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はじめに
優秀な社員から退職の意思を伝えられたとき、条件の見直しを提示して引き留めを試みる企業は少なくありません。この記事では、そうした退職の引き止めの場面で使われる「カウンターオファー」について、採用・人事の実務でどのように扱うべきかを解説します。
カウンターオファーとは?
カウンターオファーとは、従業員から退職の申し出があった際に、企業側が給与の引き上げや役職の変更などの条件を新たに提示し、退職を思いとどまらせようとする提案を指します。もともとは契約交渉における対案を意味する言葉ですが、人事の文脈では、退職を申し出た社員に対する引き留めの提案という意味で使われることが一般的です。
転職活動の過程で、内定を受けた候補者が現在の勤務先から同様の提案を受けることもあります。この場合は、転職先の企業と現在の勤務先の双方から条件を比較検討する状況が生まれるため、採用担当者にとっても無視できない場面です。
よく使われるシーン
次のような場面で、この用語が話題にのぼります。
- 優秀な社員から退職の申し出を受け、上司や人事部門が引き留めの条件を検討するとき
- 内定を出した候補者が、現在の勤務先からの引き留めを受けて入社を迷っているとき
- 退職理由を分析する際に、待遇面の不満が主な理由だったのかを振り返るとき
- 人材の定着施策を検討する際、退職の兆候が出てから対応するのではなく、日頃の処遇や評価を見直す必要性を議論するとき
カウンターオファーを理解することの重要性
この概念を理解しておくことは、採用活動と人材の定着の両面で役立ちます。採用担当者にとっては、内定者が現在の勤務先からカウンターオファーを受ける可能性をあらかじめ想定し、入社の意思を固めてもらうための情報提供やフォローを早めに行うことが重要です。
一方で、引き留める側の企業にとっても、カウンターオファーには注意点があります。給与や役職の引き上げによって一時的に退職を思いとどまらせても、退職を考えた根本的な理由が解消されていなければ、しばらくして再び転職を検討する可能性が残ります。また、一人にだけ特別な条件を提示すると、他の社員との公平性を欠く結果にもなりかねません。カウンターオファーに頼るのではなく、日頃からの評価や処遇の見直しによって、退職を申し出る前の段階で不満を解消しておく取り組みが、本質的な対策です。
人材紹介会社を介した転職では、内定から入社までの期間にカウンターオファーが提示され、内定辞退に至る事例が珍しくありません。採用担当者は、内定から入社までの期間を候補者にとって不安の残る空白期間にしないよう、計画的にフォローを行う必要があります。
実務で活かすためのチェックポイント
- 退職の申し出を受けた際、まずは本人の退職理由を丁寧に確認しているか
- カウンターオファーを提示する前に、根本的な不満の原因が処遇以外にもないかを確認しているか
- 条件を提示する場合、他の社員との公平性を損なわない範囲にとどめているか
- 内定を出した候補者に対して、入社後のキャリアや働き方について具体的な情報を提供し、不安を減らしているか
- 退職の兆候が出る前の段階で、定期的な面談や処遇の点検を行っているか
カウンターオファーを巡る対応は、人事部門だけでなく、本人の直属の上司の役割も大きく関わります。日頃から部下の仕事ぶりや希望するキャリアを把握している上司が、退職の申し出を受けた際に最初の対話を担うことで、本人の本音に近い情報を得やすくなります。人事部門は、こうした現場の情報を踏まえたうえで、全社的な公平性を保ちながら対応方針を決める役割を担います。
よくある質問
カウンターオファーを受け入れて会社に残った場合、その後はどうなりますか。
一度退職の意思を伝えた経緯から、本人と会社の双方に心理的な距離が生じる場合があります。再び転職を検討する従業員も一定数いるとされており、引き留めが長期的な定着につながるとは限りません。
カウンターオファーは断るべきだという意見を聞きますが、本当ですか。
一概には言えません。退職を考えた理由が処遇の不満であり、提示された条件でその不満が解消されるのであれば、残る選択も合理的です。判断の基準は、退職理由そのものが解消されるかどうかにあります。
採用担当者は、候補者がカウンターオファーを受ける可能性にどう備えればよいですか。
内定後から入社日までの期間、候補者との接点を保ち、入社後の役割や期待を具体的に伝えておくことが有効です。不安や疑問を早めに解消しておくことで、引き留めを受けた際に揺らぎにくくなります。
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