株式会社グッドマンサービス様の育成論育成論について————最初に、現在人材育成についてどのようなお取り組みをされているのかを教えてください。月花様:人材育成としては新入社員研修を始めとした一般的な取り組みを実施しているのですが、その中でも当社の特徴的な取り組みを紹介します。1つ目は、2年目以降の社員にフォーカスした教育を今後行う予定です。最初に入社した際に、新卒も中途も数ヶ月かけて一通りの業務を学ぶ研修を実施しているのですが、業務に慣れてくると最初の頃に学んだ内容を忘れてしまったり、途中で伸び悩んでしうまう人もいると思います。それが2年目3年目であることが多いと感じているのですが、中々もう一度研修を行う機会を作ることも難しいですし、上司に聞くことに対しても「今更こんなことを聞いてもいいのか」という不安もあると思っています。そこで、新たな取り組みとして、営業であれば営業のトップセールスの社員をアサインし、育成専属のチームを今後作ろうとしています。この取り組みは今期から開始する予定なのですが、講習型ではなく、マンツーマン型で常に教育できる体制にする予定です。営業の場合はトップセールスの経験がある人の動きを隣で学ぶことができるような環境づくりを今始めています。もちろん、中には伸び悩むことなく成長していく社員もいるのですが、全体の底上げとして全員を成長させるにはこういった取り組みが大切だと思います。中々成果を出せない子や伸び悩んでいる子の多くは2,3年目で離職につながってしまうケースが多くあります。離職に繋がらなくても、自信をなくしてしまったり、仕事を楽しいと思えなくなってしまったりします。だからこそ、全体の底上げが非常に重要だと考えており、会社にとっても利益がありますし、コスト的にマンツーマンで実施したとしても費用対効果としても良い結果に繋がるのではないかと思っています。この取り組みがなくても伸びる子や成果を出せる子は1年目から自分で考え行動に移し自己成長に繋げていけると思うのですが、それができない子も沢山います。その結果離職につながってしまうのはもったいないですよね。伸び悩みやすいタイミングで改めて学ぶことができる環境を作り、それでもできないから辞める決断をするのであれば仕方がないと思うのですが、2,3年目でその決断をしてしまうのはまだ早いのではないかと感じています。当社の社内の体制もコロナ禍を経て様々な歴史があったのですが、急拡大してきたというところもあるため、先輩社員もあまり経験がない人が多く、それが課題の1つとなっています。そのため、教える側に回れる人がほとんどおらず、自力でやっていける人しか伸びないという状況になってしまい、それでは会社としては望ましくないという現状もあったため、それも合わせて改善するために、経験者の社員をプレイヤーから外し、教える側に回ってもらうことにしました。ただ、これは本人からも「やりたい」と希望する声をもらったことも取り組み始めた理由としてありました。その人自身がトッププレイヤーだったため、トップより上がないということで、今度は教え、下を育てていきたいという思いを持っていたこともあり、制度として落とし込むことができましたね。2つ目は、社内ベンチャー制度の1つである「グッドアイディア365」という制度です。これは自分のやりたいことがあればアイデアを提案することができる制度です。通常であれば新規事業を作る際には企画書を書いたり事業として成功するのかを考えたり、売上予測をしたりと様々な準備が必要なため、非常に準備がかかり実現したいと思っても中々難しいですよね。だからこそ、当社ではアイデアベースで良いのでまずは提案できる機会を設けています。他にも、新規事業に限らず、何か自分でやってみたいことや会社でやってみたいこと、こんなサービスだと面白いのではという、社員自身がやりたいことやアイデアも募集しています。この制度を発表した翌日には早速「こういうことをやりたい」と提案してくれる社員もいましたね。当社の事業はクレーム産業に近い部分があり、メンタル的に大変な側面があります。そのため、業務を数年するうちに、だんだんと疲れてしまう人が結構いたり、中にはずっと営業担当や提案業務を行うということはかなりハードルが高く、管理職として管理側に回る社員もいます。ただ、全社員が同じようになれるわけでもないので、将来的に辞めてしまう人も発生します。過去には実際に3年目や4年目の社員が「会社は好きだけど仕事がきつい」と話してくれたことがありました。