自己都合退職とは?自己都合退職とは、従業員が自らの意思で会社を辞めることを指す退職形態です。会社からの解雇や契約満了による退職とは異なり、転職、家庭の事情、健康上の理由、キャリアチェンジ、留学、独立など、本人の判断や事情に基づいて行われる退職である点が特徴です。企業の人事担当者にとっては、退職手続きの中でも最も一般的に対応するケースの一つです。自己都合退職の手続きとルール自己都合退職は、労働者が退職の意思表示を行い、それに基づいて退職日を決定するというプロセスを踏みます。日本では、民法により「退職の申し出から原則2週間後に退職可能」とされていますが、就業規則で「1か月前までの申し出」などと定めている企業も多く、実際の退職日調整には企業側との協議が必要となることが一般的です。自己都合退職と会社都合退職の違い比較項目自己都合退職会社都合退職原因本人の意思会社側の事情(解雇、倒産、整理など)失業保険の給付給付開始まで原則7日+2か月の待機期間給付開始は7日後から可能退職金の扱い就業規則により減額されることもある満額支給、もしくは増額される場合もあるよく使われるシーン「一身上の都合により、来月末で自己都合退職いたします」「今回の退職は自己都合となるため、失業保険の給付には待機期間があります」「自己都合退職者が増えているため、離職理由の分析を行っています」自己都合退職に関する人事上のポイント1. 退職理由のヒアリングと記録表向きは「一身上の都合」とされることが多いですが、退職面談などで真の退職理由を把握し、組織改善や離職率低下のためのデータとして活用することが重要です。2. 退職者の引き継ぎ管理突然の退職や引き継ぎ不足が業務に支障を来さないよう、マニュアル整備やチームでの共有体制を早期に構築することが求められます。3. 退職後の対応(再雇用やアルムナイ活用)自己都合退職であっても、円満に退職した社員が将来的に再入社(リターン)したり、社外アンバサダーとして関わったりする事例も増えています。人事としては、退職後も関係を維持できるような対応が望まれます。4. 社会保険・失業保険の説明退職者が次のキャリアに向けて安心して準備できるよう、社会保険の脱退手続きや、ハローワークでの失業給付の流れなど、必要な情報提供も人事の大切な役割です。まとめ自己都合退職とは、従業員が自らの判断で会社を辞める退職形態であり、転職や家庭事情、健康、キャリア設計など、その理由は多岐にわたります。人事担当者としては、単なる手続き対応にとどまらず、退職の背景を丁寧に汲み取り、組織課題の改善や人材マネジメントの強化につなげる視点が求められます。円満な退職は、企業の評判や採用力にも好影響を与えるため、最終日まで誠実に向き合う姿勢が重要です。