株式会社アシロ様の育成論カイシャの育成論について————最初に、現在人材育成についてどのようなお取り組みをされているのかを教えてください。中山様:各種制度としましては、「マナビ応援制度」や「キャリチャレ(社内異動制度)」、「弟子入り!ランチ」、「鮭アシロ(社員出戻り制度)」など様々な制度を導入しており、ここ1年~2年で組織体制を強化するため、各種制度を充実させています。「マナビ応援制度」とは、業務に関係する書籍や研修、勉強会の実施、資格取得費用(維持費用含む)の全額・または一部費用を補助するものです。「キャリチャレ(社内異動制度)」とは、社内で公募しているオープンポジションに関して、異動希望のある方と異動希望先部署の責任者が合意すれば部署異動ができる制度です。また、公募ポジション以外にも異動したい場合&新しいポジションを作りたい場合なども、フォームから申請してもらうことで要望を伝えることができます。「弟子入り!ランチ」とは、社内コミュニケーションの促進&個人のスキルアップを目的とした制度です。制度名にも「弟子入り!」と入っていますので、同僚から仕事のノウハウを学んだり他部署のスキルを吸収するなど、この制度を通して学びを得て、組織の成長に貢献していただきたいという意図の制度です。例えば、マネジメント方法について教えてほしい、キャリチャレで異動を考えていて業務内容を聞きたいという目的で活用している社員もいます。ちなみに先輩ではなく、後輩や新入社員へ弟子入りしている事例もあり、アシロのすなおに学ぶ姿勢を象徴する制度といえるかもしれません。「鮭アシロ(社員出戻り制度)」とは、アシロを一度退職して他社で働いたり、独立して働いたりした後、再びアシロのメンバーとして雇用する制度です。また、会社として育成制度を設けてはいますが、私の個人的な考え方としては、「こうすれば人が育つ」という定義をするのは難しいと思っています。例えば、育成のためにいくつもの制度を整えたからといって、確実に企業が望む人材へ育つとは限りません。どれだけ会社側が制度を整えたり、研修を実施したとしても、最終的に必要なことは「自走する速度をあげること」だと考えています。そのため、あまりにも会社が望む成長から逸脱しているわけでもない場合、最低限の指摘を指導をするにとどめ、自身で改善すべきこととアクションを考えさせることで、より自走する速度を引き上げるサポートをすべきだと思います。「自走する速度を引き上げる」ということを実現するために意識してほしいことについては、会議室の名前を行動指針の言葉にしたり、当社のオリジナルパーカーにメッセージを込めたりと、日常の中に溶け込ませるように意識しています。業務の中で「次の会議は『燃え盛れ』で行うよ」と口にする機会が増えることで、組織の価値観を少しずつ浸透させています。日々の行動の中で少しずつ価値観をインプットし、「大事にすべきこと」を深層意識にインプットする狙いです。また、先ほどお話ししたこと以外にも成長できる環境の要因は、大きく2つあると思っています。1つ目は、大きな裁量と予算を預けること。2つ目は、裁量をもってチャレンジした結果、失敗をしたとしても許すこと。人は、当事者意識を持って自分で考えて行動した回数と、そこからの失敗で学んだことで成長できます。自分で「どうすべきか」という考えを持たず、行動もせず、失敗も全くしない人は絶対成長しません。そのため、現代の若者たちは成長しづらくなっている部分があるかもしれません。幼い頃から失敗をしないように大切に育てられ、失敗をしても「他のことを頑張ればいいからね」と言われてきた人が増えているのかなと感じることもあります。スマートフォンの普及も加わり、いつでも答えが得られる環境で育ってきたからこそ、自分で考える機会が失われていく中、社会に出た途端「成長しなさい」と言われても難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。だからこそ、成長できる環境や要因を、会社側で用意することが大切だと思います。また私は、自分の子供に対して「5分の価値を見つめ直せ」と伝えています。参考書やテキストの代わりに英単語帳を渡し、1日5分を使って単語を5個ずつ覚えるように伝えました。1年後には、約2,000もの英単語をほぼ全て暗記した状態になるはずです。漫然と勉強するよりも、毎日5分間集中して英単語を覚える方が、1年後の成長に大きく影響を及ぼすと考えています。社会人も同様です。1日5分だけ何かを意識して、それを365日続けることで大きな変化につながります。