他にも、「会社は嫌いじゃないけどもっと新しいことをやってみたい」という声もあり、「会社が嫌い」という理由で辞めるのは仕方ないけれど、会社が好きなのに辞めてしまう社員がいるのはもったいないと思いました。特に、「会社に不満はないけれど業務に疲れてしまった」という人は優秀な社員が多く、そういう人たちが辞めてしまう環境を変えたいと考え、「グッドアイディア365」を導入しました。今日インタビューに同席している山口も新規事業のアイデアを実際に提案し、事業の1つとなっております。他にも、山口と藤田の2人が企画し、実施している「カジュアル面談」もあります。————素敵な取り組みですね。ぜひ山口様と藤田様のお2人が企画した「カジュアル面談」についてもお伺いしたいです。月花様:私が「カジュアル面談」を実施する際にすごいなと感じたのは、2人が自ら考え企画して実施するに至ったということです。「カジュアル面談」は通常の面談とは異なり、カフェスペース等でカジュアルな雑談形式で社員の本音を引き出すことを目的として、全社員と実施しています。各部署でも上長が1on1をやっているのですが、その場では中々意見が出てこないそうです。そのため、このカジュアル面談は社員の本音を引き出す機会としては非常に有効な取り組みだなと感じますね。また、当社には元々カフェスペースがなかったのですが、これもカジュアル面談がきっかけとなり生まれた場所です。そしてこのカフェスペースは面談だけでなく、お昼を食べる場所としても社員から重宝されています。カフェスペースができる前までは空いている会議室で食べていたのですが、例えば8人用の会議室だと普段交流する機会がない人同士がほぼ密室となっている空間で過ごす必要がありました。心理的にも後からやってくる人が入りづらい雰囲気があったり、来客で会議室を使用するため使えなくなったりといった状況が生まれており、「オープンなスペースが欲しい」という意見を2人が吸い上げて実現に至りました。現在のカフェスペースだと心理的にも活用しやすかったり、交流する機会がない人が隣に座っていてもリラックスしやすいですし、会議室が埋まっていることを考慮する必要がなくなるなど会社としてもより良い環境になったと感じます。こういった環境を自ら作り出したことは非常に素晴らしいなと思いました。————お2人はどういうきっかけや考えでカジュアル面談を生み出したのでしょうか。藤田様:他社さんでは1on1は一般的に行われているところが多いと思うのですが、それもほとんどは上司が担当していて、困っていることなどを話す機会になっていると思います。ただ、1on1で話した内容が評価に直結するかもしれないと思うと、本音で話すことができない人も中には居るのではないでしょうか。なので、当社のカジュアル面談はそこがミソとなっていまして、社員1人1人が小さなことでも悩んでいることを拾うことができ、最終的に人材育成に繋がることを目的とした取り組みとなっています。なんでも言葉にしてはっきり言えるメンバーもいれば、中々言えない人もいますよね。例えば、「なんで仕事が上手くいかないんだろう」と考えている社員が居たとして、話を聞くことでその理由を紐解くきっかけ作りやそこから新たな研修や注力していく取り組みのヒントになることがあります。このように、カジュアル面談がきっかけで今の人材育成に繋がってる部分があると感じています。普段の業務では中々挙げられない声が眠っているのはもちろん、そもそも自分が何に悩んでいるのかが言語化できないなど、そういった声をできるだけカジュアルな雰囲気で聞き取ることを意識して取り組んでいますね。このカジュアル面談を実施して2年ほどになるのですが、やはり1人1人の社員から話を聞くため、結構大変なこともあります。色々な話を聞くため、面談時間も1時間から場合によっては2時間など、時間がすごくかかる面もあるのですが、社員からは「カジュアル面談をやって欲しい」という声が上がっているため、今後も続けていきたいと思っています。面談から生まれた案の中には会社にとって良いものに繋がっていく可能性を秘めたものもありますし、周囲に発信できるような場があることは社員にとっても良い影響を与えていると感じます。元々当社がまだ小さい規模の会社だった頃から社長が社員の意見をどんどん吸い上げてくれることが多かったのですが、現在は規模が大きくなり、社長が吸い上げることが難しくなってきました。