Practice

内定辞退を防ぐ方法|辞退率の構造を理解し、内定者フォローで歩留まりを高める5つの実践ステップ

「内定を出しても辞退される」企業が増えています。マイナビ調査では内定辞退率5割以上の企業が41.5%と、2019年卒の約2倍に拡大しました。本記事では主要調査から辞退の構造を読み解き、内定者フォローで採用の歩留まりを高める5つの実践ステップを、実施チェック付きで解説します。

公開日
2026/06/19
更新日
2026/06/19
読了時間
10
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
内定辞退内定者フォロー新卒採用採用歩留まり

「内定を出しても辞退される」――いま採用現場で起きていること

時間とコストをかけて内定を出したにもかかわらず、入社に至らずに辞退されてしまう。この「内定辞退」が、あらためて採用の重要課題として浮上しています。背景にあるのは、少子高齢化による若年人口の減少と、それにともなう売り手市場の長期化です。

株式会社リクルート 就職みらい研究所の「就職プロセス調査」によると、2027年卒業予定者の就職内定率は2026年5月1日時点で67.0%に達しています。学生が早い段階で複数の内定を得やすい環境では、企業から見た内定辞退は構造的に発生しやすくなります。

マイナビ「2026年卒企業新卒内定状況調査」では、内定(内々定)辞退率が「5割以上」と回答した企業は41.5%に上りました。2019年卒の21.1%と比べて約2倍に拡大した計算です。一方で「辞退者なし」と回答できた企業は23.8%にとどまり、およそ4社に3社が何らかの内定辞退に直面しているのが実情です。

内定辞退は、それまでに投じた採用広告費や面接の工数、選考にかけたコストを回収できないまま、採用計画の未達へと直結します。帝国データバンクの調査でも人手不足を理由とする倒産は高い水準で推移しており、「採用したのに入社に至らない」損失は、もはや人事部門だけにとどまる問題ではありません。

内定辞退はなぜ起きるのか――辞退理由の構造を読み解く

有効な対策を立てるには、まず「なぜ辞退されるのか」を構造としてとらえる必要があります。マイナビの同調査が示す、企業から見た2026年卒の主な内定辞退理由は次のとおりです。

内定辞退の理由(2026年卒・複数回答)

回答割合

より志望度の高い企業から内定が出た

49.8%

希望職種と合致しなかった

17.7%

希望勤務地と合致しなかった

15.1%

企業の業種

12.1%

給与条件

11.4%

福利厚生などの制度

9.6%

辞退理由を学生に確認していない

6.1%

最も多い理由は「より志望度の高い企業から内定が出た」で、49.8%とおよそ半数を占めます。これは、自社が学生の第一志望群に入りきれていないこと、すなわち志望度の醸成と、他社と比較したときの魅力づくりに課題があることを示しています。また「辞退理由を学生に確認していない」が6.1%ある点も見逃せません。理由を把握しないままでは、改善の打ち手が定まらないからです。

内定後のコミュニケーションが果たす役割について、大分大学の碇邦生氏は次のように指摘しています。

内定後のコミュニケーションが豊富であるほど、内定者の満足度は高まる。入社意欲は「仕事へのフィット」と「組織へのフィット」という二つのフィットによって引き上げられる。(マイナビキャリアリサーチLab掲載インタビューより要約)

つまり内定辞退への対策とは、その場しのぎの引き止めではなく、「この会社で働く自分」を具体的に思い描けるよう支援し、相互理解の質を高めていく取り組みだといえます。

内定辞退を防ぐ5つの実践ステップ

ここからは、辞退率の構造を踏まえた具体的な打ち手を、五つのステップに分けて解説します。各ステップの末尾に「実施チェック」を設けましたので、自社の現状を点検する際にご活用ください。

ステップ1:辞退率を「見える化」し、KPIとして管理する

最初に取り組むべきは、感覚ではなく数値で現状をとらえることです。内定承諾率と辞退率を、選考時期・募集チャネル・学生の属性ごとに集計し、「内々定から承諾、入社」へと至る流れのどこで離脱が起きているのかを把握します。辞退の連絡を受けた際には、理由を確認して記録する運用をあらかじめ標準化しておきます。数値と理由がそろって初めて、次に打つべき手が見えてきます。

実施チェック

  • 内定承諾率と辞退率を、選考時期・チャネル・属性ごとに集計できている
  • 辞退の連絡時に理由を確認し、記録する運用が標準化されている
  • 前年実績と比較し、辞退が増える時期と属性を特定できている

ステップ2:選考段階から相互理解を深める(リアルな情報提供)

辞退理由の上位に職種・勤務地・業種・処遇への不一致が並ぶことからもわかるとおり、入社後の現実と学生の期待がずれていると、内定後に不安が膨らみ辞退へと傾きます。これを防ぐ考え方が、良い面だけでなく仕事の厳しさや実情もあらかじめ伝える「リアルな情報提供(RJP:Realistic Job Preview)」です。選考は見極めの場であると同時に、期待値をすり合わせる相互理解の場でもあります。社員との対話や職場見学を通じて入社後の姿を具体的に共有しておくことが、後の辞退を減らします。