24時間のうち5分だけで良いのですが、実際にこれを続けることが難しいですよね。大人になるにつれて勉強や成長の機会が減るからこそ、1日5分の集中を継続する意識を社内で伝えるようにしています。————中山社長自身が過去の経験の中で成長するために必要だと感じた経験はございますか。中山様:どういう人間が資本主義の中でより豊かになっていくのか、ということを検討したことがあるのですが、非常に賢い人か、鈍感な人が該当するのではないでしょうか。世の中は、リスクを警戒する人がほとんどです。例えば、お金がなくなることへ恐怖を抱く人は多いでしょう。賢い人は、なくなるお金とリターンのバランスを解析し、堅実に成長したり実績を積み上げたりしています。一方で鈍感な人は、お金がなくなることを必要以上に恐れず、リスクがあることにも積極的にチャレンジします。世の中の代表を務めている方や成功されている方は、大抵がこの2種類に該当するのではないでしょうか。ただ、資本主義において、実は過度なリスクというものは存在しません。普通の人は過度にリスクを見積もりすぎるので、行動に移すことが難しいのです。しかし、リスクを恐れない人たちは行動に移すことをためらわず、何度も挑戦して多くの失敗を経験できます。実際に「成功者」と呼ばれる人たちは自分で考え、多くの行動回数を繰り返し、沢山の失敗を経験している人がほとんどです。この定義をベースに考えると、同じことを従業員に対して「させてあげられるかどうか」が、人材の成長にとって重要になるはずです。————挑戦環境は厳しくもあり緊張感も高いと思うのですが、そのような環境下の中で従業員の皆様にどのように育って欲しいと考えていますか。中山様:どのような環境にいても、成果を出して報酬をいただき、衣食住に困らず生活ができるような人材になって欲しいです。仮に今すぐ当社から転職しても、問題なく生活できるのであれば、誰かに必要とされている人材になっているといえるのではないでしょうか。理念について————ここまでお話をお伺いして中山社長の想いを感じたのですが、会社の理念や文化に紐づいていることがあればお伺いしたいです。中山様:当社の理念として「アシロに関わる人を誰よりも深く幸せにすることでよりよい社会の実現に貢献する。」というものを掲げています。この言葉は一見美しい言葉のように聞こえますが、実は会社を今後も存続させていくため、利益を出すために必要な言葉でもあります。人を幸せにできないと利益を出すことは難しいですし、事業だけでなく雇用を大事にしないと人材はついてきてくれません。そのため、会社を存続させたいのであれば、人を幸せにしなければいけないと考えています。————組織として関係性を構築するのに利益を出すことは重要ですが、「お金」にまつわるものに嫌悪感を抱く人も一定数いると思います。中山社長が発信する際に気をつけていることがあればお伺いしたいです。中山様:大前提として、資本主義やお金に嫌悪感を抱く人こそ、お金が大好きなのではないかと私は思っています。実際はお金というものは何か実行するための手段であり、お金に価値があるのではなく、お金を何と引き換えるかが重要です。私自身もそこまでお金を意識して生きていませんし、お金を大量に集めてもそれだけで幸せは得られません。儲かることでお金を沢山得たとしても、関わる人が不幸であれば本末転倒ですよね。私から社員に直接メッセージを伝える機会は限られており、四半期に1回の全社定例会議くらいです。組織内はレイヤー分けされているので、私が個別に直接考えや想いを伝えてしまうと、彼らの上司にとって越権行為になってしまいます。上司と社長の意見が違う場合、どちらの考えを優先すべきか混乱を招いてしまう事態も避けたいです。そのため、メッセージを伝える際には、会社としての施策として実行するようにしています。その施策の一部が、冒頭でお話しした会議室の名前や、福利厚生といった点です。日常に潜む1mmの変化を生むことで、組織全体に意識させていくきっかけを作るようにしています。————森川様と鈴木様にもお伺いしたいのですが、上司の方と関わる際や貴社で働く中で中山様のメッセージを感じる部分はありますか。鈴木様:私はオフィス移転のプロジェクトメンバーを担当しており、設計から関わっていたのですが、細かいフィードバックを中山さんから受けることがなかったのです。「自分の思うようにやってみて、最終決定だけ相談してね」という形で裁量を預けていただき、移転までさまざまなことを自分で決めています。