⌖ Detail
はじめに
人事評価の結果を集計してみると、多くの管理職が部下に甘い評価をつけてしまい、大多数が「良い」「優秀」に偏ってしまう。こうした評価の偏りに悩む企業は少なくありません。この課題に対応する手法の一つとして知られているのが「強制分布法」です。この記事では、強制分布法の意味と仕組み、導入する際の注意点について解説します。
強制分布法とは?
強制分布法とは、人事評価において、あらかじめ定めた評価段階ごとの人数比率(分布)に、評価対象者を強制的に当てはめていく評価手法のことです。英語では「Forced Distribution」、評価者が優劣をつけて並べ替える手法と組み合わせて「フォーストランキング」と呼ばれることもあります。
たとえば「上位10%はS評価、次の20%はA評価、中位の40%はB評価、下位の20%はC評価、最下位の10%はD評価」というように、評価段階ごとの割合をあらかじめ決めておき、評価者はその比率に沿って部下を振り分けます。評価者の主観による「甘い評価」や「辛い評価」への偏りを抑え、部署間・評価者間で評価基準を揃えることを目的とした手法です。
米国企業では1980年代以降、ゼネラル・エレクトリック社が採用した仕組みとして知られるようになり、成果主義の広がりとともに日本企業でも導入例が見られるようになりました。
よく使われるシーン
強制分布法は、次のような場面で用いられます。
まず、複数の部署や事業部にまたがって人事評価を実施する際、評価者ごとの甘辛のばらつきを是正する目的で用いられます。評価会議(キャリブレーション)の場で、各部署の評価分布を確認し合い、比率から大きく外れる部署には調整を求めるという運用が一般的です。また、限られた昇給原資や賞与原資を、評価に応じて差をつけて配分する際の根拠として活用される場面もあります。
さらに、相対評価によって組織内の人材の相対的な位置づけを明確にし、次世代リーダー候補の選抜やパフォーマンスの低い層への対応方針を検討する材料としても使われます。
強制分布法を理解することの重要性
強制分布法という考え方を理解しておくことには、複数の意義があります。
第一に、評価者による評価のばらつきを抑え、組織全体で評価の公平性を担保する仕組みとして機能します。第二に、限られた原資を成果に応じて重点配分する際の、客観的な根拠を提供します。第三に、相対評価という手法が持つ長所と短所の両方を理解することで、自社の評価制度設計における選択肢の一つとして検討できるようになります。
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
— SHARE with カイシャの育成論 編集部