株式会社リヴトラスト様の育成論育成論について————最初に、現在人材育成についてどのようなお取り組みをされているのかを教えてください。小林様:新入社員の育成には特に力を入れて取り組んでいます。例えば、新入社員研修として1週間秩父で合宿を行い即戦力になるためのプログラムを実施しました。昨年はまた違った研修プログラムを実施したのですが、その際に課題となったことは「早期に営業社員としてのプロ意識を育む機会の提供が不足していたこと」でした。簡単にいうと新卒メンバーを大事にし過ぎてしまったということですね。そこで、今年はすぐに現場で活躍したいと望んで入社してきてくれた新卒社員のために、合宿の中では一通りお客様に説明ができ商談ができる状態になることを狙いとした実践的なトレーニングを取り入れました。中には深夜まで合宿で学んだことを勉強している社員も居るほど、熱量の高い合宿になりました。川上様:入社後は1ヶ月間研修を行うのですが、まず始めに働く目的や何のために生まれ、どこを目指していくのかと言った人生の理念について話し、それぞれの考えを固めてもらいます。そして2週目は少しずつエンジンをかけ、3週目に先ほどお話しした合宿を実施します。この合宿を行うまでに3つの営業部の各責任者が商談の際に知っておいて欲しい知識を数ヶ月かけて準備していました。それを彼らには学んでもらい、覚えてもらった上でアウトプットしてもらうための確認テストなどを実施しました。知識だけ身につけても意味がないので、実際にその知識を現場でも活かせるのかを確認する機会も設けています。その際の最後のテストで全員合格することを目標にしており、小林に合否の判断をお任せしたのですが、中々厳しいジャッジだったこともあり、26名中10名が合格という結果になりました。小林のテストの前に各営業部の責任者2人にもテストを実施してもらい、そこで合格していた子たちも居るのですが、その子達も小林のテストには1からやり直してもらっていましたね。小林様:私が研修を担当した初日の雰囲気が緩んでいるなと感じたので、刺激を入れたいと思って急遽合格者も再度テストをやり直すことをプログラムに組み込みましたね。本当に意味のある実践向きの研修にするため、形だけのものではなく、実際にこの営業方法だとどうなってしまうのか想定してもらいたかったという想いもありました。————実施した研修の内容はどのようなものだったのでしょうか。小林様:ゲーム的に様々なパターンのお客様を想定して作成したくじを引いてもらい、引いたくじに書かれているお客様を想定してその場で商談を行ってもらうという研修でした。私の中では最後のテストのジャッジは優しくした方だったのですが(笑)そもそも、最初に「ゆっくり階段を登るのがいいか、厳しくても早く成長するのがいいか、どっちがいいか」と尋ねたところ、後者を希望する子が多数だったため、その意志を前提としたプログラムを組んでいますね。川上様:他にも実践的なスキルだけでなく、当社には101の営業ルールというものがあるのですが、それをインプットしてもらい、その後アウトプットするということをそれぞれ時間を設けて実施しています。研修最後の週のテーマは「営業マインドを構築すること」なので、研修後には現場に行くんだという気持ちまで持っていくことをコンセプトとしてプログラムを作成しています。当社の特徴の1つとして、1年目や2年目から1000万、2000万稼ぐチャンスがある会社ということもあり、野望を持って挑戦する若手が多く在籍しています。私はこの会社に転職してきたのですが、元々トヨタ系自動車企業出身です。前職の環境はコツコツ育成していくため、1人前になるのに3年から5年かかる環境でしたから、当社とは真逆で、入社当初は驚きもありました。その分、前職の経験を活かせる部分もあるため、その経験と当社の文化をうまく融合させながら現在人材育成に注力しています。————新入社員研修以外に階層別研修や職域ごとに分かれた研修などの施策にも取り組まれているのでしょうか。川上様:そこはまだまだ当社の課題と感じている部分もあり、現在は階層別キャリアマップを作成し、そのスキルに関して「リヴとれ」という名のeラーニング活用しながら試行錯誤している点でもあります。新卒の研修周りは完全に内製化しています。だからこそ、新卒の育成に関してはより現場が求めるものや新入社員にあったものを提供できるという良さがあると感じています。この良さを他の研修へも活かし、少しずつ様々な研修を模索していこうという段階です。————昨年の経験も活かして新たな新入社員研修の取り組みをされているとのことでしたが、実際に変化は感じられてますか。小林様:それはすごく感じていますね。昨年人事側で大事に研修を行う一方で、営業側があまりフォーカスできていなかった部分が、仕事をやる理由や意義というテーマでした。正直「稼ぎたいから当社に入社した人が多い」という認識に重きを置いていたため、それだけではないということを川上から教わり、仕事をやる理由や意義の重要性を感じ、改めてそこにもフォーカスするようになりました。