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優秀な人材が去る理由と、「認める技術」で定着を高める方法

給与や待遇を改善しても離職が減らない背景には、職場で認められていないという不満が潜んでいることがあります。部下を存在、過程、成果の3つの面から認め、良い行動には24時間以内に言葉を返します。週1回30分の承認の時間から始め、組織の仕組みとして根づかせることが、定着を高める鍵です。

公開日
2025/08/08
更新日
2026/09/28
読了時間
約 8 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
離職防止離職理由コミュニケーションモチベーション

「また優秀な社員が辞めてしまった…」。そんな悩みを抱える経営者や人事担当者は少なくありません。厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、日本の離職率は14.2%です。また、同省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、新規大学卒就職者の就職後3年以内の離職率は33.8%(令和4年3月卒)に達しています。「給与や待遇を改善しているのに、なぜ離職が減らないのか」と頭を悩ませている方も多いと思います。

離職の背景には、「承認欲求の不満足」があることも少なくありません。人間の基本的欲求である承認欲求が職場で満たされないと、社員は「この会社では自分の価値が認められない」と感じ、転職を検討するようになります。適切な「認める技術」を身につければ、こうした離職の防止が期待できます。

承認欲求が離職に与える深刻な影響

仲間外れにされたときの脳の反応

ナオミ・アイゼンバーガー氏、マシュー・リーバーマン氏らの研究(Science誌、2003年)では、仲間外れにされたときに、身体の痛みの研究と同じように脳の前帯状皮質の活動が高まり、その活動は本人が感じた苦痛の強さと関連していました。職場で無視されたり、存在を認められなかったりすることも、心の痛みとして受け止められる可能性があります。

この「社会的な痛み」が続くと、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増え、以下のような悪循環が生まれるおそれがあります:

  1. 集中力・判断力の低下:慢性的なストレスにより前頭前野の機能が低下
  2. 創造性の阻害:不安や緊張により新しいアイデアを生み出す能力が制限
  3. 職場への愛着度低下:組織への帰属意識が薄れ、離職意向が高まる

承認欲求の2つのタイプとその特徴

心理学者アブラハム・マズローは、1943年の論文で、承認(尊重)の欲求を、他者からの評価や称賛を求めるものと、自分自身の達成や自信にかかわるものの2つに分けて説明しています。これを職場に当てはめると、承認欲求は次の2つに整理できます:

①外的承認欲求(他者承認)

  • 他者からの評価や賞賛を求める欲求
  • 「褒められたい」「認められたい」という気持ち
  • 満たされやすいが、継続的な供給が必要

②内的承認欲求(自己承認)

  • 自分自身の価値や成長を実感したい欲求
  • 「成長している」「貢献できている」という実感
  • より深い満足感をもたらし、持続性が高い

効果的な人材マネジメントには、この両方のバランスが重要です。

週30分の承認タイムから、日々の声かけへ広げる

承認の基盤作り(週1回、30分の投資から)

毎週金曜日の30分を「承認タイム」として確保し、次の観点から部下の行動を振り返ります:

  1. 存在承認:その人がいることの価値を認める
    • 例:「〇〇さんがいてくれるおかげで、チームの雰囲気が明るいです」
  2. 過程承認:結果だけでなく、取り組む姿勢やプロセスを認める
    • 例:「今回のプロジェクトで、丁寧にリサーチを重ねている姿勢が素晴らしいですね」
  3. 成果承認:具体的な成果や結果を認める
    • 例:「今月の売上目標を達成できたのは、〇〇さんの粘り強い営業活動のおかげです」

背景にある知見 報酬や承認を受けたときに働くドーパミンは、意欲や学習に関わるとされています。定期的な承認により、ポジティブな行動パターンが強化されると考えられます。

個別最適化された承認戦略の構築

承認スタイル診断の実施

部下一人ひとりの承認スタイルを把握するため、以下の簡単な質問を行います:

  • 「どんな時に最もやりがいを感じますか?」
  • 「過去に最も嬉しかった上司からの言葉は何ですか?」
  • 「チーム内での自分の役割をどう捉えていますか?」

