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アルムナイ採用とは?実施企業4割時代の「出戻り人材」を戦力化する5つの実践ステップ

アルムナイ採用(出戻り採用)の実施企業は約4割に達しています。正社員不足50.6%の時代に、退職者を人材資源として迎え直し、定着・戦力化につなげるにはどうすればよいのか。最新の調査データと5つの実践ステップで解説します。

公開日
2026/06/11
更新日
2026/06/11
読了時間
12
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
アルムナイ採用出戻り採用採用中途採用離職防止

正社員不足は50.6%。それでも「採用で埋める」が難しくなった

帝国データバンクが2026年5月19日に公表した「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」によると、正社員の人手不足を感じている企業は50.6%にのぼり、4月時点としては4年連続で5割を超えました。業種別では「情報サービス」が66.7%で最も高く、「運輸・倉庫」(65.9%)をはじめ7業種で6割以上に達しています。

一方で採用の現場では、単に「人数を採る」ことが解決策になりにくくなっています。マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」では、2026年の中途採用に91.1%の企業が積極的な意向を示し、なかでも経験者採用に積極的な企業は74.2%にのぼりました。同調査では、正社員の不足感の中身が、人数を確保したいという「量的な不足」(69.6%・前年比3.7ポイント減)から、高スキル人材・即戦力が足りないという「質的な不足」(55.6%・同6.7ポイント増)へ移りつつあることも示されています。さらに、募集時の要件を満たさない人材は「採用しない」と答えた企業が62.1%と前年より7.7ポイント増えており、人材を厳選する傾向が強まっています。

多くの企業が経験者を狙えば、獲得競争は激しくなり採用費も高騰します。こうしたなかで注目されているのが、自社をいったん退職した人材を再び迎え入れる「アルムナイ採用」です。本記事では、最新の調査データをもとに、アルムナイ採用の現状と効果、つまずきやすい課題、そして定着・戦力化までつなげる5つの実践ステップを解説します。

アルムナイ採用とは?実施企業はすでに約4割

アルムナイ(Alumni)とは本来「卒業生・同窓生」を意味する言葉で、人事の文脈では自社の退職者を指します。アルムナイ採用とは、退職者を「縁の切れた人」ではなく自社をよく理解する人材資源と捉え、継続的なつながりのなかから再雇用につなげる採用手法です。「出戻り採用」と呼ばれることもあります。

実施率は40.9%。一部の先進企業だけの手法ではない

マイナビ「中途採用・転職活動の定点調査(2024年1月度)」によると、企業のアルムナイ採用実施率は40.9%でした。従業員数が多いほど実施率は高く、従業員301名以上の企業では半数以上が実施しています。また、矢野経済研究所が2024年10〜11月に全国の民間企業834社へ実施した法人アンケートでも、「アルムナイ採用の実施経験がある」企業は38.8%でした。複数の調査が「およそ4割」という水準で一致しており、アルムナイ採用はすでに特別な手法ではなくなりつつあります。

個人側も「3人に1人」が出戻りを考えたことがある

個人側のデータも見てみましょう。マイナビの調査(2024年6月度)では、転職経験者のうち「過去退職した会社に戻りたいと思ったことがある」人は32.9%と、約3人に1人にのぼります。退職した会社の人と連絡を取り続けている人は57.5%と過半数で、頻繁に連絡を取っている層では「戻りたいと思ったことがある」割合が6割以上に達します。一方で、実際に出戻り転職をしたことがある人は12.3%にとどまります。潜在的な意向と実際の行動には大きな開きがあり、この差こそ、企業側の設計しだいで生かせる余地だといえます。

支援サービス市場は2年で約2.7倍に拡大

矢野経済研究所の推計では、リファラル採用・アルムナイ採用支援サービスの市場規模(事業者売上高ベース)は、2022年度の18億5,000万円から2024年度には50億7,000万円へと、2年間で約2.7倍に拡大する見込みです。同研究所は2028年度には300億円に達すると予測しており、退職者との関係を仕組みとして管理する動きは今後さらに広がると考えられます。

アルムナイ採用の効果と、見過ごせない2つの課題

マイナビの調査で、アルムナイ採用を実施している企業に「実施してよかったこと」を聞くと、最も多かったのは「即戦力として活躍してくれたこと」で、「採用・育成コストを削減できたこと」「自社外で身につけたスキルを還元してくれたこと」が続きました。アルムナイ採用の主な効果は、次のように整理できます。

  • 即戦力性:企業文化や業務をすでに理解しているため、立ち上がりが早い
  • コスト削減:母集団形成や広告にかかる採用費、入社後の育成コストを抑えられる
  • スキルの還元:他社で得た経験・スキル・人脈が自社に持ち込まれる
  • 採用精度:過去の働きぶりを互いに知っているため、ミスマッチが起きにくい

