社員」 60歳などで定年退職した社員を、本人の希望と会社のニーズに応じて「嘱託」という形で再雇用するケースは、特に大企業を中心に広く導入されています。専門職・技術職への業務委託的な契約 弁護士・医師・エンジニア・コンサルタントなど、専門性が高い業務に限定して「嘱託契約」を結ぶケースもあります。期間限定プロジェクトや外部委員会などでの起用 社外有識者を「嘱託顧問」や「嘱託委員」として任命し、助言や評価に関わってもらう場合にも使われます。嘱託と他の雇用形態の違い雇用形態特徴正社員無期雇用・フルタイムで、福利厚生や昇給・賞与制度が整備されている契約社員有期雇用で、契約期間終了後に更新の可能性がある嘱託社員有期または更新制の雇用で、定年後の再雇用や専門職としての活用が中心業務委託雇用関係を結ばず、業務ごとに報酬が支払われる契約(請負)「嘱託」という言葉はあいまいに使われがちですが、法的には労働契約が存在する場合も多く、給与や社会保険の取り扱いなどで契約社員とほぼ同様の扱いとなるケースもあります。嘱託社員に関する留意点(人事担当者向け)契約内容の明確化 業務内容、雇用期間、勤務条件、更新の可否などを契約書で明記しておくことが重要です。就業規則の整備 嘱託社員にも適用される社内規定や待遇のガイドラインを明文化しておくことで、トラブルを防げます。役割設計と評価制度の適用 正社員と同様に成果を上げる嘱託社員も多いため、公平な評価と処遇の仕組みが求められます。定年後再雇用との連携 高年齢者雇用安定法などの法制度を踏まえ、定年後のキャリアパスの一環として活用する場合には、キャリア支援や再教育の施策もあわせて検討することが推奨されます。まとめ嘱託は、柔軟かつ目的に応じた人材活用を可能にする雇用形態の一つです。特に高年齢者の雇用継続や専門職の短期活用に適しており、企業の人事戦略においても重要な選択肢となります。人事担当者としては、嘱託契約の適正な運用と職場での活躍を支える仕組みを整えることで、多様な人材活用と組織の持続的成長を実現することが期待されます。