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はじめに
障害の程度によっては、公共交通機関を使った通勤そのものが大きな負担になることがあります。採用したくても、通勤手段の確保が壁となって受け入れを断念してしまう企業もあるでしょう。本人の能力や意欲に問題がなくても、通勤という入り口の部分で雇用の機会が狭まってしまうのは、企業にとっても人材にとっても望ましいことではありません。この記事では、そうした通勤面の負担を軽減するための公的な助成制度である「重度障害者等通勤対策助成金」について解説します。
重度障害者等通勤対策助成金とは?
重度障害者等通勤対策助成金とは、重度の身体障害者や知的障害者、精神障害者など、通勤に特に配慮が必要な従業員の通勤を容易にするための措置を講じる事業主への助成制度です。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が、障害者雇用納付金制度にもとづいて費用の一部を助成します。
助成の対象となる措置には複数の種類があります。住宅を賃借して通勤しやすい場所に居住してもらう費用の補助、通勤を指導する指導員の配置、通勤用バスの購入や運転担当者の委嘱、駐車場の賃借、通勤用自動車の購入にかかる費用などです。企業の実情や従業員の障害特性に応じて、どの措置が適切かを選択することになります。対象となる障害の程度や措置ごとの助成率・限度額は制度の見直しにより変わることがあるため、申請の検討にあたってはJEEDの都道府県支部高齢・障害者業務課が公表する最新の案内を確認する必要があります。
よく使われるシーン
通勤距離や交通手段の制約から採用を迷っている候補者がいる場合に、人事担当者が活用を検討する場面で使われます。また、既に雇用している従業員の障害の状態が変化し、これまでの通勤方法では負担が大きくなった際に、配置転換とあわせて通勤支援の見直しを検討する場面でも登場する言葉です。
重度障害者等通勤対策助成金を理解することの重要性
通勤の負担は、業務そのものとは別に従業員の心身に影響を与える要素であり、放置すれば早期離職につながりかねません。この助成金の存在を知っていれば、通勤面の課題を理由に優秀な人材の採用や雇用継続を諦める必要がなくなります。障害者雇用を一時的な受け入れで終わらせず、長期的に活躍してもらうための環境整備の一つとして、通勤対策を位置づけることが重要です。
通勤手段の確保は、本人の生活全体にも関わる事柄です。会社の近くへの転居を伴う住宅支援か、自宅からの通勤を前提とした送迎支援かによって、本人の生活への影響も変わってきます。費用面の助成だけでなく、本人の意向を丁寧に確認しながら方法を選ぶ視点が欠かせません。
実務で活かすためのチェックポイント
- 対象となる従業員の障害の種類・程度が、助成金の対象要件に該当するかを事前に確認しているか
- 住宅の賃借や通勤用バスの導入など、複数ある措置の中から自社の状況に合ったものを検討できているか
- 対象となる従業員本人の希望や生活状況を丁寧にヒアリングしたうえで、通勤支援の方法を決めているか
- 申請の手続きを、措置の実施前など、制度で定められた順序に沿って進められているか
- 通勤支援を導入した後も、定期的に状況を確認し、必要に応じて見直す体制を整えているか
よくある質問(FAQ)
Q. 対象となるのは身体障害者だけですか。
A. 身体障害者に限らず、重度の知的障害者や精神障害者など、通勤に特に配慮を要する従業員も対象となり得ます。個別の該当要件は、JEEDに確認することをおすすめします。
Q. 通勤用バスを導入する場合、運転手の人件費も対象になりますか。
A. 運転に従事する者への委嘱にかかる費用が助成の対象に含まれる場合があります。具体的な対象範囲は措置の種類によって異なるため、申請前にJEEDへ確認するとよいでしょう。
Q. 複数の措置を組み合わせて申請することはできますか。
A. 従業員一人ひとりの通勤状況に応じて、複数の措置を組み合わせて検討することは可能です。どの組み合わせが適切かは個別の事情によって異なるため、計画段階でJEEDに相談することをおすすめします。
自社の人材育成・組織課題に関するご相談
通勤面の課題を解消し、障害のある従業員が長く活躍できる環境を整えるには、本人の状況に寄り添った支援策の検討が欠かせません。自社の人材育成や組織課題について相談したい方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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