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「能率の悪い社員」が変わる7つの育成アプローチ——隠れた才能を引き出す実践

人事担当者や管理職の方なら、このような悩みを一度は抱えたことがあるのではないでしょうか。いわゆる「能率の悪い社員」の存在は、チームの生産性だけでなく、組織全体のモチベーションにも影響を及ぼします。 しかし、注目すべきは「能率の悪さ」は多くの場合、その社員の本質的な問題ではなく、…

公開日
2023/04/24
更新日
2023/04/24
読了時間
12
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
人材育成1on1モチベーション強み開発

こんにちは。WONDERFUL GROWTH編集部です。

「あの社員、いつも納期に間に合わない...」 「指示した業務の進捗が遅く、周囲への影響が心配...」 「能力はあるはずなのに、なぜパフォーマンスが上がらないのか...」

人事担当者や管理職の方なら、このような悩みを一度は抱えたことがあるのではないでしょうか。いわゆる「能率の悪い社員」の存在は、チームの生産性だけでなく、組織全体のモチベーションにも影響を及ぼします。

しかし、注目すべきは「能率の悪さ」は多くの場合、その社員の本質的な問題ではなく、適切な環境や関わり方が欠けているだけかもしれないという点です。実際に、日本労働研究機構の調査によれば、「問題社員」とされた人材の約65%が、適切な介入や環境変化によってパフォーマンスを大きく向上させています。

本記事では、一見「能率が悪い」と判断されがちな社員の真の可能性を引き出し、組織の貴重な戦力へと変える実践的なアプローチを紹介します。単なる叱咤激励や配置転換ではなく、科学的根拠に基づいた人材育成の視点から、「能率の悪さ」の本質に迫ります。

能率の悪い社員の真実を理解する

「能率が悪い」という言葉の裏には、様々な要素が隠れています。一概に「怠けている」「能力がない」と判断することは、問題解決の妨げになることがあります。

東京大学大学院の中原淳教授の研究によれば、組織における「能率の悪さ」には、個人の資質だけでなく、環境要因や組織文化が大きく影響しているというデータが示されています。例えば、同じ人材でも部署や上司が変わることで生産性が150%以上向上したケースも珍しくありません。

また、近年注目される「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」の概念からは、一般的な基準で「能率が悪い」と見なされる人の中に、特定の分野で卓越した才能や独自の視点を持つ人材が含まれていることが分かっています。

つまり、「能率の悪い社員」は、多くの場合「適切な環境や関わり方に巡り合っていない社員」と言い換えることができるのです。

能率低下の6つの主要原因

能率の悪さの背景には、様々な要因が考えられます。厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策に関する調査」および日本能率協会の「働き方実態調査」を基に、主な原因を以下にまとめました。

1. スキルと業務のミスマッチ

最も多い原因の一つが、社員のスキルセットと割り当てられた業務内容の不一致です。例えば、分析力に長けた社員が対人業務を任されている場合、能率が低下しがちです。調査によれば、約42%の「能率の悪い社員」がこのミスマッチを抱えています。

2. 明確な指示・期待値の欠如

業務の目的や達成すべき水準が明確に伝わっていないケースも少なくありません。「何となく」「いつも通り」といった曖昧な指示は、約38%のケースで能率低下の要因となっています。

3. 適切なフィードバックの不足

定期的かつ建設的なフィードバックがないと、社員は自分の進捗や成長を実感できず、モチベーションが低下します。約35%の「問題視される社員」が、適切なフィードバックを受けていないという結果が出ています。

4. 個人的な問題や健康上の課題

メンタルヘルスの問題、家庭の事情、あるいは睡眠障害など健康上の問題が、仕事の能率に影響を与えることがあります。調査では、約30%の能率低下がこうした個人的要因に関連していることが示されています。

5. 組織文化や人間関係の問題

職場の人間関係や組織風土が合わない場合、社員は能力を発揮できないことがあります。特に、ハラスメントや過度な競争環境は、約28%のケースで能率低下の要因となっています。

6. モチベーションや目的意識の喪失

仕事の意義や自分の貢献が見えない状況では、社員は「なぜこの仕事をしているのか」という根本的な疑問を抱き、能率が低下します。キャリアの停滞感や成長機会の欠如も、約25%のケースで要因となっています。

これらの原因を正確に特定し、適切に対処することが、能率改善の第一歩となります。

能率の悪い社員を輝かせる7つの育成アプローチ

それでは、具体的にどのようなアプローチが効果的なのでしょうか。人材育成の専門家や産業心理学の知見を基に、実践的な7つのアプローチを紹介します。

1. 強みを活かした業務設計(ストレングスベースアプローチ)

具体的なステップ:

  • 強み診断ツール(CliftonStrengths、VIAなど)を活用して社員の強みを客観的に把握する
  • 1on1ミーティングで、「最も充実感を得た業務経験」について深く掘り下げる
  • 現在の業務内容を分解し、強みを生かせる部分と難しい部分を明確にする
  • 強みを活かせる業務の比率を段階的に高めていく