そのため、今回の研修の中ではまず始めに仕事をやる理由や意義について考えてもらう機会を作りましたね。その中でも特に1番効果を感じたのは合宿研修でした。新入社員のモチベーションが高まったタイミングで合宿を実施することで、同期間の一致団結感や空気感が昨年に比べても大きく異なると感じています。熱量も非常に高いため、スタートダッシュから現在までの流れも理想的ですね。川上様:実は、昨年の新入社員研修の際にGW明けのモチベーション低下を危惧したことと、もっと実践的なスキルを磨く必要があると強く感じたため、本来1ヶ月間の研修を「さらに2週間延長したい」とお願いしたことがありました。その結果、みんな早く現場に出たいという気持ちで1ヶ月の研修を乗り越えたにも関わらず、研修を延長したことが彼らのモチベーションを下げてしまう要因になってしまいました。だからこそ、全員を研修後のスタートダッシュの波にうまく乗せる必要があることが研修の難しさだと痛感しましたね。文化について————お話をお伺いする中で研修のプログラムなども貴社の理念や文化、ビジョンに通ずるものがあるのではと感じたのですが、貴社で大事にされている思いについてもお伺いしたいです。小林様:当社の「リヴ」という社名は人生や生活という意味の「alive」という単語から真ん中3文字の「liv」を取り、お客さまの人生や生活の中心にいたいという意味が込められています。そのため、営業研修などの際にも実際にお客様に提案するのは、あくまでもお客様の人生の中心に私たちがいると考え、お客様に選んでもらえるような営業社員になろうと意識して伝えるようにしていますね。私は営業社員になる1番の動機は稼げるからだと思っていました。今も「稼ぎたい」という思いを持って営業社員になる子もいますが、その思いは私たちのイメージの稼ぎたいとは少し異なるなと感じています。川上様:社会に出て壁にぶつかることもあると思うのですが、そういう時こそ壁を乗り越えるための意義や目的が必要だからこそ、それを研修で伝えるようにしていますね。当社では現場の第一線で活躍している方から直接マネジメントを受けることができるので最高の環境だと思っています。ある企業では、1人のマネージャーにたくさんの部下がつくという方法をとっていたそうです。これは組織階層があまり分かれていないため、どのマネージャーの下につくかで受けられるマネジメントの質が変化することが多かったそうです。マネージャーの基本の優秀さに左右されてしまい、若手が育つか否か不確定な要素が多かったと聞いたことがあります。しかし、当社の場合はトッププレイヤー方だけでなく、その下に班長やリーダークラスの方がいるため、様々なマネジメントを受けながら成長できるという恵まれた環境があります。このような環境で、更に壁にぶつかった時になぜ頑張らなくてはいけないのかという頑張る理由を伝えることや、そもそも人生の目的は何かを逆算した結果、今の自分がいると思っているので、自分が目指すべき方向と会社の目指すべき方向を一致させていくことが重要になってくると思っています。————元々先輩社員たちが若手社員に対して教えるといった文化があったのでしょうか。小林様:実は、元々文化としてはありませんでした。少しずつ時間をかけて変化してきた部分はあるのですが、私が入社した当初は「営業は見て盗むもの」という考え方が主流でした。ただ、そのような文化も要因の一つとして離職に繋がっていたので、教育に注力するようになりました。しかし、今度は主体的に動くことが苦手な社員が増えるという問題が生まれてしまいました。そして、自律した社員に成長してもらうためにどうすればいいかを悩んでいたタイミングで川上が入社してくれました。現在は、その経験を踏まえて主体性と理由や意義を持って働く人材になってもらうことを狙いとした人材育成の取り組みを行っています。————意義を伝えるようになってから新入社員の方や既存社員の方に変化はありましたか。小林様:既存社員の方がより変化したなと感じています。数字上にはまだ現れていないのですが、今頑張らなくてはいけない理由などを自ら汲んで動こうとする社員が増えましたね。これは新卒の変化よりも元々在籍していた社員の心理的側面の変化に繋がっていると思います。川上様:3年経てば間違いなく文化は変わると思っているのですが、ビジネスにおいては3年丸々待ってもらうことは難しいですよね。だからこそ、変化の期間を少しでも前倒しして実現していきたいと思っています。今年の新入社員が入社したことで、社内の文化はより変化が加速していくと感じています。新卒のメンバーには毎日アファメーションしてもらっており、どうなりたいのか、そのためにどんな行動をするのかを宣言してもらっています。どうしても現場では日々数字を追う機会が多いため、数字ばかり見てしまうと自分がどこを目指していたのか、どうなりたいのかといった内発的動機付けが弱まってしまう傾向にあると感じています。社内で活躍して多くの成果を生み出せる、いわゆるスーパースターのような優秀な社員はこちらがサポートせずとも自然と内発的動機を多く生み出して行動していけるのですが、そんな人は1000人に1人くらいと稀ですよね。