株式会社ボディワークホールディングス様の育成論カイシャの育成論について————最初に、現在人材育成についてどのようなお取り組みをされているのかを教えてください。当社では20年以上前からリラクゼーションセラピストの育成をメインとした「インターン研修」を行っています。現在、店舗数は500店舗以上あり、店舗で働くセラピストの方々は必ずリラクゼーションの技術や接客を当社の研修センターで受講してから店舗で働きます。当社の研修センターは都内の神田と白金台、そして名古屋、大阪、福岡にあり、各地域からそれぞれの研修センターに集まり研修を受講していただくようにしています。当社で働くセラピストの約9割は業務委託契約を結んでいるため、会社への帰属意識を育てることが難しいです。そのため、自社でセラピストの方々へ研修を実施することで企業理念や私たちの想いなどを伝え共有する機会を設けています。そのほうが相互理解を深められると考えています。だからこそ、外部に研修を委託せず社内で研修を実施するようにしていますね。企業理念をしっかりと理解してもらった上で、ラフィネグループで働いてもらうという仕組みを当初から行っていまして、今後も社内の研修を通じてセラピストの方々の育成を図っていきたいと思っています。————社内で研修などの育成機会は定期的に提供されているのでしょうか。当社では「キャリアパスプラン」という制度を導入しています。このプランでは「インターン」、「フレッシュ」、「アドバンス」、「ゼネラル」、「チーフ」、「マスター」、「グランドマスター」の7段階のステップが用意されています。そして、それぞれのランクに上がる際にはランクアップ試験や研修を実施するという仕組みを設けています。また、働いてすぐの頃には「思っていたのと違うな」と感じて早期離職に繋がるということも多々あります。そのため、店舗に配属してから1ヶ月後には「コミュニケーション研修」を実施しています。この研修では1ヶ月間セラピストとして働いてみて感じた、「お店の課題」について話し合い「これから一緒に頑張ろう!」と乗り切っていくための研修内容となっています。そして、インターン研修を終えた2,3ヶ月後には、自身の技術や接客の仕方を再度見直すための「フレッシュセラピスト研修」を行っています。このように、それぞれの段階に応じた研修を受講できる環境を用意しています。当社ではキャリアパスのランクが上がることにより収入のベースも上がるので、積極的にスキルアップしたい方が多い傾向にあると感じています。勉強会に出てスキルを身につけ、自身のレベルが上がり、その結果、集客の増加や単価の増加に繋がるというキャリアパスの仕組みが構築されています。業務委託契約ということもあり、集客が増えれば増えるほど収入も増えるため、ランクが上がることで集客も増え、自然と収入も増えていくという好循環が生まれます。また「ブラッシュアップ勉強会」という勉強会も随時行っていて、セラピストの方々がいつでも学べる環境が当社にはあります。————学びたくなる仕組みがあって素敵ですね!その一方で、一般的には業務委託契約を結ぶ中で経験やスキルがない人をアサインするのはリスクがあると考えるケースもありますが、なぜ丁寧な育成を実現されているのでしょうか。私たちが行っている「リラクゼーション業」というのは元々世間に認知されていないところからスタートしました。そのため、まずは「リラクゼーション」の認知を拡大していきたいと思っていました。認知を広げる過程で、セラピストの技術の質を上げることや、セラピストの存在を知ってもらう必要もあります。私が店舗でセラピスト業務をしていた頃は、「リラクゼーション」という言葉すらありませんでした。「セラピストってマッサージ師だよね」と多くの方に言われたこともありました。当時、私はマッサージ師の資格を持っている訳でもなく「セラピストなんだけどなあ」と感じていたのですが、お客様にはその違いを感じてもらえるほど「セラピスト」も認知されていませんでした。だからこそ、「リラクゼーション」を通じて社会的認知を拡大していく必要があり、その実現にはセラピストの技術向上が必要不可欠だと考え、現在に至ります。多くのお客様に満足してもらうためにも、セラピストの技術レベルを向上させることが大切で、社内でも積極的に勉強会を開催していこうという考え方が生まれました。————「キャリアパスプラン」が7段階用意されていることもすごいなと感じたのですが、これは最初から7段階用意されていたのでしょうか。