オフィス移転プロジェクトを率いていたCFOの川村も同じような考え方で、設計やデザインは任せていただき、最終決定や大きな費用が発生する部分だけ相談していました。会社全体に、「現場を信頼して預ける」という文化が浸透しているんだなと感じます。森川様:「自走する速度を上げる」ということや「日々意識することでの行動の変化」というお話がありましたが、現場にもかなり根付いています。私は結構興味が移り変わりやすいタイプなので、色々なことにチャレンジしたいと上司に伝えています。多くのことに「やってみていいよ」と後押ししてくれますし、失敗自体をプレミアと考えており、自走しようとしている人の思いを、可能な限り叶えてくれているのではないでしょうか。そういった価値観も会社全体に根付いており、現場のチャレンジを支えになっているはずです。————想いを実際に実現していて凄いですね。一方で色んな人がいると現場も混乱してしまうと思うのですが、それはどのように防いでいるのでしょうか。中山様:それこそ、まさに評価制度に関わる部分で、「誰がその行動の責任をとっているのか」を明確にしておくことが重要です。例えばオフィス移転をする際も、メンバーの中でその役割を誰が担っているのかを明確にしておかないと、免責事項の被りが発生してしまい現場の混乱を招いてしまいます。「そのため、この事柄に対する責任はあなたにあります」と明確しておくことで、混乱も防ぐと同時に、責任と一緒に裁量と予算を預けられるのです。評価制度について————評価制度についてのお話が出てきたのですが、今回評価制度を一新したとお伺いしています。元々改訂しようというお話が上がったきっかけがあればお伺いしたいです。中山様:私は評価制度というものは永遠に完成せずに、常にアップデートされていくものだと思っています。評価制度とはそれ自体で人が育つのではなく、「会社の業績を伸ばすために誰に何を依頼するのか」「その人がどれくらい実施したら評価するのか」を定義したものです。評価には定量評価と定性評価の2種類があり、定性評価は中長期的に実施できるもの、定量評価は短期で実施できるものと考えています。これらのバランスが、評価制度を作る際には重要です。バランスを間違えてしまうと、「こんなに頑張っているのに評価してくれない」「これしか頑張っていないのに評価されすぎている」といった乖離が生まれ得るのです。今後、評価制度のアップデートを検討するとすれば、個人ごとにどういった評価をして欲しいか、パーソナルに選べると面白いかもしれません。長期的な企業の成長を考えると、短期的な成長速度が少々落ちたとしても、社員の成長にリソースを割いたほうがよい可能性があるため、評価制度こそ人材育成にとって最重要項目といっても過言ではないかもしれません。今後のアシロは、私も含めた役員や人材開発を担う組織が、評価制度をアップデートし続けられるかどうかにかかっています。————今回評価制度をアップデートしていく中で大変だったことはありますか。中山様:実はこれだけ評価制度についてお話ししてきたのですが、私は評価制度のアップデートに、直接的には関与していません(笑)先ほどからお話ししている通り、評価制度を作る際にも担当のメンバーがいるので、私は最終的な決裁に留まっていました。森川様:評価制度のアップデートは、私が担当していました。アップデートする中で非常に時間がかかった部分としては、定量評価と定性評価のバランスです。アシロは「数値に対するコミットメント」や「結果を出すために積極的にチャレンジする」という組織文化が強いのですが、定量目標と定性評価のバランスをうまくコントロールしないと、「アシロらしさ」が消えてしまうという懸念がありました。そのため、一定以上は既存の定量評価を残しつつ、人として成長・自走していけるマインドを醸成するため定性評価を入れたいので、最終的には7:3で定量評価と定性評価をしています。————定性評価の内容として貴社らしさを出すためにどのような工夫をされましたか。森川様:会議室の名前にもなっている、当社の「行動指針」を踏まえた定性目標を立てるようにしています。「チャレンジして失敗して素直に学ぶ」という大切すべきことをベースに、噛み砕いた項目を20項目ほど、「マネジメント編」「実務編」で分類分けしました。「各分類から選択した定性目標を追う」というように、システマチックに目標を組むことで、アシロらしさを残した定性目標を意識するようになり、組織としての一体感もより強まると考えました。定性目標だからといって自由に目標を立ててしまうと、評価をする側に負荷が掛かり過ぎてしまったり、本人も目的を見失ってしまったりするので、選択肢を絞ったことが今回導入した定性評価のポイントです。