実施チェック

  • 仕事の魅力だけでなく、難しさや実態も選考過程で率直に伝えている
  • 配属の可能性や働き方について、学生の疑問に具体的に答えている
  • 面接が一方的な評価で終わらず、相互理解の対話になっている

ステップ3:内定後のコミュニケーションを設計する(接触の頻度と質)

内定から入社までの期間は、学生の不安が最も高まりやすい時期です。マイナビ「企業新卒採用活動調査」では、効果があった内定辞退対策として次の施策が挙げられています。

効果があった内定辞退対策(2026年卒調査)

回答割合

内定者懇親会(食事会など)

59.6%

社員との座談会

23.8%

内々定式

22.8%

社内見学・工場見学

21.4%

先輩社員との面談

20.3%

定期的なメール連絡

19.8%

人事との面談

18.9%

上位の施策に共通するのは、人と人とが直接つながり、入社後の関係性をあらかじめ築いている点です。一方で「効果があると感じたものはなかった」と答えた企業も11.4%あり、ただ施策を並べるだけでは成果に結びつかないことも読み取れます。重要なのは頻度と質の設計です。なお、過度な接触は学生に負担を与え、「就活終われハラスメント(オワハラ)」と受け取られかねません。連絡の量は相手の状況に合わせ、双方向のやり取りを心がけることが大切です。

実施チェック

  • 内定から入社までの接触計画(時期・手段・担当)が設計されている
  • 一方的な連絡ではなく、内定者が質問や相談をしやすい場がある
  • 連絡の頻度が過度になっていないか、相手の負担を確認している

ステップ4:内定者の不安に応える(配属・キャリア・処遇の透明化)

内定者の不安の多くは、「自分はどこに配属されるのか」「どのように成長できるのか」「処遇は納得できるものか」という見通しの曖昧さから生まれます。辞退理由に希望職種や勤務地、給与条件が並ぶのは、その裏返しです。可能な範囲で配属の方針やキャリアパス、初任給や評価の考え方を早めに開示することで、学生は将来像を描きやすくなります。情報を出し惜しみせず、誠実に開示する姿勢そのものが信頼につながります。

実施チェック

  • 配属やキャリアの見通しを、可能な範囲で具体的に伝えている
  • 初任給や評価制度の考え方を、入社前に説明している
  • 学生が抱えがちな不安を想定し、先回りして情報を提供している

ステップ5:内定者フォローを「育成の入り口」に変える(内定者研修・オンボーディング接続)

内定者フォローを単なる引き止め策で終わらせず、入社後の育成の入り口として設計し直すと、辞退防止と早期戦力化の両方に効果が生まれます。内定者研修や入社前の学習を通じて、学生は「ここで成長できそうだ」という期待を持ち、入社後のオンボーディングへと滑らかにつながります。学ぶ機会の提供は、企業からの投資のメッセージでもあり、内定者の所属意識を高めます。フォローの設計図は、入社後三か月の立ち上がりまで含めて描くことをおすすめします。

実施チェック

  • 内定者フォローが、入社後の育成計画と一本の線でつながっている
  • 内定者が学びや成長を実感できる機会を用意している
  • 入社後の受け入れ体制(オンボーディング)まで設計されている

内定者フォローで陥りやすい三つの落とし穴

最後に、フォロー施策が逆効果になりやすい三つのパターンを挙げます。

  • 過度な囲い込み(オワハラ化):連絡や拘束が多すぎると、かえって不信感を招きます。学生の主体性を尊重し、適切な距離感を保つことが必要です。
  • 施策の自己満足:毎年の恒例行事として続けるだけで効果を検証しないと、施策は形骸化します。施策ごとに辞退率への寄与を振り返ることが欠かせません。
  • 個別最適の欠如:不安の中身は一人ひとり異なります。一律の対応では響かないため、面談などを通じて個別の不安を把握し、対応を調整する視点が求められます。

まとめ――辞退対策は「採用」と「育成」をつなぐ投資

内定辞退率が高止まりする売り手市場では、内定を出すことがゴールではありません。辞退率を数値で管理し(ステップ1)、選考段階から相互理解を深め(ステップ2)、内定後の接触を設計し(ステップ3)、不安に応え(ステップ4)、フォローを育成の入り口へと変える(ステップ5)。この五つを一貫して実行することが、採用の歩留まりを着実に高めます。内定者フォローは採用と育成をつなぐ投資であり、入社後の定着と早期戦力化にも直結する取り組みです。

内定者フォロー・研修設計のご相談

WONDERFUL GROWTHでは、内定者研修からオンボーディング、管理職や現場リーダーの育成までを一気通貫で設計し、内定辞退の防止と入社後の早期戦力化・定着を支援しています。自社の内定者フォローを「引き止め」から「育成の入り口」へと転換したい方は、ぜひ一度サービス資料をご覧ください。

資料請求・お問い合わせはこちら

Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

Related Download

研修プログラム カタログ

WG が提供するテーマ別研修プログラム 18 種の全容・カリキュラム・対象者をまとめた資料です。

✦ SHARE with カイシャの育成論

メディアでも、深く発信しています。

自社メディア『SHARE with カイシャの育成論』では、企業インタビューと人事用語辞典を通じて、より深い知見をお届けしています。