この回答を基に、個人に最適化された承認アプローチを設計します。

承認パターンの例

  • 達成志向型:具体的な数字や成果を交えた承認
  • 協調志向型:チームや周囲への貢献を讃える承認
  • 成長志向型:スキルアップや学習成果に焦点を当てた承認
  • 安定志向型:継続的な努力や責任感を評価する承認

日常的な承認コミュニケーションの仕組み化

ポジティブなやり取りを増やす仕組みの導入

心理学者ジョン・ゴットマンの夫婦関係の研究では、安定した関係の夫婦は、対立している場面でも、ポジティブなやり取りがネガティブなやり取りの5倍以上あるとされています(ゴットマン研究所)。これを職場に応用し、以下の仕組みを構築します:

週次実施項目

  1. 月曜日:週間目標設定時の承認
    • 前週の成果を具体的に承認してから今週の目標を設定
  2. 水曜日:中間フォロー時の承認
    • 進捗確認と合わせて、取り組み姿勢を承認
  3. 金曜日:週間振り返り時の承認
    • 成果と成長を多面的に承認

即時承認の習慣化 良い行動を見つけたら、24時間以内に承認することで、行動と報酬の関連性を脳に定着させます。

組織全体での承認文化の醸成

ピアフィードバックシステムの導入

上司からの承認だけでなく、同僚同士の相互承認を促進する仕組みを構築します:

  1. 月次感謝カードの実施
    • 月1回、お互いの貢献に感謝を表すカードを交換
    • 全社で共有し、承認の見える化を実現
  2. チーム承認ミーティング
    • 週次ミーティングの最後10分で、メンバー同士の承認タイムを設ける
  3. 成功事例の社内共有
    • 四半期ごとに承認によって成長した事例を社内で発表

承認コミュニケーション導入の効果測定

定量的な効果指標

承認コミュニケーション施策の効果を以下の指標で測定します:

短期指標(3か月以内)

  • 離職率の変化
  • 従業員エンゲージメントスコア
  • 1on1ミーティングの満足度

中長期指標(6か月〜1年)

  • 昇進・昇格希望者数の増加
  • 社内紹介採用数の増加
  • 顧客満足度スコアの向上

継続的改善のための振り返り

月次振り返り項目

  1. 承認の頻度と質は適切だったか
  2. 個人の承認スタイルに合致していたか
  3. 組織全体の承認文化は向上しているか

このデータを基に、承認アプローチの継続的な改善を図ります。

共通認識をつくり、内発的動機と結び付けて習慣にする

共通認識の醸成

組織全体で「承認の重要性」について共通認識を持つことが成功の鍵です。管理職向けの承認研修を実施し、全社的な取り組みとして位置づけます。

内発的動機づけとの連動

単なる外的な承認だけでなく、社員の内発的動機(やりがい、成長実感、貢献感)と結びつけることで、持続的な効果を生み出します。

システム化と習慣化

属人的な取り組みではなく、組織の仕組みとして承認コミュニケーションを定着させることで、管理職の異動や新人教育においても一貫性を保てます。

まとめ:承認が生み出す組織変革

承認コミュニケーションは単なる「褒める」技術ではありません。人間の基本的欲求に基づいたマネジメント手法であり、適切に実施することで、以下のような組織の変化が期待できます:

  • 離職率の低下:承認欲求が満たされることで定着率の向上が期待できる
  • エンゲージメントの向上:内発的動機が高まり、生産性の向上につながる
  • 組織文化の改善:相互承認により協働性の高い職場環境を構築
  • 人材採用力の強化:社員の満足度向上により紹介採用の増加が期待できる

重要なのは、まず週1回30分の「承認タイム」から始めることです。小さな一歩から始めて、徐々に組織全体に浸透させていくことで、成果につなげることができます。

あなたの組織でも、科学的根拠に基づいた承認コミュニケーションを導入し、人材定着と組織成長を同時に実現しませんか?

当社では、承認コミュニケーションをはじめとする人材育成の専門研修を提供しております。組織の課題に合わせたカスタマイズ研修で、確実な成果創出をサポートいたします。

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本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

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