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脳科学から見る人材育成(2)学びの習慣化とチームづくり

脳の可塑性とは、環境に応じて脳が変化し、適応していく力のことです。仕事の種類を変えて脳を刺激する、長引くストレスを減らす、達成を認め合うなど、学びの習慣化やチームづくり、退職の防止に生かせる工夫を取り上げます。

公開日
2023/03/29
更新日
2026/09/28
読了時間
約 10 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
心理学チームビルディング離職防止ハラスメント

パート1に引き続き、脳科学の観点から、人材育成に活用できるポイントをご紹介していきます。

AIの発達、働き方改革などによって、人材への考え方は日々変化する時代にあります。

この時代の変化に対応し、既に研修体系や人事制度の見直しを行う参考にしていただきたいと思います。

学びを日常に

脳科学は、近年注目を集めている分野の一つであることを改めて理解しておくことはとても重要です。その理由は、脳が人間の行動や思考にどのように影響を与えるかを科学的に解明し、それを応用することができるからです。ビジネスの世界でも、脳科学に基づいたアプローチが注目されています。特に、組織の日常に脳科学的アプローチを取り入れることは、より効率的かつ生産的な環境づくりにつながると考えられます。

まず、脳の学習プロセスを理解することが重要です。脳は、情報を受け取り、処理し、記憶するというプロセスを経ます。このプロセスを理解することで、より効果的な学習環境を作ることができます。たとえば、情報を聞くだけでなく、視覚的な手段を使って情報を伝えることで、より深く理解することができます。

次に、ストレスが脳に与える影響を理解することが重要です。ストレスは、脳に様々な影響を与えます。例えば、1か月ほど強いストレスが続いた人では、注意の切り替えなどを担う前頭前野の働きが低下し、ストレスが和らぐと回復したという研究があります(リストンら、2009年)。このため、ストレスを軽減するための施策を打つことが重要です。例えば、リラックスするためのスペースを作ったり、ストレスを発散するためのプログラムを導入することが有効です。

脳科学では、脳のプラスチシティ(可塑性)が注目されています。脳のプラスチシティとは、脳が環境に応じて変化し、適応する力のことです。この性質に着目すると、柔軟な思考や対応力を養う方法を考えやすくなります。例えば、異なるタイプの仕事を任せることも、柔軟な思考力を養うきっかけになると考えられます。

最後に、脳の報酬系を理解することが重要です。脳の報酬系は、達成感や満足感を与え、モチベーションを高める役割を持っています。このため、組織内で報酬を設定することが有効です。ただし、報酬が与えられる条件やタイミングが重要であり、脳科学の観点から慎重に設定する必要があります。

これらのポイントを踏まえた上で、組織の日常に脳科学的アプローチを取り入れることで、より効率的かつ生産的な環境づくりにつなげられると考えられます。組織内でのトレーニングやワークショップ、施策の導入など、様々なアプローチがありますが、脳科学の知見をふまえた取り組みは、組織の成果につながることが期待できます。

強いチームの作り方

まず、脳のソーシャルプロセスを理解することが重要です。脳は、社会的相互作用を通じて発達し、学習します。これにより、チーム内でのコミュニケーションや協力が、より効果的かつ生産的になります。例えば、チームビルディング活動や社交的なイベントを通じて、チームメンバー同士の信頼関係を築くことができます。

次に、脳の認知プロセスを理解することも大切です。脳は、情報を受け取り、処理し、記憶します。このプロセスを理解することで、チームメンバーの能力を最大限に活用することができます。例えば、チームメンバーの得意分野に応じて仕事を割り当てることで、より効率的な仕事の進め方ができます。

また、脳のエモーションプロセスを理解することも重要です。脳は、ポジティブな感情やモチベーションが高まる状況に反応します。これにより、チーム内でのモチベーションやエンゲージメントが高まり、生産性が向上します。例えば、目標達成時にチームメンバーを認めることで、ポジティブな感情を促進することができます。