実は最初は3段階しかなく、それぞれのランクも「ブロンズ」、「シルバー」、「ゴールド」と呼んでいました。その後、よりランクを細かくしようとそれぞれのランクの中に「シルバー1」、「シルバー2」というように分けていました。そして現在の名称に変化したという経緯があります。ランクをより細かくした理由としては、現在の自分より少し高い目標があった方がより上を目指そうという意欲が湧きやすいと考えたからです。1つ1つのステップを高く設定してしまうと自身の成長を感じづらく、成長意欲が低下してしまいますよね。また、一気に最後のステップに上がってしまうとその後の目標もなくなってしまいます。そこで、ランクを増やすことで挑戦しやすい難易度にもなりますし、ランクが上がれば自身の成長も実感しやすいですし、次の目標にも繋がりやすいのではと思いました。しかし、最近は7段階でも足りないなと感じてきています。現在は最後のステップである「グランドマスター」の中に「スーパーグランドマスター」を設け、「グランドマスター」の中でも年間で1番活躍した人を高く評価するという仕組みを作っています。また、今後は教える人材の育成も始め「インストラクター制度」という、セラピスト自身がインストラクターとなり、技術を教えるための資格取得ができる機会を構築しています。その他にも、一定の資格を取得したセラピストのみが参画し、店舗のオーナーになることができる「のれん分け制度」もあります。このように、セラピストの方々にとっても成長することを飽きさせないための工夫を行っています。そして、今後当社で働く人たちにとって憧れを感じてもらったり、楽しみながら成長してもらえるような仕組み作りも目指しています。また、私自身が感じたようにセラピストという仕事の楽しさ、素晴らしさ、やりがいなどをセラピストの方々にも知ってもらえると嬉しいですね。————研修後早い段階で上位ステップに到達しているセラピストと交流を持つことができ、教わることができる環境は素敵ですね!研修を通じて業務のやりがいを感じてもらいたいとのことですが、それを実現するためにどのようなことを行っているかもお伺いしたいです。セラピストの仕事とはお客様に感謝される仕事だと考えています。当社の経営理念の中に「共存共栄」という言葉があります。「共存共栄」とはお互いがメリットのある関わりあいを築いていくことです。セラピストはお客様に施術を受けていただき、お金をいただくことに感謝の気持ちを伝えます。一方で、お客様からも感謝の言葉や笑顔をいただけることがあります。これはまさに「共存共栄」が成り立っていると私は感じています。この価値観を共有するため、技術だけでなく接客やホスピタリティの教育も行っています。また、私たちが大切にしている言葉の中に「ハートフルリラクゼーション」があります。これは、「おもてなしの精神」をもってお客様に接しようということです。このような教育を行うことで、多くのお客様に喜んでいただけるようなセラピストになれると考えています。————ありがとうございます。社内で行う研修は、どのくらいの頻度で実施しているのでしょうか。インターン研修は毎月定期的に開催しています。キャリアパスのための研修や試験のタイミングは人それぞれですね。当社ではセラピスト達それぞれのタイミングで実施するようにしています。例えば、「初級テスト」に合格することで、3日間の「フレッシュセラピスト研修」を受けられます。研修の流れとしては、最初の研修の1ヶ月後に先ほどもお話しした「コミュニケーション研修」を実施し、その後平均して約3ヶ月または4ヶ月後に「フレッシュセラピスト研修」を行うという流れですね。そして、その後は「ランクアップ試験」という制度に変化し、「アドバンスセラピスト」から「ゼネラルセラピスト」に上がる際など、それぞれのランクに上がる際には試験が実施されます。この試験は、実技や接客の練習も兼ねたものになります。そのため、研修のタイミングは人それぞれで頻度も変わるため、半年でランクアップする人もいれば1,2年かかる人などさまざまです。また、「チーフセラピスト」のステップに上がるためには、全国セラピスト協同組合が主催する「セラピスト中級資格」を所有している必要があります。この資格はリーダーになるための資格であり、将来的には店長職などを担うことを目的とした内容となっています。「チーフセラピスト」以上のステップになると、学びの内容にも変化がありますね。実務・実技の領域から、人を管理する領域へと移行します。