CLINKS株式会社様の育成論育成論について————最初に、現在人材育成についてどのようなお取り組みをされているのかを教えてください。中口様:当社は未経験からエンジニアを育成しています。当社のメイン事業はSESと呼ばれる客先常駐ビジネスのため、未経験の人たちには入社後1カ月間をかけて技術面の研修を受講してもらい、現場に出る際にはネットワークやサーバー、ITに関する必要な基礎知識を身につけた状態にします。未経験でエンジニアを始めることはハードルが高いことなので、部署によっては技術面だけではなくマナー研修や業界の説明、先輩社員が新入社員に向けて現場のイメージを掴んでもらうための研修も実施しています。こういった育成を行うことがお客様の満足度にも繋がると思っていますし、新入社員もIT業界未経験の状態で現場に出るのは不安が大きいです。そこで、入社後研修で資格を取得してもらうことで自信を持った状態で現場に入ってもらい、その後も技術研修で身につけたスキルを糧に現場で活躍してもらうことを目的として私たちは技術研修を実施しています。直近では、ホットなスキルとしてAI関連があります。当社でもDX/AI事業に力を入れていますし、生成AIというものはどの業界でもマストになってきているなと思います。ChatGPTを始めとした生成AIの力を借りて業務を効率化するということはどの業界でも導入されていくものだと考えているため、当社ではAI関連の知識を身につけることを全社的に推進して取り組んでいます。AIを扱うにはリテラシーが重要になってくるため、一般社団法人 生成AI活用普及協会(GUGA)に加入し、そこで実施されているリテラシーをメインにした「生成AIパスポート」という資格試験の受験を2024年2月から推進しています。社員の受験には会社から補助を出したり、研修動画や演習問題を作成するなどのサポートを行っており、今年中に約1300人の全ての社員が合格することを目標としています。この資格はエンジニアだけでなく、バックオフィスのメンバーにも受験してもらっており、それくらい必要性が高いと実感しています。当社の代表も今はAIが重要だという認識であるため、会社としてもかなりこの領域に投資していますね。今始めているかどうかで後々大きな差が生まれると思っています。現場に出ている人たちにも週次でサポートに入ってもらい、生成AIについて知ってもらっているのですが、彼らの現場での動きもかなり変化してきています。彼らが自発的に社内でAI関連の研修を行うなど、半年で大きく変わりましたね。————SES事業をされている企業様では会社の一体感を生み出すことを課題とされている企業様も多くあるのですが、貴社では他にも制度やお取り組みされていることはあるのでしょうか。中口様:当社では広報部が主体となって様々なイベントを実施しています。コロナ禍ではオンラインがメインだったのですが、コロナが明けてからは120人規模のBBQを開催したり、毎月入社する新入社員の歓迎会を開催したりと社員同士が交流したり横のつながりを作る機会を生み出しています。どうしても参加する人が固定されてくる傾向もあるため、広報部だけでなく、各部署でも飲み会を開催したりとコロナが明けてからは特に活発化してきているなと感じています。私が入社した時は従業員数もまだ100人程度だったのですが、現在は1000人を超え規模が大きくなっています。16年間会社を見続けてきましたが、ここ数年で一気に人が増えてきているため社内の繋がりを構築することは難しい部分も多いのですが、工夫しながら対策を考えていますね。————広報面の発信も多くされていますよね。高橋様:そうですね、SNSも活用して発信する機会を作っており、昨年からはTikTokを始めました。中田様:Xは9年以上活用していますが今年に入ってからさらに発信を強化しました。高橋様:こういったSNSでの発信をきっかけとしてお問い合わせをいただくこともあります。中口様:当社の代表自身が、社員の帰属意識を大事にしています。SESはどうしても現場依存になりがちなので、「会社になるべく帰ってくる機会を作りましょう」と普段から発信しています。社内イベントはそういった狙いもありますし、イベントによっては豪華な景品もあるので上手く活用して欲しいですね。当社の新入社員研修は入社後の1ヶ月間で終わりますが、歓迎会やイベントに参加していただけると、研修を卒業した同期メンバーと交流できる良い機会にもなると感じています。現場に出てからはどうしても同期間でも「どこでどんな仕事をしているのかわからない」という状態になってしまいます。