また、従来は各部署内で目標設定を自由に行ってもらっていたのですが、全社員の目標を人材開発グループと役員が確認し、議論する体制を新たに導入しており、各メンバーが成長できる内容になっているか、組織成長につながる目標になっているかを客観的に判断しています。————評価制度を一新して実際に変わったことなどの社員の皆様の声があればお伺いしたいです。森川様:新卒・中途共に入社から半年間は定期的に人事との面談を実施しているのですが、面談の際に、「今まで課題に感じていたことに取り組んでみようと思いました」、「定性的に自分を振り返る機会ができたので毎日やりたいことを書き出しています」といった声をいただきました。元々期待していた役割である、「社員の背中を押す」ことにつながっている実感があります。鈴木様:当社の定性評価の選択肢を見ることで、自分の中の課題が言語化され、明確になるという人も多いですね。ただ「ちゃんとしなさい」と言われ反省しても「向かうべき『ちゃんと』って何だろう」と漠然としてしまいます。こういったことも改善されるので、方針がある程度決められているというのは、若手層にとってもありがたいことだと感じています。中山様:何をすれば良いのか、何をしたら評価してもらえるのかがわからずに「頑張れ」と言われても、結局どう動くべきなのか困惑してしまいます。ただ「自走しろ」と伝えるのではなく、評価制度で自走できる仕組みづくりを行うようにしています。社員の皆様について————社員の皆様に対して感動した出来事はありますか。中山様:創業期と会社のロゴが変わったのですが、きっかけはとあるデザイナーの社員が「変えて良いですか?」と提案してくれたことでした。事前に相談があったわけでもなく、突然デザイン案を持ってきてくれた次の日から、実際にロゴが変わりました。私はそのときのことを強烈に覚えていて、社員が「これ始めて良いですか?」と言ってくれるのはもちろん、承認許可をもらう前から準備して動き出してくれるのが理想です。どうしてもベンチャー企業では、社長の存在が大きくなりがちで、トップダウンで事業が伸びるケースも少なくありません。極端な例ではありますが、当社ではいつの間にか私が社内で必要とされておらず、「全社員が全方位の最前線で挑戦を続けて自走する組織」を目指しています。DeNA創業者である、南場智子さんが提唱する「球体形組織」のイメージが近いです。私の役割は、一部が突出しないように球のバランスを取ること。将来的には球が大きくなり安定して、社長が不要な組織を作ることが私の目標です。中山社長について————中山社長の熱意やパッションを維持できる秘訣をお伺いしたいです。中山様:私自身は、誰かに語れるほどの熱量やパッションがあるとは考えていません。ただ朝起きて仕事をして、何の意識もせずご飯を食べて、何の意味もない会話をして、と何の意味もない日常を繰り返したくないと思っています。漠然とした時間を過ごすのが嫌で、最終的に人は死んでしまうからこそ、自分にとって価値があることをやりたいだけです。なので、私に熱意やパッションがあるという自覚はありません。自分にとって嫌な「意味のない日常」と「漠然とした時間」から逃げているだけなので、現実逃避なのかもしれません(笑)————お2人から見て中山社長はどのような人でしょうか。鈴木様:本人が言っている通り、良くも悪くもあまり姿を見ません。当然事業やお取引先様、社員に対する想いや責任感はあると思うのですが、基本的にはあらゆることを現場に任せてくれています。中山社長自身がエンジンとして、アシロの事業が走っている感覚はないですね。中山様: 当社の社員からすると、「今日は社長を見かけなかったな」というケースがあると思うのですが、意識的に現場には顔を出さないようにしています。本当は現場に行きたいと言う思いはありますし、熱量について社員に伝えたいことは沢山ありますが…。しかし、社長が現場にきたからといって社員の業務効率が上がるわけではないですし、現場に顔を出してしまうと、私が口を出ししたくなってしまうのです。最悪の場合は士気が下がってしまいかねないので、現場に関わり過ぎず、担当者を信頼して任せるようにしています。業務内容について————実際の業務内容についてもお伺いしたいのですが、お仕事内容や今後やっていきたい業務などがあればお伺いしたいです。中山様:組織図通りに動き、組織図通りの権限の中、それぞれの経験と能力を活かし、自走と成長を繰り返してほしいです。