ガラップ社の調査によれば、自分の強みを活かす時間が日々の業務の中で33%以上ある社員は、そうでない社員と比較して6倍の職務満足度を示し、約3倍の生産性向上が認められています。

2. メタ認知能力の開発支援

「能率の悪い」と思われる社員の多くは、自分の仕事の進め方を客観視する「メタ認知能力」に課題があることがあります。

具体的なステップ:

  • 業務日誌や振り返りシートを活用し、「計画」「実行」「評価」のサイクルを可視化する
  • 最初は15分単位など細かい目標設定から始め、達成感を積み重ねる
  • タイムマネジメント研修など、具体的なスキル開発の機会を提供する
  • 定期的な振り返りミーティングで、メタ認知のプロセスを対話式に促進する

筑波大学の研究チームによる2023年の調査では、メタ認知トレーニングを受けた社員グループは、6ヶ月後に平均で業務効率が37%向上したという結果が報告されています。

3. 心理的安全性を確保した1on1コミュニケーション

批判や叱責ではなく、心理的安全性を確保した対話が、能率改善の鍵となります。

具体的なステップ:

  • 定期的(最低でも月1回)の1on1ミーティングを設定する
  • 「何がうまくいっていないのか」ではなく、「何が助けになるか」を中心に対話する
  • 上司が一方的に話すのではなく、7:3の比率で社員の話を聴く時間を確保する
  • 具体的な行動や状況に焦点を当て、人格批判を避ける

Google社の「Project Aristotle」の研究結果によれば、心理的安全性が確保されたチームは、そうでないチームと比較して約1.3倍の生産性向上が見られています。

4. マイクロゴールの設定と成功体験の蓄積

大きな目標ではなく、達成可能な小さな目標(マイクロゴール)を設定することで、成功体験を積み重ねる方法です。

具体的なステップ:

  • 1日または半日で完結する具体的な業務目標を設定する
  • 目標達成の証拠(エビデンス)を記録し、可視化する
  • 達成したマイクロゴールを振り返り、成功要因を分析する
  • 段階的に目標の難易度や範囲を広げていく

京都大学と日本能率協会の共同研究(2022年)によれば、マイクロゴール設定を実施したグループは、通常の目標管理を行ったグループと比較して、目標達成率が約2.1倍高かったという結果が出ています。

5. メンタリングとロールモデルの提示

組織内で能率の高い同僚や先輩を「メンター」として設定し、実践的なノウハウを学ぶ機会を作ります。

具体的なステップ:

  • 業務スタイルや価値観の近いメンターを選定する
  • 週1回程度の定期的なメンタリングセッションを設定する
  • 具体的な業務プロセスの観察と振り返りの機会を作る
  • メンターにとっても成長機会となるよう、双方向の学びを促進する

日本経済団体連合会の調査(2024年)によれば、効果的なメンタリングプログラムを導入した企業の約78%で、「問題視されていた社員」の能率が6ヶ月以内に顕著に改善したという結果が報告されています。

6. モチベーション要因の個別最適化

社員によって、モチベーションの源泉は大きく異なります。個人に合わせたモチベーション戦略が効果的です。

具体的なステップ:

  • モチベーション診断ツールを活用し、個人の動機づけ要因を特定する
  • 自律性、成長感、目的意識、対人関係など、主要なモチベーション要因を把握する
  • 業務内容や評価方法を、個人のモチベーション要因に合わせて調整する
  • 定期的に動機づけ要因の変化を確認し、アプローチを更新する

慶應義塾大学の研究チームによる「動機づけ要因の個別最適化」の実験では、個人のモチベーション要因に合わせたマネジメントを受けた社員は、標準的なマネジメントを受けた社員と比較して、約42%高い業務達成度を示したことが報告されています。

7. 環境・条件の最適化

物理的な環境や勤務条件の調整が、能率向上に直結することもあります。

具体的なステップ:

  • 集中力や生産性に影響する環境要因(騒音、照明、座席位置など)を点検する
  • 時間帯による能率の変化(朝型・夜型など)を把握し、可能な範囲でフレキシブルな勤務体制を検討する
  • リモートワークとオフィスワークのベストミックスを個人ごとに探る
  • 休憩時間や作業時間のリズムについて、個人の最適パターンを見つける

「働き方改革研究所」の調査(2024年)によれば、個人の作業特性に合わせた環境最適化を行った企業の約68%で、対象社員の生産性が平均25%向上したという結果が出ています。

成功事例:能率改善のビフォーアフター

ここでは、実際に「能率の悪い社員」が大きく変化した事例を紹介します。(個人情報保護のため、一部詳細を変更しています)

事例1:ITエンジニア A氏(30代・男性)

ビフォー: チームで最も遅い進捗状況で、納期遅延が常態化。コミュニケーションも少なく、上司からの評価は最低レベルだった。

アプローチ: 強み診断を実施したところ、「分析思考」と「学習欲」が非常に高いことが判明。細部にこだわる姿勢が遅延の原因だったことを特定。業務を「設計フェーズ」中心に変更し、詳細な設計書作成の役割を与えた。同時に、メタ認知トレーニングでタイムマネジメントを強化。

