2027年卒学生向けインターンシップの実施率は69.8%まで上昇しました。実施する企業が増えるほど、体験を入社後の活躍や定着に結びつけるプログラムの設計が問われます。
インターンシップの実施率は69.8%、前年から4.1ポイント増
マイナビが2025年12月に公表した「2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査」によると、2027年卒学生向けのインターンシップ・仕事体験を「実施した、または実施予定」と回答した企業は69.8%にのぼりました。前年に調査した2026年卒向けの実施状況より4.1ポイント増加しました。
同調査では、学生が学業とインターンシップへの参加を両立できるよう、実施時期に「何らかの配慮を行っている」と回答した企業も94.6%にのぼりました。複数日程を用意する企業が72.4%、大学の休暇期間に合わせて実施する企業が70.9%と、学生の都合に合わせた運営が一般的になっています。
学生の91.9%が「企業から服装を指定してほしい」と回答した一方で、実際に参加時の服装を指定している企業は52.6%にとどまりました。
実施率という数字の裏側で、運営の細部にはまだ改善の余地が残っていることがうかがえます。プログラムを設計する際は、こうした細かな配慮の有無が学生の体験価値を左右する点も踏まえておく必要があります。
採用選考に活用できる情報が増え、インターンシップの位置づけが変わった
インターンシップの実施率が高まっている背景には、制度面の変化もあります。政府のインターンシップに関する基本的な考え方が、いわゆる「三省合意」の改正(2022年6月)により見直され、一定の要件を満たすインターンシップで得た学生の評価や情報を、広報活動・採用選考活動の開始時期以降に限り生かせるようになりました。要件には、卒業・修了前年度以降の長期休暇中の実施、実施期間5日以上(専門活用型は2週間以上)、実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験にあてることなどが含まれます。
この変更を受けて、インターンシップは学生向けの会社紹介の場にとどまらず、採用選考の判断材料を得る場としての性格を強めています。人事担当者にとっては、限られた実施回数の中で学生の適性や意欲を見極める設計そのものが、採用の精度を左右する重要な業務になっています。
「参加させること」で終わらせないプログラムの組み立て
インターンシップの実施率が上がるほど、企業間の差は「実施しているかどうか」ではなく、「参加した学生をその後どうつなげているか」に表れます。
図解01
「参加させること」で
2027年卒インターンシップの
入社後入社後の
- 2027年卒インターンシップの実施率 69.8%
- 1インターンシップ就業体験の
質を 設計する参加学生一人ひとりに対して、 担当社員が 個別にフィードバック - 2選考情報活用と
選考接続の 運用を 設計する評価情報を、 誰がどの 選考段階で 参照するのか - 3内定後入社後の
育成につなげる 接続を 設計する内定者 フォローや 配属検討の 資料として 引き継ぐ - 入社後入社後の活躍や定着
就業体験の質を設計する
参加者数を増やすことだけを目的にすると、内容が説明会に近いプログラムになりやすく、学生が実務のイメージを持てないまま終わってしまいます。実務に近い課題を用意し、担当社員からのフィードバックを組み込むことで、学生は自分の適性を具体的に確認でき、企業側も見極めの精度を高められます。
就業体験の質が保たれているかどうかは、次の状態から見て取れます。
- プログラムの中に、実際の業務に近い課題や成果物の作成が含まれている
- 参加学生一人ひとりに対して、担当社員が個別にフィードバックを行っている
- 受け入れ現場の社員に対して、事前の役割説明や簡単な研修を行っている
情報活用と選考接続の運用を設計する
採用選考に活用できる情報が増えたとはいえ、あらかじめ社内でルールを定めておかなければ、評価が担当者の主観に偏ったり、学生への説明が不十分になったりする恐れがあります。どの情報を、どの選考段階で、どのように使うのかを事前に明文化しておくことが欠かせません。
情報の使い方を事前に定めた企業では、次のような状態ができています。
- インターンシップで得た評価情報を、誰がどの選考段階で参照するのかが明文化されている
- 情報の取り扱いについて、参加学生本人への説明と同意取得を行っている
- 参加者と非参加者との間の選考の公平性について、社内で説明できる状態になっている
入社後の育成につなげる接続を設計する
インターンシップで見えた学生一人ひとりの強みや課題は、内定後のフォローや入社後の配属・育成計画に生かしてこそ価値を持ちます。採用担当と育成担当の間で情報が引き継がれていない企業では、せっかくの気づきが入社後に埋もれてしまいがちです。
入社後の育成へ気づきを引き継ぐ流れは、次の形で整えます。
- インターンシップでの気づきを、内定者フォローや配属検討の資料として引き継ぐ仕組みがある
- 採用担当と教育・研修担当との間で、定期的に情報共有の場を設けている
- 入社後の早期育成計画に、インターンシップ時点で得られた学生理解を反映している
まとめ
インターンシップの実施率は69.8%まで上昇し、多くの企業にとって「実施するかどうか」はすでに前提になりつつあります。これからの採用力は、就業体験の質、選考への接続ルール、入社後の育成へのつなぎ方を、それぞれどこまで具体的に設計できるかで決まります。限られた人事部門のリソースで質を高めるには、外部の知見を取り入れることも有効な選択肢です。
出典:マイナビ「2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査」(2025年12月22日公表、調査期間2025年11月14日〜11月28日、有効回答1,282社)
Editor’s Note
本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。
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