だからこそ、私たちが拾い上げて新たなアイデアとして展開していけたらいいなと思っています。月花様:当時このカジュアル面談を企画していた段階では社員数が少なかったのですが、現在は社員数が増えているため、以前のやり方では時間的に年間で実施するのが難しくなりました。そのため、より効率良く意見を聞ける場を作る工夫をしてくれています。山口様:現在は「パルスサーベイ」を取り入れ、月に1回アンケートを取り、半年に1回カジュアル面談を実施するという形となっています。リアルタイムでパルスサーベイの結果を見ながら話をしたり、面談で改善できるポイントを探るようにしています。————実際にパルスサーベイを取り入れてから従業員の方々のエンゲージメントが向上したり事前に問題を抑止できたなど、効果はありましたか。山口様:まだ定量的なデータは取れていないのですが、離職率が以前よりも低くなっており、効果を感じ始めています。また、現在人事のテーマの1つとして「働きがいと働きやすさを作ろう」ということを掲げているのですが、バランスの良い環境を構築しないとリスクが生まれるなと感じています。「働きやすさ」としては、リフレッシュ休暇があったり、有給の消化率が90%以上あったりと休みが取りやすくワークライフバランスがしっかり保てることが1つの指標となっており、社員の声としても良い会社だと感じてくれている人が多いです。一方でそこだけに振り切ってしまうと極端な話、「何もしなくても居れる会社」と捉えられてしまう可能性があり、これがリスクだなと感じています。だからこそ、当社で働くことで自分のキャリアがしっかり見えることや、仕事が楽しくやりがいを持てる空気感、制度と言った「業務面でのやりがい=働きがい」も同時並行で整備していく必要があると考えています。この「働きがい」と「働きやすさ」が良いバランスを保つことで、会社としてもさらに成長できると考えています。カジュアル面談などで意見を吸い上げることで「働きやすさ」の側面では自信を持って向上していると実感していますが、今後は「働きがい」の部分をどう構築していくかという部分を課題として取り組んでいく予定です。最終的には辞める人がいないという状態を作りたいですね。月花様:ずっと居たくなるような会社を作ることを目指すことが私の理念なのですが、人が増えた時に長く在籍している社員が居るのと居ないのでは全然違います。人に教えるというのはやはり経験がないとできないですよね。当社は女性社員が多く、管理職の方が居たり、結婚してお子さんを産んで復帰している方も多く在籍しています。中には時短で働いている方もいるのですが、そういった方に教える部分を担ってもらっているだけでも会社としては非常に助かっています。仮に育休や産休で2年休職していたとしても、それ以前のキャリアを活かして働いてもらえるのは助かりますし、会社としても女性社員の比率が多いので推奨していますね。実際に結婚して辞めてしまう人というのはほとんどいないです。出産をきっかけに退職される方は少なからずいるのですが、最近の流れとしては辞めずに産休に入ることが多いです。藤田様:そうですね、その後みんな戻ってきますよね。月花様:企業によっては離職によってある種若返りしたいという会社もあると思うのですが、当社としてはその人の過去のキャリアを求めています。教える面でもそうですが、新入社員にとってのキャリアモデルにもなると考えています。また、戻ってきてくれる人は基本的に会社のことも好きだと思ってくれているので、周囲のメンバーが何か相談した時にも「この会社は良い会社だよ」と社内に良い影響を与えてくれる存在にもなります。そういう存在がいるかいないかで、若い社員も辞めるか辞めないかの判断が変わってくると感じています。社内で会社の批判が多いと離職率が高い傾向になってしまうと考えていますね。————今後さらに新しく取り組んでいきたいと考えていることがあればお伺いしたいです。藤田様:2023年頃から育成に注力しているのですが、ちょうどこのタイミングでコールセンターで電話応対の経験をされてきた方や長年客室乗務員をされていてビジネスマナーに精通されている方が入社されました。こういったプロフェッショナルの領域で戦ってきたメンバーが入社してくれて、人材育成を一緒に盛り上げていこうとしています。このメンバーに加えて、先ほどお話ししたトッププレイヤーだったメンバーが営業面の教育を担当されるため、今後はさらに分野に特化した育成研修を実施していく予定です。