たとえば森川であれば、内部の人事評価や組織づくりを担当しているのですが、管理部の広報も兼任しており、現在は鈴木と2人で広報を担っています。将来的には、広報やブランディングが管理部から独立して、1つの部署として動いていける状態を彼らが作るといったケースが考えられます。森川様:私は新しいことを常にしていたいという性格なので、今までもいくつかの組織立ち上げに関わってきました。現在所属している人材開発グループも立ち上げに関わり、新規事業の人事業務にも関わっています。よく社内からは「いまは何をしてる人なんですか?」と聞かれることもあるのですが、それくらいすごく柔軟に色々なことにチャレンジさせてくれるので、転職をする必要が一切なく、好きなことに次々と挑戦しています(笑)何でもやらせてもらえるので、今後もやりたいことに挑戦していきたいです。鈴木様:私は広報をはじめてからまだ半年経っていないので、まずは広報として一人前になることが第一の挑戦です。また、先ほど森川が「転職しないで済む」と言っていましたが、会社が新規事業案や新設部署を作ることに耳を傾けてくれることは、「転職」「独立」に次ぐ「第3の選択肢」だと思っています。会社を辞めず、自分がやりたいことを、会社のお金で始められるというのは、ある意味でローリスク・ハイリターンなのではないでしょうか。中山様:会社のお金で挑戦できるのであれば、是非それを活かして失敗をして、学びまくってほしいです。私は意図的に大きな予算と大枠のゴールを与えることが多いのですが、チャレンジした結果、思ったより効果が得られなかったとしても、「この使い方では効果を得られなかった」という効果を得られます。極端な表現ですが、失敗というものは存在しません。それに会社は「この施策でミスしても会社は潰れない」とわかっているから予算を預けているので、やりたいことがあれば、どんどん行動に移していくべきです。————現在貴社で提供しているサービスが色々あると思うのですが、実際に社員の方の声から始まって急激に伸びたものはありますか。中山様:いくつかありますが、特に大きく成長したサービスは、派生メディア事業の転職関連のメディアです。(サイトURL:https://asiro.co.jp/media-career/)法律問題の相談ができる弁護士が検索できるリーガルメディアを運営する中で、労働問題に関するメディアがあり、労働問題から派生して転職ニーズがあるはずだと考え、転職サービスを紹介する広告を設置したことから始まったメディアです。当初は部署を立ち上げてまで積極的に運用していたわけではなかったのですが、半年ほど経過した際に「月間200万円くらい利益が出ている」と判明しました。そのとき、「もう少し改善したら収益性が上がるのでは」と、とある従業員が声をあげてくれてから5年ほどに経ちます。現在では派生メディア事業は年間売り上げが約10億円規模の事業(※2023年度通期決算)になり、声をあげてから現在までサービスを成長させ続けてくれた彼は執行役員を務めてくれています。11月から新規事業を開始した子会社(株式会社ヒトタス)では、派遣事業も開始しており、これも社員の提案がベースとなりました。そしてどの事業においても、アドバイスはするものの、よほどのことがない限りは口出しをせず、可能な限り現場に任せたいと考えています。採用について————「社員に任せる」という考えがお話を通して一貫していると感じたのですが、採用の入り口も気になります。どのような人に入社して欲しいと考えているのかもお伺いしたいです。中山様:「失敗したい人来てください」という形で、採用メッセージを打ち出しています。当社はチャレンジや失敗に寛容な社風なので、そういう環境を楽しむことができる人を募集しています。各部署の選考担当者も、そういった側面を採用の際にチェックしてくれているようです。森川様:面接の内容は部署ごとによりますが、私が昔所属していたWEBマーケの部署で面接を担当していた際は、キャリアビジョンを重視するようにしていました。キャリアビジョンは過去の失敗の経験を踏まえて描いているはずなので、キャリアビジョンを聞くことで、過去の失敗経験をどう乗り越えたのかもなくわかります。未来のビジョンについて————最後に、中山社長の中で優先して取り組んでいきたいことをお伺いしたいです。中山様:新しいことに取り組むことも大事ですが、まずは株主や既存のお客様を幸せにし続けられる組織を作ることです。「やりたいこと」というより「やらなくてはいけないこと」ですが、それが実現できてはじめて、私たちは新しいことに取り組むべきではないでしょうか。