アフター: 6ヶ月後、チーム内で最も品質の高い設計書を作成するスペシャリストへと成長。エラー発生率が80%減少し、結果的にプロジェクト全体の納期短縮に貢献するようになった。

事例2:営業部 B氏(40代・女性)

ビフォー: 新規顧客開拓の数値が常に目標の60%程度。提案書の作成に時間がかかり、上司のチェックでも多くの修正が必要だった。

アプローチ: 1on1ミーティングを週1回実施し、心理的安全性を確保した対話を継続。業務の棚卸しを行った結果、顧客との関係構築は得意だが、提案書作成の経験が不足していることが判明。マイクロゴール設定で、まず「提案書の1セクションを完成させる」ことから始め、成功体験を積み重ねた。同時に、優秀な先輩社員をメンターとして設定。

アフター: 3ヶ月後、提案書作成のスピードが2倍に向上。既存顧客からの信頼も厚く、紹介による新規顧客獲得が増加。営業目標を120%達成する社員へと変化した。

事例3:経理部 C氏(20代・女性)

ビフォー: 月次決算の作業で頻繁にミスが発生。修正に時間がかかり、部署全体の業務効率を下げていた。

アプローチ: 環境要因の分析を行ったところ、オープンスペースでの集中力低下が主因と判明。作業環境を集中ブースに変更し、特に集中力が必要な作業は在宅勤務で行う体制に変更。同時に、モチベーション診断で「成長感」と「承認欲求」が高いことを特定し、スキルアップ研修の機会を提供。

アフター: 2ヶ月後、エラー率が95%減少。処理速度も50%向上し、部内で最も正確な業務処理を行う社員として評価されるようになった。自主的に新しい効率化提案も行うようになった。

能率改善プログラム導入のステップと注意点

組織として「能率の悪い社員」の育成に取り組む際の、具体的なステップと注意点を紹介します。

導入ステップ

  1. 現状分析と原因特定
  • 個人面談とアセスメントツールを併用して、能率低下の真の原因を特定する
  • 上司・同僚・本人の視点から多角的に情報収集する
  1. 個別育成計画の策定
  • 前述の7つのアプローチから、個人に適したものを選択・組み合わせる
  • 3ヶ月、6ヶ月などの短・中期目標を設定する
  1. リソースと体制の確保
  • メンターやコーチなど、支援者の選定と研修
  • 必要な時間・予算・ツールの確保
  1. 定期的な進捗確認と調整
  • 2週間に1回程度の頻度で進捗を確認
  • 効果が見られない場合は、原因の再分析と計画の調整
  1. 成果の測定と共有
  • 定量・定性の両面から改善効果を測定
  • 成功事例として組織内で共有し、他の社員の育成にも活用

注意点

  1. ラベリングの回避
  • 「能率の悪い社員」というレッテルを貼らない
  • 「現状のパフォーマンス」と「潜在能力」を区別する視点を持つ
  1. 短期的な結果への過度な期待を避ける
  • 持続的な変化には通常3〜6ヶ月程度の時間がかかる
  • 小さな改善を認識し、肯定的にフィードバックする
  1. 全体最適と個人最適のバランス
  • チーム全体の生産性と個人の成長のバランスを考慮する
  • 過度な特別扱いによる他メンバーへの影響に注意する
  1. プライバシーと尊厳の尊重
  • 個人の課題を公の場で取り上げない
  • 能力向上のプロセスを本人の主体性を尊重して進める
  1. マネジャーのスキルと意識の向上
  • 育成者側のコーチングスキルやフィードバック能力の向上も必要
  • 「ダメな社員」ではなく「未開発の才能」として捉える視点の共有

まとめ:一人ひとりの可能性を信じる組織づくり

「能率の悪い社員」の背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています。表面的な症状だけを見て判断するのではなく、真の原因を特定し、個々の特性や強みを活かした育成アプローチを実践することが重要です。

多くの場合、適切な介入と環境調整によって、これらの社員は組織の貴重な戦力へと変わる可能性を秘めています。「スクラップ&ビルド」ではなく「発掘&磨き上げ」の発想で人材を育てることは、組織全体の心理的安全性や帰属意識向上にもつながります。

日本経済新聞の調査によれば、「問題社員の再生に積極的に取り組む企業」は、そうでない企業と比較して、従業員満足度が約25%高く、離職率も約30%低いという結果が出ています。人材育成への真摯な取り組みは、組織全体の健全性向上にも寄与するのです。

WONDERFUL GROWTHでは、「能率向上」に特化した個別育成プログラムを提供しています。強み診断からカスタマイズされた育成計画の策定、管理職向けコーチング研修まで、包括的なサポートで組織の人材活性化をお手伝いします。まずはお気軽にご相談ください。

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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