そのようなスーパースターを量産するには、どれだけ内側を燃やすことができるかだと思っています。これは「熱意」、「積極」、「変革」、「規律」、「感謝」といった社訓にも通ずる部分があると感じています。この理念から派生した社訓とそれぞれがどうなりたいのかを繋げることに注力しています。小林様:当社では2024年は勝負の年だと思っており、様々な仕掛けを考え、営業活動も活発化しているタイミングで熱量ある状態の新入社員だけでなく、現在積極的に採用している中途社員も入社する予定です。これらが全て噛み合った時が今から待ち遠しいですね。————人材育成に関して様々なお取り組みをされていますが、現在に至るまでに苦労されたことがあればお伺いしたいです。小林様:昨年川上に仕事や人間関係などの悩みを相談できる場として「川上クリニック」というものがあったのですが、その相談に疲れたタイミングで私のところへ川上が相談にきていました(笑)私自身、新卒の気持ちに対して共感したり理解することが難しいと感じることがあり、悩んでいたことがありました。川上様:新卒側も中々直属の上司に弱音を吐くことができないという心理がありますよね。小林様:アプローチの仕方を間違えてしまうと圧をかけられたと受け取られてしまう恐れもあるので、距離感が難しいと思っていました。そのため、最初の3,4ヶ月はずっと気を遣って接するようにしていたのですが、川上に相談することもありました。川上は突然「相談したいことがあって今から品川に来てくれませんか」と言ったらすぐ「行きます!」と返してくれるくらいフットワークが軽いです(笑)そういう積み重ねがあったからこそ、今お互いの価値観や考えを理解し合えていますね。川上様:「川上クリニック」もそうですが、こんなに現場と育成担当との距離が近く、繋がっていることは当社の強みだと思います。中には頑張っているにも関わらず、突然プツッと線が切れてメンタルや体調を崩してしまうということもありました。それを感じ取れなかったことが本当に申し訳ないと思ってしまいます。心身ともに限界に至るまでが社会的にも年々早くなっているという傾向があるのかなと感じていますね。小林様:昨年は新卒メンバーを大事にし過ぎてしまった部分も多くあったため、営業職として戦えるメンタリティを育む仕掛けを作ることも大事だと痛感しました。川上様:一方で、当社はスピードをとても大切にしているため、その日起きたことはその日の内に情報収集して、その日の内に報告するという価値観を持っています。私の前職では数日かけて対応していたのですが、当社ではレスポンスよく迅速に対応しますし、代表自身がそれを体現されているので、新卒も思っていることを発信すればすぐに動いてくれるという魅力がありますね。そして、当社には早く現場で活躍したいという社員が入社しているため、いかに早く活躍できるフィールドを私たちが作ることも重要ですね。その考えを上層部のメンバーも持っていますし、私自身の考えとして浸透してきたこともあるため、今後もっとうまく噛み合っていくのではないでしょうか。社員の皆様について————貴社の変遷や価値観などをお伺いしてきましたが、貴社で働かれている社員の皆様の中で大きく変化した方のエピソードがあればお伺いしたいです。小林様:現在、私の部下であるSとIの2人は大きく変化したと感じますね。彼らはおそらく今までうまく噛み合っていなかったことで力を発揮できていなかったと感じています。私の部下になった際に話をしたのですが、「僕は紹介といった業務ができないと思います」と言っていました。きっと過去に何回かアクションを起こしたけれど上手くいかなかったという経験もあったと思うのですが、対話を繰り返し「きっとできると思うから、こういうことをやってみよう」とか「まずはこれからやってみよう」と伝えました。そして、お客様との連絡を密にするようになったり、お客様が商品を紹介するための場に来てもらえるようなアクションを起こすようになったりしました。その結果、1年間で1件しか売れていなかった状態から毎月売れ続けるほど成果を出せるようになりました。Sは自身の意識も変わり、本人の可能性を狭めずに日々成長しているなと感じています。また、Iは気分屋の側面があったのですが、私はずっと「ポテンシャルはある」と感じていました。私の部下になった当初はただ業務をこなすだけの状態が多かったのですが、そんな中でも「この業務はIさんが担当してね」とか「これはIさんの領域だ」とIに仕事を任せる機会を増やすようにしました。最初は彼女も自分自身で完結できないこともあったのですが、私が気付き「Iさんならできるから君がやるんだよ」と伝えるようにしていました。その後徐々に自ら動くようになり、Iの業務に対する責任感が生まれてきたように感じました。そして、やったことに対しての責任も持つようになりましたね。その結果、昨年は1件しか売れなかった状態から今期開始してすぐ月3件売れるくらいまで成長しました。