カイシャの育成論
──元警察官の方々がIT業界で活躍されているとのことですが、具体的にどのような育成に取り組まれているのでしょうか。
三森様:
実を申し上げますと、私は教育というものが非常に苦手なのです。
そのため、当社では手取り足取り教えるような研修は一切行わず、基本的には現場に直接放り込むという手法を採っています。
これを教育と呼んで良いのかは分かりませんが、徹底して「自主性」に任せるのが当社のスタイルです。
具体的には、ロールプレイングなどの練習を繰り返すよりも、実際のクライアントワークの中で、お客様と直接対話し、自分で考え、主体的に動くことを最優先しています。
──現場にいきなり放り込まれるというのは、未経験者にとってはかなりハードルが高いように感じますが、土台作りはどうされているのですか。
三森様:
土台となるのは、AIを駆使した「自走能力」です。
今の時代、AIは私よりも遥かに優秀な知識を持っています。
ですから、メンバーには「私に聞く前にAIに聞いてほしい」と伝えています。
分からないことがあればまず自分で調べ、AIを活用して解決策を導き出す。
この自走化能力こそが、今のAI時代において最も重要なスキルだと考えています。
実際に、入社当時はパソコンでYouTubeを見る程度だったメンバーも、今ではAIを使いこなし、自らシステム開発まで行えるようになっています。
──AIに聞くことで、上司への確認待ちといったコミュニケーションコストも削減できそうですね。
三森様:
その通りです。
以前であれば上司に聞いて判断を仰いでいたようなことも、AIを軸に自分自身で判断し、仕事を進めていくことができます。
これにより、個人の成長速度は格段に上がりました。
当社には現在、大学生のインターン生もおりますが、彼らもAIを使いこなすことで、驚くほど多様な業務を完遂しています。
私はメンバーに対し「広く浅いプロフェッショナル」を目指すよう伝えており、一つの専門性に特化するよりも、AIを武器に全方位的な課題解決ができる能力を重視しています。
──「教育をしない」からこそ、個々の「調べる癖」や「咀嚼する力」が極限まで鍛えられるということでしょうか。
田母神様:
そうですね。
警察官時代に「分からないことは徹底的に調べる」という習慣を叩き込まれていたことも大きいかもしれません。
実務の中で知らない言葉が出てくるのは当たり前ですが、それをその都度調べ、自分のものにしていくハードルが、私たち元警察官は極めて低いのだと感じます。
竹内様:
私はパソコンのセットアップすら分からない状態で入社しましたが、二人に聞きつつも、最後は自分で調べて納得するまで咀嚼することを徹底しました。
私たちにとって必要なのは、経験と知識だけでした。
私自身、パソコンを買った当初の目的は大画面でYouTubeを見るためでしたが、今ではお客様にシステムの説明をし、自ら提案ができるまでになりました。
この成長率は、他のどの会社でも経験できないものだと自負しています。
田母神様:
三森が出してくれるパスは、私たちが全力で走れば届く絶妙な距離感なのです。

会社の理念や考え方
──御社が掲げている理念についてお聞かせください。
三森様:
創業当初から掲げている理念は「日本と世界をつなぐ架け橋」になることです。
私たちはベトナムのエンジニアチームと連携してシステム開発を行っていますが、日本人が海外の人々と障壁なく働ける世の中を作りたいという強い思いがあります。
警察官時代、特に西川口のような外国籍の方が多い地域で勤務していた際、多くの苦悩を目の当たりにしてきました。
──警察官時代の経験が、理念の根底にあるのですね。
三森様:
不法残留などで摘発される外国人の方々の多くは、もともと日本が大好きで働きに来た人たちです。
しかし、劣悪な労働環境から逃げ出さざるを得なくなり、結果として犯罪に手を染めてしまう。
そのような悲しい現実を何度も見てきました。
一方で、世間のニュースでは彼らの悪い面ばかりが強調され、日本人の間に強い心理的障壁が生まれてしまっています。
私は、彼らの優秀さを正しく理解し、共に価値を創造できる環境を整えることが、この問題を解決する一助になると信じています。
──最近ではAIの台頭により、その理念にも変化が生じていると伺いました。
三森様:
AIの進化に伴い、現在は「圧倒的な効率化」も新たな理念の軸として据えています。
従来のような大人数での開発ではなく、AIの力を最大限に活用し、最小限の人数で最大限の成果を上げる組織を目指しています。
テクノロジーによって言語の壁すら超えつつある今、日本と世界を繋ぐという志はそのままに、よりスピード感を持った効率的な社会実装を追求していきたいと考えています。

