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シニア人材の戦力化|70歳就業時代に経験を活かし人手不足を乗り越える5つの実践ステップ

人手不足が深刻化するなか、65歳以上の就業者は930万人と過去最多に達しました。70歳就業確保措置の実施企業は34.8%にとどまる今こそ、シニア人材の戦力化が経営の分岐点です。公的データをもとに、役割の再設計から知識継承まで現場で機能する5つの実践ステップを解説します。

公開日
2026/06/17
更新日
2026/06/17
読了時間
7
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
シニア人材活用70歳就業人材育成離職防止リスキリング

人手不足が常態化するなか、多くの企業が「採用で人が埋まらない」という現実に直面しています。一方で、長く働き続けたいと考えるシニア層は着実に増え、企業にとって最も身近で確実な戦力候補になりつつあります。総務省統計局によると、2024年の65歳以上の就業者数は930万人と過去最多を更新し、就業者全体に占める割合は13.7%、つまり働く人の約7人に1人が65歳以上です。本記事では、公的データをもとにシニア人材の戦力化が今こそ重要になっている理由を整理し、現場で機能する5つの実践ステップを具体的に解説します。

なぜ今「シニア人材の戦力化」が経営課題なのか

背景にあるのは、労働力人口の構造的な変化です。総務省統計局の集計では、2025年9月時点の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は29.4%と過去最高を更新しました。同時に、65歳以上の就業率は25.7%まで上昇し、年齢階級別では65〜69歳が53.6%、70〜74歳が35.1%と、いずれも過去最高となっています。働く意欲を持つシニアは、もはや例外的な存在ではありません。

制度面でも企業の対応は求められています。2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により、事業主には「70歳までの就業機会の確保」が努力義務として課されました。厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告」(2026年3月公表分)によれば、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%とほぼ全社に浸透している一方、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%にとどまります。前年から2.9ポイント増えてはいるものの、依然として6割超の企業が対応の途上にあり、ここに他社との差をつける余地があります。

65歳までの雇用確保はほぼ完了し、競争の焦点は「70歳まで、いかに戦力として活躍してもらうか」へと移っています。

働く側の意欲も後押し材料です。内閣府の調査では、60歳未満の現役世代のうち約7割が「60歳以降も働き続けたい」と回答しています。意欲あるシニアを戦力化できるかどうかは、人手不足を乗り越える企業と、そうでない企業を分ける分岐点になりつつあります。

シニア活用が「形だけ」で終わる3つの壁

制度として再雇用の枠は用意したものの、実際には十分に活躍してもらえていない、という声は少なくありません。戦力化が進まない背景には、主に3つの壁があります。

1. 役割と処遇のミスマッチ

定年後再雇用で一律に役割を縮小し、賃金だけを大きく引き下げてしまうと、本人の貢献意欲が低下します。これまで培った経験やネットワークが活かされないまま、補助的な業務に固定されると、組織にとっても本人にとっても損失です。

2. スキルの陳腐化とリスキリング機会の不足

デジタル化が進む現場では、長年の経験があっても新しいツールや業務手順への対応が追いつかない場面が生じます。シニアだから学び直しは不要、という思い込みが、かえって戦力化の足かせになります。

3. 周囲との関係性とモチベーションの設計不足

かつての部下が上司になるなど、立場の逆転が生じやすいのもシニア活用の特徴です。役割期待が曖昧なまま現場に配置すると、本人も周囲も関わり方に迷い、持てる力が発揮されません。

シニア人材を戦力化する5つの実践ステップ

シニアの戦力化は、個人の頑張りではなく仕組みで実現するものです。ここでは、現状把握から定着までを5つのステップに分解し、各ステップに「実施チェック」を添えて解説します。

ステップ1:現状把握と要員計画の可視化

まず、自社のシニア層が今後数年でどのように推移するかを把握します。年齢構成、保有スキル、退職予定時期を一覧化し、どの部門でいつ、どのような技能が不足するのかを予測します。勘ではなくデータで「誰のどの経験を、いつまでに引き継ぐべきか」を明確にすることが出発点です。

実施チェック:55歳以上の従業員について、保有スキル・退職予定時期・後継者の有無を一覧化できていますか。

ステップ2:役割・等級・処遇の再設計

年齢で一律に役割を縮小するのではなく、期待する成果と責任に応じて役割と処遇を設計し直します。短時間勤務や専門職としての継続、業務委託といった多様な選択肢を用意し、本人の希望と会社のニーズをすり合わせます。改正高年齢者雇用安定法が示す就業確保措置の選択肢(定年引き上げ、定年廃止、継続雇用制度、業務委託契約、社会貢献事業への従事)も、自社に合う形を検討する手がかりになります。

実施チェック:シニアの役割と処遇が「年齢」ではなく「期待する成果」に基づいて説明できる状態になっていますか。

ステップ3:リスキリング・学び直し機会の提供

シニアにこそ、新しい業務やツールに対応するための学び直しの機会が必要です。デジタルスキルや新しい業務プロセスを学べる研修を用意し、「年齢に関係なく学び続けられる」という前提を組織として示します。学び直しは本人の自信と意欲を取り戻すきっかけにもなります。

実施チェック:シニア層が参加できる学び直し・スキル更新の研修プログラムが整備されていますか。

ステップ4:知識・技能の継承を仕組み化する

シニア人材の最大の価値は、長年蓄積した知識・技能・人脈です。これを属人的なまま放置すると、退職とともに失われます。メンター制度やOJTの担い手としてシニアを位置づけ、若手への技能継承を日常業務に組み込みます。継承すべき暗黙知を文書やマニュアルとして残す取り組みも並行して進めます。

実施チェック:シニアが持つ知識・技能を、後進へ計画的に継承する仕組み(メンター・OJT・文書化)がありますか。

ステップ5:評価とエンゲージメントの継続的な測定

役割を与えて終わりにせず、成果と貢献を適切に評価し、定期的な面談で状態を確認します。評価が処遇に反映される納得感のある仕組みは、シニアの意欲を持続させます。エンゲージメントの変化を定点で測り、ミスマッチが生じていないかを早期に把握して手を打つことが、長期的な戦力化につながります。

実施チェック:シニアの成果を評価し、定期的に面談で意欲・課題を確認する運用が定着していますか。

まとめ:シニア活用は「コスト」ではなく「投資」である

65歳以上の就業者が930万人に達し、70歳就業確保措置の実施企業が34.8%にとどまる今は、シニア人材の戦力化に先行して取り組む企業ほど、人手不足という共通課題のなかで優位に立てる局面です。重要なのは、再雇用の枠を用意することではなく、役割・処遇の再設計、学び直しの提供、知識継承の仕組み化、そして継続的な評価という一連の仕組みを整えることです。シニアの経験を活かしきることは、単なる人手の穴埋めではなく、組織の知を次世代へつなぐ投資にほかなりません。本記事の5つのステップを、自社の要員計画の見直しからぜひ始めてみてください。

WONDERFUL GROWTHでは、シニア層のリスキリングや知識継承を含む、階層・年代に応じた人材育成プログラムの設計を支援しています。自社の人材育成のあり方を見直したい方は、ぜひお気軽に資料をご請求ください。

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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