株式会社マイナビが2025年3月に公表した調査によれば、中途採用担当者1,500名のうち36.5%が、2024年にダイレクトリクルーティングを利用したと回答しました。この割合は2022年の34.1%、2023年の35.1%から3年連続で上昇しています。
さらに注目したいのが、利用者のうち実際に採用へつながった比率を示す「採用到達率」です。ダイレクトリクルーティングの採用到達率は60.5%で、転職サイト(60.0%)や人材紹介会社(59.8%)を上回り、調査対象10手法の中で最も高い数値でした。
同じ調査では、正社員人材について「不足感がある」と答えた企業が42.1%にのぼりました。求人を掲載して応募を待つ採用活動だけでは、母集団の確保が難しくなっています。企業から候補者へ直接働きかけるダイレクトリクルーティングへの関心は、こうした状況を背景に高まっています。
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、転職サイトやスカウト媒体に登録された人材データベースから、企業が自社の求める人物像に合う候補者を検索する採用手法です。候補者を見つけたら、直接スカウトメッセージを送り、母集団を形成します。
求人を掲載して応募を待つ手法とは異なり、企業が候補者を選び、声をかける点に特徴があります。
前述のとおり、ダイレクトリクルーティングの利用率は3年連続で上昇しており、中途採用の現場で存在感を増しています。一方で、スカウト文面の作成や候補者への継続的な連絡には相応の工数がかかります。仕組み化されていない企業では、送信しても返信が来ない、運用の担当者が変わると質が落ちるといった課題も生じやすくなります。
人材像の具体化から候補者情報の蓄積まで、成果につなげる進め方
図解01
人材像の
2024年ダイレクトリクルーティングを
蓄積候補者情報を
- 2024年ダイレクトリクルーティングを利用した 36.5%
- 1人材像採用したい
人材像を 具体化する現場の 管理職と、 人材像についての 認識がそろっている - 2スカウトスカウト
文面を 候補者ごとに 書き分ける候補者ごとに、 評価している 点を 1文以上入れている - 3数値返信率と
到達率を 数値で 管理する各段階(送信・ 開封・ 返信・ 面接・ 内定)の 数値を 記録 - 4選考選考の
速さを 候補者の 視点で 見直す書類選考から 内定までの 標準日数を 定めている - 蓄積候補者情報を資産として蓄積する
採用したい人材像を具体化する
ダイレクトリクルーティングは、候補者を探しにいく手法です。求める人材像が曖昧なままでは、検索条件を絞り込めず、スカウトの精度が下がります。
募集職種の業務内容に加え、必要な経験年数やスキルを言葉にします。候補者が転職を考える理由として想定される課題感まで含め、現場の管理職と人事の間ですり合わせておくことが大切です。
人材像が検索条件に落とし込めるほど具体的になったかどうかは、次の点で見極めます。
- 募集職種に必要な経験とスキルを、優先順位をつけて言葉にしている
- 現場の管理職と、人材像についての認識がそろっている
- 候補者が転職を考える理由を、想定の範囲で整理している
スカウト文面を候補者ごとに書き分ける
同じ文面を一斉に送るスカウトは、候補者にとって「その他大勢向け」の連絡だと伝わりやすく、返信率が上がりにくくなります。候補者の経歴やスキルのうち、自社が評価している点に具体的に触れ、なぜ声をかけたのかが伝わる文面にすることが、返信率を左右します。
スカウトを送る前に、文面が次のようになっているかを見直します。
- 候補者ごとに、評価している点を1文以上入れている
- 自社で任せたい業務や役割を具体的に示している
- 件名と本文の冒頭2行で、要点が伝わる構成になっている
返信率と到達率を数値で管理する
マイナビの調査が示す採用到達率60.5%は、業界全体の平均値です。自社の運用がこの水準に近いかどうかを把握するには、送信数・開封率・返信率・面接設定率・内定率を段階ごとに記録し、どの段階でつまずいているかを見える形にする必要があります。
返信率が低ければ文面や送信対象を見直し、面接設定率が低ければ候補者対応の速さを点検します。
数値で管理できているチームでは、次のことが日々の業務に組み込まれています。
- スカウトの各段階(送信・開封・返信・面接・内定)の数値を記録している
- 数値が悪化した段階について、原因の仮説を立てて改善につなげている
- 運用担当者の間で、数値を共有する場を定期的に設けている
選考の速さを候補者の視点で見直す
ダイレクトリクルーティングで声をかけた候補者には、転職活動を積極的には行っていない層が含まれます。選考の連絡が遅い、対応が事務的である、といった点は、候補者が他社と比べて離れていく理由になりやすいものです。
書類選考から内定までの標準日数を定め、面接の日程調整や合否連絡を早く行う体制を整えることが、スカウトの成果を採用につなげるために欠かせません。
候補者を待たせない選考にするために、次のことを決めておきます。
- 書類選考から内定までの標準日数を定めている
- 面接の日程調整や合否連絡が滞りやすい工程を特定している
- 候補者からの問い合わせに応じる担当者と、目標の対応時間が決まっている
候補者情報を資産として蓄積する
一度の採用活動でつながった候補者との関係は、選考結果にかかわらず資産として活用できます。今回は条件が合わず不採用や辞退となった候補者でも、半年後や1年後には状況が変わっている場合があります。
候補者データベースを整理し、時期を見て再び連絡を取ることで、次回以降の母集団形成にかかる手間を減らせます。
一度つながった候補者を今後の採用に生かすには、次の運用が欠かせません。
- 過去にスカウトした候補者の情報を、検索して使える形で管理している
- 不採用や辞退となった候補者への連絡方法と文面を、あらかじめ定めている
- 半年から1年を目安に、候補者へ再び連絡する運用がある
まとめ
ダイレクトリクルーティングは、利用率と採用到達率の両方で存在感を増している採用手法です。ただし、導入するだけで成果が生まれるわけではありません。人材像の明確化から候補者情報の蓄積までの取り組みを一つずつ積み重ねることで、成果につながります。
自社の中途採用を振り返り、どの段階から着手できるかを検討することから始めてみてください。
出典:株式会社マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」(2025年3月、社長室キャリアリサーチ統括部)
ダイレクトリクルーティングの運用設計や、候補者体験を高める選考プロセスの見直しについてご相談がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
Editor’s Note
本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。
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