今後もそこに比重を置き、足りていない教育や必要な育成という部分は特化したメンバーがサポートしていくようにしていきたいと考えています。山口様:私は育成のフェーズというものは3つあると思っています。1つ目はそもそもの採用の段階です。これに関しては研修では網羅できない部分を見る必要があると考えており、例えばその人の雰囲気や表情、態度、ポジティブさや素直さと言った研修では教えることができない生きてきた中で培ってきたものを見る段階だと思っています。この土台となる部分がしっかりしていなければ、いくら教育を行ったところでサボる人はサボりますし、不真面目な人は不真面目と変わりにくいですよね。そのため、まずは「こういう人材が欲しい」と言語化し、それに対して面接の段階でどのようにアプローチすれば有効なのか、あるいは面接前の面談でどれくらい相手のことを知れるのかを考える必要があると感じています。次に2つ目のインプットの段階です。当社に入社してくれた人に関して現在実施しているように、様々な研修や、育成チームによるアドバイスの機会を設け、知らないことを知ったり、より高みを目指すために自分の知識を深めてもらいます。最後がアウトプットの段階です。自身が研修や育成チームとのコミュニケーションの中で学んだことを実践する場を用意し、ただインプットして終わらせないようにする必要があります。インプットしたものをどれだけ現場で実践できるかが育成においては非常に重要だと思っています。例えば、大きい業務を任せてみたり、トラブルへの対処を自分で考えさせるのもアウトプットの際には有効だと思っています。ただ、ここで注意しないといけないのが、アウトプットをきちんとできる組織作り・自分の意見や思ったことを発言・行動しやすい空気感もセットで作らなければいけないと考えています。そのため、育成において研修をすることも重要なのですが、その大前提として「育てば活躍できる社員になる」という人材を採用し、そういう人に教育を行い、アウトプットさせてPDCAを回せる環境を構築すること、この3つの段階をどんどん回さないと、中々身にならないのかなと思っています。この辺りは人事に関する関係各所と現在やりとりを進めており、より早めにこの3段階を実践していく予定です。現時点ではまだ構想段階なのですが、ここがうまく仕組み化できればあとはインプット、アウトプットを行き来すればどんどんスキルが上がっていくと思っています。その結果、それぞれの社員が成長すると自分のキャリアもある程度見えてくると思うので、それが働きがいにも繋がっていくのではないかと考えています。理念について————会社の価値観についてもお話をお伺いしたいのですが、理念や会社の文化としてはどのようなものがありますか。月花様:当社のミッション・ビジョンを要約すると、「夢の実現」と「それを全力で応援しよう」というものになります。これは派遣スタッフに対してそういう姿勢でいこうという気持ちを示したものになるのですが、実は私の中では裏の意味も込めていまして、その次に社員に向けている気持ちでもあります。そのため、社員にも自分の夢の実現をして欲しいですし、「全力で」という言葉には社員も自分の好きなことを見つけて、本気でのめり込んでやって欲しいという思いが込められたミッション・ビジョンとなっています。そういう意味では、私の経験も同じように回って戻ってきています。私は最初旅行会社に入社したのですが、その後業界が異なる飲料メーカーに転職したのですが、やっぱり観光業会に携わりたいという思いがあって戻ってきました。このように、自分の中で「これだ!」というものを見つけると、どんどん興味が湧いてきて、好きなものを追求して探求した結果、気付くと仕事もできるようになってきますし、楽しいと思えるので、そういったものを社員にも見つけて欲しいです。そして、それを新たな事業やサービス、部署移動などでやりたいことを実現して欲しいですね。会社としても社員がそれぞれやりたいことをアイデアとして発信して、「やってみて」と言ってもらえるような、自分の夢を実現できる場所があると嬉しいですよね。そして、そういう風に発信して実現している人というのは、やらされている感もないので、やっぱり真剣に取り組んでいます。そういう人が増えると会社としてもどんどん強くなっていきますよね。歴史について————先ほど「グッドアイディア365」の制度の中で山口様が新規事業の提案をされたとお話しされていましたが、貴社では山口様のアイデアをきっかけに新たな事業のゲストハウスの運営に向け、動き出していますよね。