会社の歴史・転換点
──なぜ、警察官という安定した職を捨ててITの世界に飛び込まれたのでしょうか。
三森様:
転換点となったのはコロナ禍でした。
警察官の仕事はリモートワークが不可能ですが、世の中が劇的に変化していく中で、場所を選ばずに働けるITの世界に強い憧れを抱いたのです。
警察を退職後、1年ほど独学で勉強し、エンジニアとして会社員を経験した後に独立しました。
正直に申し上げまして、当時は具体的な勝算があったわけではなく、圧倒的な勢いだけで起業したようなものです。
──ベトナムのチームと提携することになったきっかけは何だったのですか。
三森様:
会社員時代、太陽光システムの開発プロジェクトでベトナムの方々と出会ったことがきっかけです。
当時、警察官から転身したばかりで右も左も分からない私に、彼らは非常に親切に仕事を教えてくれました。
その後、プロジェクトが終了した際、どうしても彼らへの感謝を伝えたくて、単身ベトナムへ会いに行ったのです。
──その行動力が素晴らしいですね。
三森様:
飛行機の中で、「なぜこんなに広い世界で彼らと出会えたのだろう」と不思議な縁を感じ、涙が出そうになりました。
この「奇跡」のような出会いを大切にしたい、「またこのメンバーと一緒に仕事をしたい」と強く願ったことが、現在の当社の原点となっています。
周囲からは勢いだけだと言われることもありますが、私にとっては必然の選択でした。

活躍する社員について
──どのような方が貴社で活躍されているのでしょうか。
三森様:
当社で評価されるのは、一言で言えば「自己完結能力が高い人」です。
受け身にならず、自ら疑問を解消し、物事を前に進められる自走能力を持った人材を求めています。
また、警察官時代に実績を上げていたメンバーを中心に構成しているため、コミュニケーション能力が非常に高いことも特徴です。
──警察官としてのスキルが、ビジネスの現場でも活きているということでしょうか。
田母神様:
そうですね。
警察官は日々、初対面の人、時には非常にコミュニケーションが困難な方とも対峙しなければなりません。
相手の意図を汲み取り、複雑な内容を噛み砕いて伝える。
この「構造化してシンプルに伝える力」は、クライアントの要望をシステムに落とし込むディレクション業務と非常に親和性が高いと感じています。
三森様:
私から見て、田母神は「右腕」であり、もはや「分身」と言えるほどの信頼を置いています。
彼に仕事を任せれば、私が細かく指示を出さずとも、お客様が満足する形で完璧に仕上げてくれます。
竹内は、そんな田母神をサポートしながら、凄まじいスピードで知識を吸収しています。
二人は私の「無茶振り」という名のパスに食らいつき、期待以上の成果を出してくれる、当社にとって欠かせない存在です。

会社の事業について
──現在の主な事業内容を教えてください。
三森様:
メインはベトナムのチームと連携したオフショア開発と、AIを活用したシステム開発ディレクションです。
クライアントの要望をヒアリングし、それをシステムとして形にするための設計を行い、実際の開発はベトナムのチームやAIが行うという体制を構築しています。
私たちはプログラミングそのものを行うというより、顧客の課題を解決するための最適な形を提案する「ディレクションのプロ」として動いています。
──IT以外にも多角的に事業を展開されているそうですね。
三森様:
現在は冷凍弁当の販売事業や、教育事業も展開しています。
〜ふとるめし〜
https://www.futorumeshi.com/
AIの進化によって、既存の事業がいつ取って代わられるか分からない時代です。
だからこそ、特定の分野に固執せず、当社の強みである「自走力」と「チームワーク」を活かせる領域であれば、積極的に挑戦していきたいと考えています。
今後は、当社のAI活用ノウハウを活かした「AIに強い組織構築」を支援するコンサルティングや教育にも力を入れていく予定です。

未来への取り組み・今後の展望
──今後の展望について、どのような構想をお持ちですか。
三森様:
組織としては、引き続き「最小人数で最大限の成果を上げる」強いチームを作っていきたいと考えています。
むやみに規模を拡大するのではなく、AIを完全に使いこなせる精鋭を集め、一人で数十人分の価値を生み出せるような組織が理想です。
また、今後は自社プロダクトの開発にも注力し、社会にインパクトを与えられるようなサービスを、3ヶ月から半年という短期間で次々とリリースしていきたいと考えています。
──技術だけでなく、人との繋がりも大切にされている印象を受けます。
三森様:
デジタル化が進むからこそ、リアルなイベントや交流の価値が高まると考えています。
私たちはテクノロジーを駆使しながらも、最後は「人間同士の信頼」を軸にした温かい組織であり続けたいと思っています。
先日開催した忘年会でも、隣の席の方と意気投合して連絡先を交換するような場面がありました。
そんなオープンで繋がりの強いチームでありたいですね。