歓迎会やイベントを通じてご飯に行くというメンバーも多く、情報交換やストレス発散の機会にも繋がっているので、今後も同期間の関係構築を強化する機会にもなって欲しいです。————先ほどAIに関する育成のお話もありましたが、他にも今後取り組んでいきたいことはありますか。中口様:教育というものは、今会社が何を求めているのかに左右されることが多いのですが、当社では会社が社員に取得して欲しい資格や学んで欲しいスキルに関しては受験料の返還など色々なキャンペーンを打ち出しております。他にも、資格によってはお祝い金を還元したり、「SSP(スマートセービングポイント)」と呼ばれる社内ポイントを貯め、現金との交換が可能な制度もあります。このポイントは会社の業績によってレートが変動し、個人の活躍や上司からの評価によって付与されるため、こういった制度の魅力を発信し、社員のスキルアップのモチベーションに繋げています。また、将来的にはラボ環境も作りたいと思っています。ラボはバーチャルやクラウド上など、形式にこだわりはないのですが、やはりオフラインで作るのが1番良いのかなと思い現在は構想を練っている段階です。当社が近年注力している領域は先ほどお話ししたAIはもちろん、クラウドやセキュリティなのですが、これらはまだまだ新しい領域でもあるので今後も強化していきたいと思っています。その施策として過去にはセキュリティのハッキング大会というイベントを実施したこともあります。これは、ハッキング環境を作り、お題を与え、解読するという内容だったのですが、こういった常に学べるような環境を作っていきたいです。このイベントはまだ1回しか開催できていないので、2回目以降も開催できるように準備を進めていこうと考えています。セキュリティエンジニアは今後も需要が高い業種でもあると感じていますので、注力していきたいですし、社員が楽しみながら学べる環境を構築していきたいですね。————エンジニアファーストの価値観を大事にされている社風で非常に学習環境も充実しているのではないでしょうか。中口様:ありがとうございます。しかし、まだまだ改善できる余地はあると感じています。入社後の研修はしっかりと行うのですが、それ以降は現場がメインになるためまだまだフォローが不十分な部分もありますし、社員からは「もっとこうして欲しい」という意見もいただきます。当社では各部署の社員が主体となり業務後に色々なテーマを決めて勉強会を開催しています。多い時には100人が参加することもあるのですが、単発の勉強会なので今後のスキルに繋げていくことが難しい面もあります。そのため、会社としてはスキルや技術面に関する動画を作成し、社内に展開するなどのコンテンツを増やしています。動画を見て資格取得に繋がった人もいますが、一方で現場に出ると自ら勉強する時間を取るのが難しく、そういった情報を主体的に見ない人もいます。客先常駐のエンジニアにとって、この現場と学びのバランスは非常に難しい課題だと感じていますね。私も10年ほどエンジニアをやっていましたが、やはり現場の仕事というものは楽しい反面、現場で業務を行ったらそれだけで1日が終わります。私の場合は社内でチームリーダーも担当していたので、社内のミーティングに参加することはあっても、現場の業務後に自発的に資格の勉強をするかと言われると中々前向きには動けなかったです。だからこそ、まずは成長やスキルアップに対して前向きなメンバーをいかに動かすことができるかが大事だと思っています。この業界では同じような課題を持っている企業様は多いのではないでしょうか。やっぱり「こういうことをやりたいからこの資格を取る」とやりたいことが決まっている社員は自発的に動けるので理想的ですよね。ただ、当社では未経験を育成していることもあり、どうしても先が明確にイメージできない社員の方が圧倒的に多いので、それぞれがキャリアプランを見つけるまでに時間がかかります。だからこそ、様々な研修や現場、部署ごとでのキャリアパスの面談を通じてきっかけを作っています。会社としてもスキルを持っている人材が増えればお客さんからいただく単価も上がりますし売上に繋がります。それが結果として社員の給与アップにも繋がっていくように、お互いWin-Winの関係を作ることができるので、この課題解決には今後も注力していきたいです。どうしても企業規模が大きくなると手が届く範囲の限界が来てしまい、全員に対して手厚くサポートを行うということは現実的には難しいのですが、対策を練って改善していきたいですね。先ほどお話しした生成AIというものも人材育成の良いチャンスだと思っています。トップダウンで全社員が資格を取ろうという動きがあったので、もちろん研修部署のメンバーは全員真っ先に取得しました。