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人材育成研修のための助成金の種類と申請方法

研修の費用や、受講する従業員の時間は、人材育成の大きな負担です。国や自治体の助成金を使えば、その負担を軽くできます。人材開発支援助成金の各コースやキャリアアップ助成金の概要から、受給の条件、計画の提出から支給申請までの流れ、申請時の注意点までをまとめました。

公開日
2025/05/20
更新日
2026/09/28
読了時間
約 12 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
助成金人材育成研修設計

人材育成は企業の競争力強化や業績向上に不可欠ですが、研修費用や従業員の時間的コストが大きな課題となります。しかし、国や自治体が提供している各種助成金を活用すれば、費用負担を軽減しながら効果的な人材育成を実現できます。

人材育成のための助成金とは

人材育成のための助成金とは、企業が従業員の能力開発やスキルアップを目的とした研修や教育を実施する際に、国や自治体から受け取ることができる返済不要の資金援助制度です。

助成金の最大のメリットは返済不要のお金を受給できる点です。銀行などの金融機関からの融資・借金では利子をつけての返済になりますが、補助金では虚偽申請等の例外がない限り、返済する必要がありません。

これにより、企業は研修費用の負担を軽減しながら、従業員のスキルアップや能力開発を効果的に進めることができます。また、人材開発支援助成金は、雇用保険に加入している従業員の能力向上やスキル開発に必要な経費を国が支援する制度です。助成金制度を利用することで、研修費用の一定割合(コースや条件により異なり、最大で100%)や訓練期間中の賃金の一部が助成され、費用対効果の高い研修が実施できます。

主な人材育成研修のための助成金

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、厚生労働省が管轄する最も代表的な人材育成のための助成金制度です。2025年4月から制度の見直しが行われ、より使いやすくなりました。現在は以下の7つのコースから構成されています。

人材育成支援コース

企業の発展に従業員の成長は欠かせません。人材育成支援コースでは、職業訓練などを実施する事業主に対して経費や賃金の一部を助成します。

対象となる研修: 10時間以上のOFF-JTによる訓練、OFF-JTとOJTを組み合わせた訓練 助成額: 経費助成(中小企業の場合、正規雇用労働者等への訓練は45%、賃金要件等を満たすと60%。有期契約労働者等を正社員化する有期実習型訓練では最大100%)、賃金助成(中小企業で1人1時間当たり800円、賃金要件等を満たすと1,000円) 上限額: 1事業所・1年度あたり1,000万円まで

教育訓練休暇等付与コース

有給教育訓練等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合に助成されるコースです。

対象: 3年間に5日以上取得できる有給の教育訓練休暇制度を新たに導入し、労働者がその休暇を取得して訓練を受けた場合 助成額: 定額30万円(賃金要件・資格等手当要件を満たす場合は36万円)

人への投資促進コース

「デジタル人材を育成したい」「スキルアップに取り組む従業員を支援したい」そういった事業主の助けになるのが、訓練の経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する、人材開発支援助成金「人への投資促進コース」です。

このコースには、以下のような訓練が含まれます:

  • 高度デジタル人材訓練
  • 成長分野等人材訓練
  • 情報技術分野認定実習併用職業訓練
  • 定額制訓練
  • 自発的職業能力開発訓練
  • 長期教育訓練休暇等制度

助成額: 経費助成(最大75%)、賃金助成(1人1時間当たり最大1,000円) 上限額: 1事業所・1年度あたり2,500万円(成長分野等人材訓練の場合は1,000万円)

事業展開等リスキリング支援コース

■新事業への進出、新商品開発やデジタル化などを応援「事業展開等リスキリング支援コース」は、企業の新規事業展開や業務のデジタル化に伴う人材育成を支援するコースです。

対象: 新規事業展開やデジタル化に伴う人材育成訓練 助成額: 経費助成(最大75%)、賃金助成(1人1時間当たり最大1,000円) 上限額: 1事業所・1年度あたり1億円

建設労働者認定訓練コース

建設業の事業主や事業主団体が、建設労働者に対して職業訓練を実施する場合に助成されるコースです。

助成額: 経費助成(都道府県の補助金の対象となった経費の6分の1)、賃金助成(1人1日当たり3,800円、賃金要件等を満たすと4,800円) 上限額: 賃金助成は1事業年度あたり1,000万円

建設労働者技能実習コース

建設業の事業主や事業主団体が、建設労働者に対して技能実習を実施する場合に助成されるコースです。

助成額: 経費助成(雇用保険被保険者数20人以下の中小建設事業主の場合は3/4)、賃金助成(同じく1人1日当たり8,550円)など 上限額: 1事業年度あたり500万円

障害者職業能力開発コース

障害者に対して職業能力開発訓練事業を実施する場合に助成されるコースです。

助成額: 施設設置費(最大3/4)、運営費(最大4/5)

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、アルバイト・パート・契約社員・派遣社員といった、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主が助成金を受けられます。

主なコースには以下があります:

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース

キャリアアップ助成金は研修費用そのものを助成する制度ではありませんが、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を進める際に、人材育成の取り組みとあわせて検討できます。

助成金を受給するための条件

助成金の受給には、以下のような条件を満たす必要があります。

事業主の要件

助成金の支給には、事業主・労働者・訓練における要件を全て満たさなければなりません。事業主の要件を簡単に要約すると、雇用保険の支払いをしている(雇用保険料が財源であるため)ことが条件です。