そして、「セラピスト上級資格」では人に教えることを目的とした内容になり、合格した方は、今度は自身が研修を実施する立場の「インストラクター」になるためのインストラクター検定へエントリーできるようになります。この研修制度自体は約1年前にできたばかりのものなのですが、すでにインストラクターとして働かれている方もいます。インストラクターになることで、フィーが入るので、収入にも繋がる仕組みとなっています。自身のキャリアアップにおいて、飽きがこない仕組みでもあるのではと思っています。————面白い仕組みですね。三森様自身が人材育成をやろうと思われたきっかけについてもお伺いしたいです。私は元々店舗でセラピストとして働いていました。働き出して3,4年経った頃に代表の清水から「教育の仕事をやってみないか」と声をかけられたのがきっかけでした。私自身セラピストの仕事が好きだったこともあり、このきっかけがなければ今も店舗でセラピストの仕事をしていたと思います。当時私がセラピストとして3,4年ほど勤務した後、当社が運営していた接骨院に所属が変わりました。そこで院長を勤めていた人が元々セラピストの教育を担当していたのですが、その院長が退職することになりました。そして、新たな担当者を抜擢する際に、私が院長の側で仕事や技術、教え方を見ていたこともあって、声がかかったという経緯がありました。研修担当として社員になるのは役割も変わるので、受けるか非常に悩んだのですが、最終的には社員になる道を選びました。セラピストの仕事は目の前のお客様が対象で、毎月施術できるお客様は100〜150人程度と限られています。そこで、私がセラピストの研修を行い、自分と同じ価値観や技術を持ったセラピストを育成することができれば、その人が自分の分身となって150人以上のお客様に対応することができると考えました。教育する人数が増えれば増えるほど、自分自身の幅が広がるなと考え方を変えて教育を担当することに決めました。そこから教育に携わって現在は24年目になります。理念について————様々な変遷を経て今に至ったのですね。先ほども少しお話に出てきましたが、貴社がどのような理念を大切にしているのかについて改めてお伺いしたいです。当社では「会社を取り巻く総ての方々との共存共栄を大切にし新しい価値を創造します」という経営理念を掲げています。言葉としては、先ほどもお話しした「共存共栄」と「新しい価値を創造する」という2つを特に大切にしていると感じています。「共存共栄」は先ほども触れたように感謝だと私は考えています。そして「新しい価値を創造する」に関して、当社にはチャレンジ精神が強い人が多く在籍しています。研修においてもどうすれば飽きさせない工夫ができるかを考える必要がありますし、「グランドマスター」になるまで挑戦し続けることができるチャレンジ精神を培う環境を今後も大切にし、理念の体現を続けていきたいです。会社の歴史について————会社の歴史についてもお伺いしたいのですが、この理念は最初から掲げられていたものだったのでしょうか。実は、私が入社した際には経営理念がありませんでした。現在の経営理念は主に代表の体験談から生まれたと聞いています。当社の創業は「株式会社リバース東京」という会社で、温浴施設でのリラクゼーション事業を展開していました。1番最初に出店したのは福島県の「ジャンボ健康ランド」という施設でした。当時、代表の近くに住んでいた方が偶然その施設でシャンプーや石鹸などの卸業を行っていたそうで、その方は様々な温浴施設で卸業を行いコネクションが強かったこともあり、温浴施設を紹介してもらえることになりました。それが、最初に温浴施設に出店した経緯です。その後、様々な施設で当社の事業を展開していき、中には自身で新たな温浴施設を開拓していくこともありました。そして、開拓した施設を今度は自分たちが紹介するようになり、他の場面でも相互関係を持つことを大事にすることで、「共存共栄」という言葉が生まれたそうです。この経験もあり、理念には「お金ではなく情報を渡しあえる関係が大切だ」という意味も込められています。————組織が成長していく中で三森様が苦労されたことについてもお伺いしたいです。大変だった経験として思い浮かぶのは3つほどあります。1つ目は研修を担当して1,2年くらい経った頃のことで、当時都内の大型温浴施設への出店が決まっていました。大型施設への出店となると、当然研修生の人数も非常に多くなります。当時はほぼ1人で研修を行っていたので、オープン日が差し迫った中で必死に育成に注力したのですが、どうしても限界がありました。