これらのポイントを踏まえた上で、強いチームを作ることができます。チームメンバー同士の信頼関係を築き、各人の能力を最大限に活用することで、より効率的かつ生産的な結果を生み出すことができます。

職場に蔓延するいじめ

職場に蔓延するいじめを脳科学の具体的な機能観点から考えてみました。脳は、ストレスを感じると、生存本能に基づいて反応します。そのため、いじめを受けることで、脳はストレスを感じ、ストレスホルモンが分泌されます。前述のとおり、強いストレスが続くと、注意の切り替えなどを担う前頭前野の働きが低下することを示した研究があります。

このため、職場に蔓延するいじめをなくすことは、非常に重要であり、脳科学の知見も参考にしながら、職場の環境を改善していくことが大切です。具体的には、リラックスするためのスペースを設けたり、ストレスを発散するためのプログラムを導入することが有効です。また、職場の人間関係を改善するために、コミュニケーション能力を高めるトレーニングなどを行うことも効果的です。

EQ(心の知能指数)と脳科学

EQ(心の知能指数)は、自分や他者の感情を理解し、扱う力を指す考え方です。研究では、EQと脳の働きとの関係も調べられています。

脳科学の研究では、前頭前野の腹内側部や、大脳辺縁系の扁桃体、島皮質などに損傷がある人でEQが低かったという報告があり、これらの部位がEQにかかわっている可能性が示されています(バーオンら、2003年)。EQを高めるには、自己認識や感情を読み取る力、ストレスを管理する力を伸ばすことが大切です。そのための方法として、メンタルトレーニングやマインドフルネス瞑想、ストレスマネジメントなどが挙げられます。

また、58件の研究をまとめたメタ分析では、EQを高める研修には中程度の効果があると報告されています(マッティングリーとクレイガー、2019年)。研修の例としては、社会的認知トレーニング、感情認知トレーニング、ストレスマネジメントトレーニングなどがあります。

EQを高めることは、ビジネスの世界でも非常に重要です。EQが高い人材は、自己認識やストレス管理能力が高く、チーム内での協力やコミュニケーション能力も高いと考えられるため、企業の成果への貢献が期待できます。EQトレーニングは、ビジネスの世界での成功につなげる取り組みの一つになります。

AIに負けない人材に育成していく

AIに負けない人材になるためにも、脳科学の知見は手がかりの一つになります。

脳は、環境に応じて変化し、適応する力があるため、ここでも脳のプラスチシティを高めることが重要になってきます。

具体的には、新しいことに挑戦することや、異なるタイプの仕事に取り組むことが有効です。また、脳の認知プロセスを理解することで、情報を効率的に処理する能力を高めることができます。さらに、EQトレーニングを行うことで、自己認識やストレス管理能力を高め、チーム内での協力やコミュニケーション能力を向上させることができます。これらのアプローチを取り入れることで、AIに負けない人材になることも期待できます。

大量退職を防ぐ方法

脳科学の知見は、大量退職を防ぐ取り組みを考えるうえでも参考になります。前述のとおり、強いストレスが続くと、注意の切り替えなどを担う前頭前野の働きが低下することを示した研究があります。そのため、職場のストレスを軽減することが非常に重要です。具体的には、リラックスするためのスペースを作ったり、ストレスを発散するためのプログラムを導入することが有効です。また、職場の人間関係を改善するために、コミュニケーション能力を高めるトレーニングなどを行うことも効果的です。

さらに、脳の報酬系を理解することも重要です。脳の報酬系は、達成感や満足感を与え、モチベーションを高める役割を持っています。そのため、職場での報酬制度を見直すことも考えてみましょう。ただし、報酬が与えられる条件やタイミングが重要であり、脳科学の観点から慎重に設定する必要があります。

これらのアプローチを取り入れることで、職場のストレスを軽減し、モチベーションを高めることが期待できます。その結果、従業員の退職率の低下や、職場の生産性の向上にもつながると考えられます。

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