2月の試験では110名ほど受験し、内86名が合格し、その後の6月の試験では750名が受験しているので、当社の6割の社員は受験している状況です。試験自体の受験者数が3000人なので、当社からの社員の割合は大きく、当社がどれくらい本気でやっているのかが伝わるきっかけにもなったのではないかと感じています。こういった動きは社内外問わず良いアピール要素になりますし、受験しているメンバーにとってもスキルアップに繋がるので良い機会となっています。理念について————貴社の理念や価値観、文化についてもお伺いしたいです。中口様:当社は2002年に創業し、現在23期目の会社となります。元々は「モチベーションが高いエンジニアになること」を会社の方針として定めていたのですが、6月に方針転換が打ち出され、「AIドリブンカンパニー」へと変更になると発表がありました。そのため、10月からは会社の理念が変わる予定です。今後は私たち研修部署もこの新たな理念に沿って動く必要があるなと感じており、今まさに資格取得など動き始めているため、研修面では生成AIパスポートを始めとした新たなコンテンツを作り始めています。他にもChatGPTやGeminiなどのツールの使い方講座もコンテンツにしたいと考えており、AIにどのような質問をした方がいいのかという検証もステップアップするために行う予定です。そして、その次は機械学習と、順番に研修コンテンツを生み出していき、どんどん取得してもらえる環境を整備していきたいです。もちろん、メイン領域であるインフラや開発のスキルを身につけてもらうことは変わらず、プラスαでAI生成やAIの活用の知識へ領域を広げていく予定です。会社の理念に沿っていくということは変わりませんし、今後の活動でより沿っていく形になるのかなと思います。従来まで社員のモチベーションをいかに維持していくか、高いモチベーションを持ったエンジニアを育成できるかというテーマだったのですが、今後は技術よりのエンジニア思想に変化していくと感じています。————どう理念に沿っていくのかを皆様で色々考えて活動されているんですね。中口様:そうですね。だからこそ、生成AIパスポートの資格取得に関する動きから社員が変わっていくことを期待しています。6月の受験者が700名を超えていることもあり、次回の10月の試験でほとんどの社員が受験してくれる動きがあれば、会社としては理想だなと思っています。————楽しみですね。方針自体はどういう経緯で変更するに至ったのでしょうか。中口様:今までの考え方とは変化しますが、元の考え方がなくなってしまうわけではありません。当然高いモチベーションは持った状態で、プラスαとしてAIを導入していこうという流れとなっています。モチベーション自体は必要ですので、さらに1ステップ上のエンジニアとなるための方針変更だと思っています。歴史について————会社の歴史についてもお伺いしたいのですが、今まで大変だったエピソードはありますか。中口様:1番の危機はリーマンショックでした。私が入社してすぐのタイミングで起きたのですが、お客様先の業務がなくなってしまい、社員数が200人ほどの規模にも関わらず、社内での待機が50人いるような危機的な状況でした。リーマンショックは当社の代表もよく例えとして出しているのですが、本当に会社が危なかった瞬間でしたね。当時は全社員が営業をするという対策を行っており、エンジニア自らお客様先で案件がないかを探した結果、危機を乗り越えることができました。リーマンショックの際、SES事業は業界全体で非常に危なかったのですが、反対に研修事業は需要が高かったです。不景気だとどの企業でも社内に待機社員が大勢いるため、エンジニア向けの研修事業は需要が高まります。当社の研修では他社さんの社員も含めて未経験者をメインで受け入れているのですが、既存社員に研修を受けさせたい企業が増える場合は案件が減っている指標である可能性もあるので、景気が良くないバロメーターになります。リーマンショックの際は毎月30人から40人ほどが研修を受けていましたね。————乗り越えるために全員営業をされたということでしたが、優秀なエンジニアの方はお客様先でさらに開拓して新たな業務を掴むイメージがあります。中口様:もちろんそれもありますが、お客様と信頼関係を構築し、「こういう人が欲しい」という情報を引っ張ってくるだけでも全然問題ないと思っています。例えば、お客様と一緒にご飯を食べに行ったり、休憩をしている際の会話で出た「もう1人人材が欲しい」などの一言をいかに迅速に営業担当と連携して次に繋げるかが重要となります。