この事業に至った経緯もお伺いしたいです。山口様:私は2015年の3月に大学を卒業したのですが、大学生の頃から元々アルバイトで営業を行っており、その会社で内定も決まっていました。大学4年目になると、ほとんどの卒業単位分を取得してしまうので、ほぼフルコミットの状態で営業のアルバイトをしていたのですが、ふとした時に「この生活が40年近く続くのか」と考え、ゾッとしてしまいました。それなら働く前にやったことないことをやっておきたいと考え、まず思いついたのが「社会人は長期休みを取れなさそうだから、ちょっと旅に出よう」と初めての1人旅かつ初めての海外旅行でタイに2,3週間行きました。そこで初めてゲストハウスに宿泊したのですが、その際に「こういう空間好きだな」と感じました。その後日本に戻ってきてから高校時代の通学で使用していたママチャリで日本3000kmほどを1ヶ月半間旅しましたね。その間もずっとゲストハウスに宿泊しており、将来的には自分でゲストハウスの運営に携わりたいなと思うようになりました。そして、思い切って就職活動を7月頃から再度開始し、グッドマンサービスと出会いました。当社では宿泊産業の方をクライアントとして様々なやりとりができるため、将来の自分の夢を実現するために働きながら運営ノウハウや仕事の中で仲良くなって知識を学べるといいなと思い入社を決意しました。その後、営業やマーケティングなど様々な業務に携わる中で、もしかしたら会社の事業としてゲストハウスができるかもしれないのではと考えるようになり、周囲からアドバイスももらいながら、コロナ前に1度代表の方に話をして「いいね」と言っていただけました。しかし、動こうとしたタイミングでコロナ禍となってしまい、中々実現するまで難航しましたね。ただ、コロナになって2ヶ月後にふとしたタイミングで代表が「ゲストハウスの実現は忘れていないから、コロナが落ち着いたらやろう」と言ってくれたことがあり、「覚えてくれていたんだ」と非常に嬉しかったのを覚えています。そしてコロナが落ち着いてからは実現に向けて動き出すことができ、実際に自分の夢だったことを実現できる環境がこの会社にはあるんだと改めて感じましたね。月花様:実際にゲストハウスから会社に通っていた時期もあったよね。山口様:そうですね、コロナ前の1年間くらいになるのですが、都内のゲストハウスに滞在して、そこから会社に通っていました。当時は定住せず、1週間ごとに都内のゲストハウスを移り住んでいき、「こういうゲストハウスがあるんだ」とか実際のホストの方の話を聞いたりしながら生活をしていましたね。月花様:彼のように夢が実現するかもしれないとなった時には自然とそういう姿勢になってきますよね。そして、知識を高めるきっかけにもなります。そういう人がもっと増えるといいなと思っています。他にも、まだまだ実現段階ではないですが、カフェなど新たなアイデアが生まれています。————素敵なエピソードですね!貴社には色々なチャレンジを後押しする文化があると感じたのですが、この考え方は元々月花様の中にあった価値観なのでしょうか。月花様:そもそも私自身が子供の頃から経営者になろうという夢はありませんでした。サラリーマンだった当時は「最終的には年収1,000万円もらえればいいや」と考えており、それがゴールだと思っていました。しかし、色々縁があって独立することになって現在に至ります。そのため、経営者の感覚というよりは、サラリーマンの感覚が良くわかるなと思っており、自分がサラリーマン時代だった時にどういう風に考えていたのか、どうサボるかまですぐわかっちゃいます(笑)ほとんどサラリーマンの経験がなく経営者となっている人はあまりそういう感覚がわからない人も多いですよね。私自身サラリーマン時代に不満を感じて転職した経験もあるので、嫌だったことを取り入れないようにしたり、やる気ややりがいに繋がったり喜ぶものを取り入れたりするようにしています。当時は私も最終的にはお給料や休みといった面でサラリーマンを続けていたのですが、結局は自分の好きなことをやりたいとここに戻ってきているので、当社で働く社員も当社で好きなことを見つけられるのが1番いいのかなと思っています。ただ、中にいるとプレッシャーを感じてしまい転職に至ってしまうこともあると思います。しかし、当社は出戻りの社員もいるように、また戻って来れる環境もあります。