その他の一般的な事業主要件は以下の通りです:

  • 労働保険料の滞納がないこと
  • 不正受給による不支給決定や支給決定の取消しから5年を経過していること
  • 支給申請時に雇用している労働者の労働条件が適正であること

労働者の要件

労働者の要件を簡単に要約すると、雇用保険の被保険者であり、研修期間中も被保険者であることが条件です。アルバイトやパートタイム労働者であっても、雇用保険に加入していれば対象となります。

訓練の要件

OFF-JT(通常の業務と区別して、業務の遂行の過程外で行われる訓練)であること、訓練時間数が10時間以上であることなどの条件があります。OFF-JTは、外部の教育訓練機関などが行う事業外訓練のほか、事業主が自ら主催して社内で行う事業内訓練も対象になります。

また、訓練の内容が以下の要件を満たす必要があります:

  • 職務に関連した専門的な知識や技能を習得するための研修であること
  • 通常の業務の一環として行われるものではないこと
  • 講師や教材などが用意されており、教育訓練計画に基づいて行われるものであること

助成金の申請方法とスケジュール

助成金の申請手続きは以下の流れで行われます。

訓練計画の策定と提出

都道府県労働局に訓練計画を訓練実施の1か月前までに提出します。提出にあたっては、社内における職業能力開発を推進する「職業能力開発推進者」の選任と事業所の人材育成の基本的な方針を記載した「事業内職業能力開発計画」の策定・周知を行う必要があります。

訓練の実施

策定した訓練計画に沿って実際に研修を実施します。この際、受講者の出席簿や研修の内容を記録したカリキュラム、テキストなどの証拠書類をしっかりと保管しておくことが重要です。

支給申請の提出

労働局へ支給申請の提出(訓練終了後2か月以内)します。また、人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースは、雇用関係助成金ポータルで電子申請をすることも可能です。

審査と受給

申請書類の審査が行われ、要件を満たしていると判断された場合に助成金が支給されます。支給が決定すると、事業主の口座に助成金が振り込まれます。

助成金申請時の注意点

事前に申請を行う

助成金を申請する際には、必ず手続きの手順を確認しておきましょう。人材育成に対して支給される助成金はいくつかありますが、申請手順はどれも異なります。特に研修を実施する前に計画を提出する必要があるため、計画的に準備を進めましょう。

適切な記録の保管

助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類等を整備して5年間保存していること。審査に必要な書類の提出・提示などに対して協力することが必要です。

主な保管すべき書類:

  • 訓練の実施計画書
  • 受講者の出席簿
  • 研修カリキュラム・テキスト
  • 訓練実施に関する契約書
  • 研修費用の支払い証明書
  • 賃金台帳など

研修後の支給決定

人材開発支援助成金は、国から支援金をもらって企業内における人材の育成のための研修を行うことができる反面デメリットも存在します。研修終了後に助成金交付の有無が決定されるという点に注意が必要です。

研修を実施した後に申請し、審査の結果、要件を満たしていないと判断された場合は助成金が支給されない可能性もあります。そのため、事前に要件を十分に確認しておくことが重要です。

専門家への相談

助成金の申請手続きは基本は申請事業者が自ら行います。慣れていない場合は貴組織の顧問社労士などにご相談ください。助成金の申請は複雑な手続きが必要なため、初めて申請する場合は社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

助成金を活用した効果的な人材育成のポイント

企業の課題に合わせた研修を選択する

助成金の対象となる研修の中から、自社の課題や育成したい人材像に合った内容を選ぶことが重要です。例えば、デジタル化を進めたい企業であれば「人への投資促進コース」の高度デジタル人材訓練を、新事業展開を考えている企業であれば「事業展開等リスキリング支援コース」を検討するなど、自社のニーズに合った助成金コースを選択しましょう。

中長期的な人材育成計画を立てる

助成金を単発的に活用するのではなく、中長期的な人材育成計画の中に組み込むことで、より効果的な活用が可能になります。例えば、階層別に必要なスキルを定義し、それぞれの階層に合わせた研修を計画的に実施するなど、体系的な人材育成の一環として助成金を活用しましょう。

様々な研修形態を組み合わせる

人材開発支援助成金では、通学制の対面研修のほか、同時双方向型のオンライン研修やeラーニングも対象になります。また、人への投資促進コースなどでは、定額制(サブスクリプション型)の動画配信研修も対象です。集合研修とeラーニングを組み合わせたブレンド型研修なども対象となる場合があります。様々な研修形態を組み合わせることで、より効果的な人材育成が可能になります。

研修の効果測定を行う

助成金を活用した研修の効果を測定し、その結果を次の研修計画に反映させるPDCAサイクルを回すことが重要です。研修前後のスキルチェックやアンケート、業務への活用度調査などを実施し、研修の効果を可視化しましょう。

まとめ

人材育成研修のための助成金を活用することで、限られた予算内でも効果的な人材育成を実現できます。特に「人材開発支援助成金」は多様なコースがあり、様々な企業のニーズに対応しています。

助成金を申請する際は、事前の計画提出や適切な記録の保管などの手続きが必要です。初めて申請する場合は専門家に相談するなど、慎重に進めることをおすすめします。

WONDERFUL GROWTHでは、御社の人材育成課題に合わせた研修のご提案を行っています。

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

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