中々そういった行動を取れるエンジニアは多くないのですが、だからこそ当社では「いいね事例」として良い社員の動きをデータベース化しています。ずっと昔から各社員が「こういう動きでお客様先から評価をされています」ということを社内で公表して、他の社員も真似したり参考にすることで同じように動ける社員を増やす取り組みを行っています。いいね事例ではさらに、毎月管理職が1番優秀だった社員を選出し、対象者には3万円の奨励金が贈られます。他にも、年1回のMVP表彰では最優秀社員には50万円の奨励金が出たり、案件に自社の社員を増員した際にはインセンティブが発生するなど、しっかりと社員に還元する仕組みがあります。チームで参画している案件でインセンティブが出た場合はチームメンバーに分配されるので、やった分だけ還元される仕組みとなっており、それがさらなるモチベーションの向上に繋がっていますね。————こういった制度を活用して活躍された方や成長された方はいますか。中口様:今期課長となったある社員は昨年増員を沢山しましたね。そうすると社内でも「これだけ増員しています」とか「営業貢献しています」という成果が広まるので名前も認識されやすくなります。彼は元々私の部下だったときから非常にコミュニケーション能力が高く、モチベーションも高く働いていたので、すでに評価されていた部分にプラスαで成果を出したことがきっかけで課長を任されるに至ったのだと感じています。これからの活躍を期待していますし、社内に対しても良い事例となっているなと思います。他に優秀な社員が増えてきており、お客様側からも信頼して任せていただける機会も少しずつ増えてきました。そうすると、会社としてもさらに成長していくことができるので、優秀な社員をいかに育成し、チーム体制を整えていくかが売上に繋がると考えています。また、組織規模も1000名の会社となったことで知名度が向上したこともお客様から選んでいただける要因の1つになっていますね。社員の皆様について————ありがとうございます。貴社で働かれている社員の皆様についてもお伺いしたいのですが、入社してから活躍された方のエピソード等はありますか。中口様:一昨年入社した女性社員が未経験で入社したのですが、彼女は現在生成AIについてすごく学んでくれています。彼女が担当している現場はインフラなのですが、そこで学んだ知識をどんどん広めており、生成AIを導入していくための提案も積極的に行っていますね。大手企業では個人情報の取り扱いやリテラシー問題でまだ嫌厭されがちですが、現在の技術ではそれらもかなりカバーできるように進化しているので、今後は大手企業でも生成AIは当たり前に活用される領域になってくると思っています。彼女のそういった動きも社内で見えるようになっているので、評価も非常に高いですね。まだ「プロジェクトに生成AIを積極的に導入し、業務効率を向上させましょう」という提案段階ではあるのですが、お客様にも非常に興味を持っていただけており、導入されれば業務効率もかなり変化するのではないでしょうか。————社内に社員の方の活躍の様子が伝わるということでしたが、どういう形で社員の方の活躍等情報収集をされているのでしょうか。中口様:先ほどお話しした「いいね事例」はもちろん、最近は彼女も参加している生成AIについて学ぶセミナーに経営層も参加しているので、そこで自然と活躍が見える状態となっています。他にも、彼女は率先して資格を取得したり社内の研修を担当したりしてくれているので、そういった積極的な活動を行っていると自然と認知されていきますね。彼女自身、入社時から非常にコミュニケーション能力が高く、誰とでも臆せず交流できるタイプですし、面倒見もいいので後輩の育成にもしっかり携わってくれています。様々なプロジェクトにも参加するだけでなく、広報部が企画するイベントにも必ず参加してくれていますし、会社としても今後の活躍に期待している社員の1人ですね。————その方も未経験での入社ということでしたが、未経験者でも経験者でも評価基準は変わらないのでしょうか。中口様:評価に関しては等級制度を基準に行っています。入社時からエンジニア経験者の方は未経験者に比べてスキルが高いため、若干高い等級となります。そのため、評価基準は等級に即して厳しくなります。一方で、未経験者の方は低い等級から始まるので、経験者に比べると評価基準は基礎的なものが多い傾向にありますね。徐々にステップアップしてもらい、経験値を積み重ねてもらえるような制度になっています。業務内容について————貴社では様々な事業展開をされており、その中でもSESという形態をメインとされていますが、貴社の事業における特徴的なサービス提供のポイント等があればお伺いしたいです。