I自身もこの結果に「頑張ってよかったです」と言っていましたね。これは私も嬉しかったです。私自身も昨年1年間、2人にとっての仕事をやる理由を理解したり、社員に対して勝手に決めつけるのではなく挑戦させることや、伴走が大事だということを学んだからこそ、部下の育成にも活きてそれぞれの成長に繋がっているんだと感じています。会社全体でも同じような取り組みが増えるとさらに社員1人1人が成長していけるのではないかと新しく1つ見えてきましたね。今回の2人も以前よりも自分を見てくれているんだなということが伝わっているのではないでしょうか。川上様:その2人は「川上クリニック」にも何度か相談に来ており、沸々とこうしたい、ああしたいという思いは持っていました。特にIは強く感じていましたね。そのため、1週間に2,3回ほどミーティングをしていましたね(笑)結局以前の上司に対しては行動を起こす機会がないまま現在小林の元で働いているのですが、今は行動を起こせる環境を作ってもらえているため、上手く噛み合った良い環境の中で働けていますね。未来のビジョンについて————今後取り組んでいきたいことや目指していきたい目標があればお伺いしたいです。小林様:当社のオーナーも営業上がりなのですが、そもそも当社は営業社員が積極的に営業できる環境を作り上げたいという思いで立ち上がった会社でした。頑張って働いて売上をあげても歩合があまり良くなかったり、ブラック企業のような環境ではない会社を作りたいという思いでリヴグループが生まれたと言われています。そのため、営業会社であるリヴトラストに対するオーナーの思いが非常に強いです。現在は今まで通りの売上以上の成果を出さなくてはいけないというミッションが私たちにはあります。オーナーとしても、またひと花咲かせてグループ会社の中の花形に立って欲しいという思いがあるため、これがまず短期的な目標だと思っています。当社にとっても2024年は勝負の1年になると考えています。また、グループ全体では売上1000億を目指すという目標もありますね。川上様:どんどんグループも大きくなってきており、現在は300億円ほどの売上となっています。それを実現するために、早期に活躍する人材を育成し、今在籍している人たちももっと活躍できるような環境を作っていくことがミッションとなります。当社では自己実現を早期の段階から叶えられる環境があるため、幸せなことだと感じています。普通は2年目や3年目で1000万、2000万稼ぐのは難しいですよね。しかし、実際に当社のトップセールスは現在入社4年目の女性で、彼女は入社2年目から2000万稼ぐトップセールスとなっています。これはすごく夢がありますよね。————トップセールスとなっている方は元々トップセールスとしてのマインドが形成されていたのでしょうか。小林様:彼女は元々営業ではなく、CAを目指していました。しかし、コロナ禍で採用を中止していたため、憧れていたCAの道から振り切って稼ぐ道に舵を切って入社してきました。彼女自身、営業の人が持つ目標や憧れみたいなものを常に持っているというイメージがあります。そういった夢を持っていることも一因だと思うのですが、誰も支持していないにも関わらず夜遅くまで1人会社に残って勉強するなど、目的に対して「絶対達成しよう」とか「できるようになりたい」という意欲や行動力が非常に高い子でした。川上様:仕事もプライベートもやると決めたら行動に移す人材ですね。その一方で、食事の場では常に周りを見たり、取り分けたりととても気を遣える側面も持っているため、お客様から喜ばれる営業社員ですね。————最後に、お2人それぞれのビジョンをお伺いしたいです。川上様:社員1人1人がいきいきと毎日出社して、自ら考えて進んでいけるような集団を作りたいですし、当社であれば作れると思っています。従来の会社では、世間一般並みか少し多く稼げれば良いという子たちが多かったです。しかし、当社はもっと尖った人材が来てくれて、さらにその人たちに最高の教育や最高の環境を用意することで、すごい人材が集まった集団になると考えています。中々そういった集団づくりをする機会はないですよね。私が今まで在籍していた会社は「自社の商品が好き」といった会社への愛が詰まった人たちがたくさん来たから世の中に良い商品がたくさん生まれ、会社の業績も上がっていきました。それと同じように、尖った人材だけの集団が成長し続け活躍できる組織づくりを目指していきたいです。小林様:私は、営業会社なので「営業といえばリヴだよね」という代名詞になりたいです。成功している営業会社では平均年収2000万円を実現しているので、私達もそこを目指していきたいですし、そういう企業になれば「営業といえば〇〇だよね」という認知をされていると思います。同様に、当社も「営業といえばリヴだよね」と言われるような企業にしたいです。それが私の働く意義だと考えています。このビジョンが実現すると、当社で働く社員みんな会社のことが大好きになると思いますし、当社で働くことが誇りになると思います。一度きりの人生なので、そこを目指していきたいですね。