それでも、中々1回出てしまうとチャンスがなくなったり募集もなくなってしまったりすることもあるので、社内にいるうちに完結できるような環境があればいいなと思っています。その考えが文化を作るベースになっていると感じますね。また、私より現場の方がビジネスモデルを含め、良く知っているんじゃないかとも思います。現場では「こういう風にやった方がいいのに」と思っていても、それが上がって来ないままトップダウンでやり続けていると、その会社はどんどん方向性がズレていくと考えています。私もずっとこの業界の営業をやっていたのですが、辞めてからだんだんわからなくなっていく部分もあり、それを経営者感覚で「こうしよう」と指示を出してしまうとズレてしまうので気をつけるようにしていますね。————ありがとうございます。今までの経験の中で乗り越えることが大変だったエピソードはありますか。月花様:コロナ禍ですね。コロナ禍以前にもリーマンショックや東日本大震災など、色々大変だった時期もありましたが、コロナ禍はダントツで大変でした。東日本大震災の時も乗り越えられるかなという時期もありましたが、比較的短期間で終わりましたし、全国的なものではなかったため、大きな影響はありませんでした。しかし、コロナは北海道から沖縄まで全国で影響があり、3,4ヶ月で売り上げが10分の1になりました。当時は先が見えないこともあり地獄でしたね。最初はオーダーが全部ストップしました。それは震災の時にも経験したので仕方ないかと思っていたのですが、続いて「今いる従業員を即日全員引き上げて欲しい」という声が全国から上がり、1日中電話が鳴りっぱなしでしたね。そうすると、今度は働いているスタッフから「保証はどうなっているのか」などの連絡が入るといった、当時は今までに全く経験のない事態でした。そんな日々が1ヶ月程続きました。先が見えず、売り上げが10分の1まで落ちた時は地獄だと思っていましたね。それ以前は業績が3,4年ほどずっと大きく伸び続けており、過去最高を更新していました。そのため、その過去の実績のおかげで保証として融資がもらえた際は最高の評価をいただいていたことが安心材料ではありましたね。ただ、あくまで借金ですので、完全に不安が晴れたわけではありませんでした。その後、結局元に戻るまでは約3年くらいかかりました。当時は「もう潰れるのかな」という考えばかりが頭に浮かんでいましたね。その後会社をどうしていくかを考え、ある程度規模を縮小したのですが、それでも約50人くらいの社員は残ってくれました。それでも毎月赤字でした。同業社の中には数人で経営したり、一旦リセットする会社もあったので私含めほとんどの人が先が見えずに怖かったです。「本当にこれでいいのか」、「このままでいいのか」という葛藤があったのですが、そんな状況でも数人が「コロナが終わったらこうしましょう」とコロナの先を見据えて考えているメンバーがいました。そのメンバーには今日同席している2人も含まれています(笑)彼らは「なんとかやりましょう、頑張りましょう」、「何でもいいからやります」と言ってくれて、そういった声や思いから勇気をもらいましたね。そして、「これ以上縮小して守りに入っちゃいけないな」と思い、守りに入ることをやめました。結果としてはその判断が良く、昨年からまた過去最高の実績を更新し続けているのですが、彼らがいなければオーダーをもらっていても人手不足で応えることができずにこの結果は得られなかったと思っています。彼らが大変だった瞬間を乗り越えられるきっかけでしたし、コロナ禍でも先の状況を常に考えていた彼らは凄いなと感じましたね。————山口様は先ほどお伺いした夢の実現が原動力になっていたと思うのですが、藤田様はどういった思いが原動力となっていたのでしょうか。藤田様:元々代表が色々なことをやらせてくれるという環境があったので、新しい部署を立ち上げる際には私も部署の立ち上げ人として関わる機会が多くありました。そのため、普段から一緒に食事に行く機会もあり、その中で「こうしていきたい」という想いをちゃんと伝えてくれていました。そういった話を聞くと代表の考えや将来のビジョンを常々感じることができ、それを実現するためのアクションを私に任せてくれていることがやりがいにも繋がっています。コロナ禍でどん底に落ちた際には、会社を辞めていくメンバーから「いつか会社が元気になったら戻りたい」と連絡をもらうこともあり、「どうにかみんなが戻って来られる場所を作れないかな」と思っていました。