中口様:当社のITアウトソーシングサービスは多岐に渡るため、カバーできる領域が非常に広いのが特徴です。例えば、ネットワーク、サーバー、クラウド、セキュリティ、AI、DX、システム、開発、ゲームといったように、どの領域でもサービスを提供することができます。その中でも当社の1番の特徴は「RES(リモートエンジニアリングサービス)」と呼ばれるテレワークのノウハウと技術を駆使した、新しいSESの形を2年ほど前から導入していることです。SESとは客先常駐型のビジネスなのですが、それをリモート形でもできる環境を構築することは当社独自の取り組みだと思っています。そのため、当社のHPには従業員数だけでなく在宅勤務率も掲載されています。高橋様:この在宅率はリアルタイムで更新されるため、その日何%の社員が在宅で業務を行っているのかを一目で知ることができるようになっています。中口様:営業担当者もなるべく案件の交渉の際には在宅でできないかを確認するようにしています。運用の案件などは24時間365日有人監視をする必要があるのでリモート環境で業務を行うのが難しいのですが、リモートでもできる業務に関してはRESを導入していこうという動きがあります。元々コロナ前からテレワーク専門部署は設立されていましたが、コロナ禍でテレワークの需要が高まったことをきっかけにRESを導入する動きが始まりました。中々SESでテレワークを導入するのは難しく、特にインフラは難しいと言われている領域なのですが、需要が高い取り組みであるということも実感しています。高橋様:当社の採用数もRESをきっかけに伸びていますね。中口様:そうですね。ただ、新たな課題もあります。求職者の中には未経験だけれどテレワークをしたいという方が少なくないのですが、正直難しいなと感じています。やろうと思えばできるのですが、未経験者は右も左もわからないため、わからないところがあった時にすぐに人に聞けない環境というのは正直あまりメリットがありません。最初は慣れるまで出社しながら学びつつ、人間関係も構築することで気軽に聞ける人を見つけた上でリモートワークを行うことで、リモートの際もわからないことを聞きやすい環境を作ることができます。そのため、当社の入社時研修は週2回在宅という、出社と在宅のハイブリット型を導入しています。RESの導入を行うことで会社としても交通費が抑えられ、経費削減にもつながるので、お互いにメリットがあります。例えば、家から会社まで出勤時間が1時間かかる場合は往復2時間かかりますよね。毎日2時間移動時間が発生するのは、その人にとっても無駄な時間が生まれてしまうことになるのですが、リモートであれば業務が終わればあとは自由時間となるので、良いこと尽くしです。こういった取り組みも当社の魅力の1つだと感じています。————実際にこのお取り組みを導入されてから社員の皆様の変化の声はありましたか。中口様:実際にテレワークを活用しているメンバーからは困ったという声よりもよかったという声を多く耳にします。困った面の声として大きいのはやはりコミュニケーション面ですね。周囲とのコミュニケーションが取りづらいことはテレワークにおいては1番の課題ですよね。現場や研修においてもオンラインで「質問いいですか?」と言える人は中々いないので、やはり休憩時間などに質問できることは出社するメリットだと思うので、どっちを取るのか、バランスも重要になってきます。こういったコミュニケーション面をサポートするために、先ほどお話ししたイベント等が役立つと感じています。オンラインで歓迎会を実施したり、中にはハイブリット形式でオフラインとオンライン両方で参加できるイベントもあります。歓迎会は毎月部署の持ち回りで実施されるため、幹事の経験がなかった人にとっても良い経験になると思っています。ただ、冬の時期はインフルエンザが流行するため、社内イベントがきっかけで感染者が発生してしまいお客様に迷惑をかけてしまう恐れがあるため、タイミングによってはできるだけオフラインは避けるなどの配慮も行っています。昨今はリモートツールが充実しているため、休みの日に受講生同士が自発的にオンラインで勉強会を実施していたりと、学ぶ環境も活発化してきています。私たちとしても、最初の研修の段階でいかに横の繋がりを構築できるようにするかが大事だと考えております。そのため、入社後の最初の段階でコミュニケーションを取る機会を多く作り、社員同士が仲良くなることで同期同士の交流に自発的に動ける人材を育成しています。そういった環境を構築し、一体感が生まれた同期間は優秀な社員が多い傾向にあると感じていますね。