その結果、お客様からのご意見に繋がってしまい、それには相当責任を感じましたね。そこから仕組みも変わり、教える人を増やしたり営業部の方々にも協力いただいたりと、育成するための制度が構築されました。2つ目はベトナムに出店する際に苦労した経験です。2014年頃、ベトナムへの出店計画がありました。この時、言語もわからない、文化の違いもある現地で研修を行うのが大変でしたね。ただ、たまたまベトナムに当社の元セラピストがいて、協力していただくことで研修を実施できました。3つ目はコロナ禍により対面研修が実施できなくなったことですね。ちょうど新卒の研修生が非常に多い時期に感染が拡大したので、当時は対応に苦労しました。この時は対面による講師の実技講義を実施できなかったため、新たな研修方法を模索する必要がありました。研修用の動画を作成したりZoomを活用してオンラインでの研修を実施したりと試行錯誤しました。どの経験も周りの方々の支援により乗り越えられた部分もありますが、何より受講している研修生たちの頑張りが乗り越えられた1番の理由だなと感じています。社員の皆様について————実際に研修を実施して、現場で期待以上に活躍されたセラピストの方はいらっしゃいますか。今年「グランドマスター」になった方で期待以上の活躍を見せてくれています。この方は研修の時は中々成果が出せず、将来的に伸びるのか不安な状態でした。しかし、現在では私たちの研修制度の最高位にあたる「グランドマスター」になるほど成長してくれています。これは私にとっても嬉しい出来事でした。この方に限らず、例え年数がかかったとしても期待以上に活躍してくれる方はいるので、教える側としても、1人1人の素質を見ながら育てていく必要があるなと感じましたね。また、当社には「新人賞」という、その年に配属した方の中で年間の指名本数を1番とった方を表彰する制度もあります。新人賞を獲る方は必ずしも研修時期から技術力に長けている人とは限りません。実際に、技術力以外にもコミュニケーション能力に長けている方が獲ったこともあります。ある方は新卒で配属し、現在は女性管理職として業務を行っています。リラクゼーションの難しいところは技術だけあってもうまく業務ができるわけではないことです。お客様との対話の中でニーズを読み取ったり、コミュニケーションを図りながら接客する必要があるため、コミュニケーション能力を活用することの比重は大きいと思っていますね。彼女のように、店舗でのセラピスト業務を経験してから社員になるという人は約7割と多くいます。営業担当だけでなく、経理や総務、経営企画を担当されている方もセラピストから社員になっています。新卒総合職採用の場合も、必ずまず1年目はセラピストを経験します。その後、セラピストを継続される方も、総合職として勤務する方もおり、自身で選ぶことができる仕組みになっていますね。未来のビジョンについて————今後、研修としてやっていきたいと考えていることはありますか。現在の課題としては店舗で働いているセラピストたちのレベルをあげることが最優先だと思っています。そのための施策として、インストラクター制度など現場で教えることができる人をもっと増やしていくことで、全体の質を向上させることを目指していこうと考えています。日本国内の人口減少を考えると、必然的に数より質に目を向けていかなくてはいけません。また、現在はオーストラリアに出店しており、日本のサービス価格よりも高い金額をお客様からいただいています。当社の事業は海外でも通用するということを実感しているため、今後は国内だけでなく、国外にも視野を広げていきたいですね。————最後に、今後どんな方と働いていきたいですか。私自身経営理念を大事にしながら今まで業務を行ってきたということもあるため、同じ志を持った人たちがこれからもっと多く増えて欲しいなと思っています。その上で、今後も新しい価値の創造にチャレンジし続けたいと考えている人たちと、ともに働いていきたいと思いますし私自身も今後そういう価値観を持った人を育成していきたいと考えています。【株式会社ボディワークアカデミー】公式HP:https://raffine-academy.jp/【ラフィネグループ】・ラフィネブランドサイト:https://www.bodywork.co.jp/・オウンドメディア「NOW 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