その時は日々謝る連絡ばかりしていたのですが、ただ代表含め諦めていないメンバーもいたので、戻れる場所を作るためにはがむしゃらにやるしかないというのが現状でしたね。それが私のやる気に繋がっていました。特に、辞めて行ったメンバーが声をかけてくれていたのが本当に心強かったです。月花様:退職したメンバーの中には規模縮小のために決断してくれた人もいたので、申し訳ないなと思っていました。その時にも「戻りたいので復活したら声かけてください」と言ってくれる人もいました。当時は社交辞令で言ってくれているのかなと思っていたのですが、復活した際に声をかけてみた結果、全員戻ってきてくれましたね。当時すでに転職している人や転職予定の人ばかりだったにも関わらず、それでも当社に戻ってくることを選んでくれたことは嬉しかったです。そういったメンバーがいたことも復活に繋がった要因だと思っています。未来のビジョンについて————最後に、今後皆様が新たに取り組もうと考えていることはありますか。せっかくなので、月花様、藤田様、山口様のお三方だけでなく、今回インタビューに同席いただいた中村様にもお伺いしたいです。月花様:現在教育という面で体制を整えて実施しているのですが、そもそも当社では全く実施していませんでした。最初からしっかり教育をやっていこうという方針だったわけではなく、創業時はいわゆるみて覚え、自分でやってみるという文化でした。そういう文化から始まっていたのですが、教育に注力するに至った1番大きなきっかけは3年前から開始した新卒採用でした。新卒採用をする際に、社内に研修などの教育が揃っていないと良くないなと思って研修などの体制を整えるようになり、現在に繋がっています。そのため、ここ最近色々なことを考え実施しているので、今後もそれらをどうやっていくのかということが直近の課題になるのではないかと考えています。藤田様:ちょうど今、1期生の新卒メンバーが3年目になるのですが、現在も新卒採用を続けていますし、中途社員も入社しています。彼らも私たちと一緒に成長していく予定ですので、途中で離職に繋がったりしないように、不足している育成は研修などを通じて彼らの育成に繋げていけたらいいなと感じています。山口様:私は普段から「17分の8」という数字をとても大切にしていて、社内でもよく話しています。1日24時間の中で例えば7時間睡眠を取るとしたら1日の中で意識がある時間は17時間、そのうち仕事をしている時間は1日8時間、残業した場合はもっと増えていきますよね。食事や趣味に8時間費やすことは難しく、それくらい意識のある時間の中で1番大きな割合を占めているのが仕事です。だからこそ、この仕事の時間をどう過ごすかが人生の豊かさに直結すると考えています。抽象的にはなってしまうのですが、私は1日の大部分を占める仕事を楽しくやりがいを感じてもらい「良い1日だったな」と思ってもらいたいと感じています。そのため、多方面からの様々なサポートや制度を通じて、「この会社で働けて良かった」と思えるメンバーを1人でも多く増やしていきたいです。中村様:私は広報を担当しているのですが、実は広報も1年前から新たにやろうと言うことで発足され、任せていただきました。月花様:社内には広報を担当している先輩がいなかったので、独学で試行錯誤しながら立ち上げましたね。中村様:育休から復帰してマーケティング部に戻ったのですが、マーケティング部として広報を担当するという形で任せていただいたのが始まりでした。時には広報として社長の取材に同席させていただくこともあるのですが、その中で印象に残っているのが「何も考えずに出した成果は褒めたくないけど、考えてやったことであれば失敗しても責めない」という言葉です。私が入社した時から社長の懐の深さや社員に任せてくれる考え方というものを非常に感じていたのですが、その言葉を聞いて改めて社員が自分で考え、それを認めてくれるような社風があるのは、社長が本心で思っているからこそだなと感じました。私も新しい業務に携わる機会が多いのですが、その中でも自ら考えトライアンドエラーで行動していきたいですし、今後も広報として社長の想いを社内に発信していきたいと思っています。社内報も今後やっていく予定なので、社長をはじめとし、活躍している社員の方々の声も発信していく予定です。【株式会社グッドマンサービス 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