未来のビジョンについて————今後お取り組みしようと思っていることやビジョンなどについてもお伺いしたいです。中口様:生成AIの領域に注力しているとお話ししましたが、AIを専門でやっている企業は圧倒的にスキルが高く、当社がAIだけで戦うことは現在のスキルではまだまだ難しいと思っています。そのため、直近の目標としては、最低限AIを使って現在の現場の技術を活かせるエンジニアの育成を行うことです。なので、何かをやるにしてもまずはAIを頼るというように、業務の中で当たり前のようにAIを使えるエンジニアを育成することがまず注力すべきところですね。そこからいかに「プロンプトエンジニア」と呼ばれるAIを駆使するエンジニアを生み出していくかが次のステップとなり、最終的にはそれで事業が成り立つ状態にすることをイメージしています。当社にもAI技術をメインとした部署があるのですが、既存の社員がそういったプロフェッショナル領域に携わって業務を活性化していくことができると理想的ですね。私が入社した頃はクラウドというものは当たり前ではなかったのですが、技術は常に進化しており、現在では当たり前の技術となりました。AIも同様に気が付けば当たり前の時代がくると思っています。私が入社する時にも代表から「技術は常に進化するからエンジニアは常に勉強しなければいけない」と言われました。これは「その通りだな」と常に実感しています。私自身研修に携わっている以上、どの社員よりも率先してホットワードのスキルを真っ先に身につけなければいけないというミッションがあるので、今後も積極的に学んでいく必要があります。実際、昨年だけでもクラウドとAI関連の資格を6個取りました。私だけでなく、今回の生成AIに関しては代表も受験していますし、バックオフィスメンバーもこういった資格取得に注力してくれています。「バックオフィスメンバーでも取っている」ということをアピールすることで、エンジニアも「自分たちも資格を取らなければ」と積極的に資格取得に挑戦してくれていますね。————実際に広報活動をされる中でもAIは活用される機会が多いのでしょうか。高橋様:広報でも活用する機会は多いですね。TikTokの企画やYouTubeのコンテンツ、ブログの文章などを考える際にも活用しています。生成AIパスポートの内容が、「AIリテラシーを学ぶ」というもので、今後AIを活用していく中で重要な知識でもあるため、この資格を取得していて良かったなと実感しています。中口様:生成AIは職種に関係なく、誰でも活用できます。例えば営業でも「こういったメール文を作ってください」と伝えればそれに対応したものを作成してくれます。AIのIQも100を超えてきていると言われていますし、将来的には優秀な人と並ぶほどに進化すると思います。ただ、時々間違えた情報も出てくるので、全てを鵜呑みにするのではなく、あくまでAIはベースを作るものとして活用し、いかにオリジナルを出すかは人の手が必要となります。AIを補助ツールとして活用し、そこからオリジナリティを出せる人になることが今後は求められますね。研修コンテンツ制作においてもかなりAIは活用しています。従来では問題文や解説を講師が工数かけて作っていたのですが、今は全てAIが行ってくれます。知見がある社員がその内容をチェックし、問題なければそのまま採用できますし、不足があれば補足をするだけで問題ないので、時間短縮もできて圧倒的にパフォーマンスは向上しましたね。————最後に、今後どんな方と一緒に働きたいですか。中口様:クラウド、AIといった新しい技術領域にまだ一歩踏み出せない企業様は多いのではないかと思います。しかし、従来のインフラ、ネットワーク、サーバーというところからもう一歩ステップを上がっていただくことで、案件の幅が広がります。自社内でノウハウがないという企業様はぜひ当社で提供している研修を活用していただきたいです。最近は少しずつ「クラウドの研修を受けたい」という企業様も増えつつあり、大変嬉しく思っています。今後はもっと多くの企業様に一歩踏み出していただき、一緒に成長していきたいと思います。また、社内での直近の目標は社員全員が生成AIパスポートの資格を取得することです。AIの入門編は比較的簡単なのですが、それ以上の領域はかなり難しくなるので、本気でやりたい人しかできないと感じています。生成AIパスポートに関しては全員が取得できる資格だと思うので、引き続き推進していきたいですし、社員全員が取得できれば、他社にも「今後はそういったリテラシーが必要なんだな」と実感してもらうことに繋がると思っていますね。