採用プロセスの面でも、アルムナイ採用は通常の中途採用より「採用ハードルが低い」とする企業が54.5%と過半数で、候補者の採用率が7割以上と答えた企業も45.7%にのぼります。声をかけられる関係さえ築けていれば、成功確率の高い採用チャネルだといえます。

一方で、課題も明確になっています。第一の課題は「既存社員との処遇差に対する不満の発生」です。マイナビの調査では、実施企業・検討企業の双方で課題の第1位にあがりました。社外で経験を積んで戻ってきた人材を高い処遇で迎えるほど、社内に残って組織を支えてきた社員との間に摩擦が生まれやすくなります。

第二の課題は、出戻る側の不安です。出戻り転職の経験者は「以前退職したときと会社の環境が変わっていること」を、検討中の人は「適正な賃金や評価を設定して貰えるか分からないこと」を最も不安に感じています。さらに、矢野経済研究所は調査のなかで次のように指摘しています。

日本では「辞めた人は裏切り者である」という考えからアルムナイ採用に対して抵抗のある企業が多い。(矢野経済研究所プレスリリース・2025年1月31日)

制度をつくるだけでは不十分で、退職者を快く迎え入れる組織文化の整備までを含めて取り組む必要があります。

アルムナイ採用を定着・戦力化につなげる5つの実践ステップ

ここからは、アルムナイ採用をこれから始める企業や、始めたものの成果が出ていない企業に向けて、5つの実践ステップを解説します。各ステップに実施チェックを添えていますので、自社の現在地の確認にお使いください。

ステップ1:「辞め方」を設計する(オフボーディングの整備)

アルムナイ採用は、退職の瞬間から始まっています。退職の申し出に感情的に対応したり、引き止め一辺倒の面談を行ったりすれば、その時点で将来の再入社の可能性はほぼ失われます。退職面談では、退職理由を非難せずに聞き取り、これまでの貢献への感謝を伝えたうえで、「いつでも戻ってきてほしい」という会社としての姿勢を言葉にして明確に伝えます。退職手続きや引き継ぎを丁寧に支援することも、最後の在職体験として強く記憶に残ります。

実施チェック:退職面談の標準手順に「感謝の伝達」と「再入社歓迎の意思表示」が組み込まれていますか。本人の同意のうえで退職者の連絡先を継続的に管理する仕組みがありますか。

ステップ2:アルムナイネットワークで「細く長い接点」を維持する

マイナビの調査が示すとおり、退職した会社の人と頻繁に連絡を取っている人は、「戻りたいと思ったことがある」割合が6割を超えます。つながりの維持こそが、出戻りの意向を実際の応募に変える最大の変数です。専用のアルムナイコミュニティの運営、定期的なニュースレターの配信、年1回の交流イベントなど、方法は自社の規模に合ったもので構いません。アルムナイネットワークへの参加率はまだ15.3%と低い水準ですが、参加者の76.0%が満足しており、仕組みをつくれば機能する余地の大きい施策です。

実施チェック:退職者に自社の近況(事業・制度・人の変化)が届く接点が年1回以上ありますか。再入社につながる募集情報がアルムナイへ告知される経路がありますか。

ステップ3:再入社の基準と処遇のルールを明文化する

最大の課題である「既存社員との処遇差への不満」は、多くの場合ルールの不在から生まれます。再入社時の等級・報酬の決定基準、勤続年数や退職金の取り扱い、選考プロセス(通常選考と同一か、一部を簡略化するか)をあらかじめ明文化し、既存社員にも説明できる状態にしておきます。ポイントは「アルムナイを優遇する」のではなく、「社外での経験を評価に正しく織り込む」という原則を明確にすることです。これは、出戻る側の最大の不安である「適正な賃金や評価を設定してもらえるか」への回答にもなります。

実施チェック:再入社者の処遇決定基準が文書化され、人事と現場管理職の間で共有されていますか。既存社員から処遇について質問された際に、一貫した説明ができますか。

ステップ4:再入社者専用のオンボーディングを用意する

出戻り転職の経験者が最も不安に感じているのは「以前退職したときと会社の環境が変わっていること」です。「以前いた人だから放っておいても大丈夫」という思い込みは禁物です。在籍当時から変わった点(組織体制、事業方針、システム、人間関係)を整理して伝える再入社者向けのオンボーディングを設計し、最初の90日間は通常の中途入社者と同等以上のフォローを行います。あわせて、本人の退職理由となった問題が現在は解消されているかを、受け入れ部門と事前に確認しておくことも重要です。同じ理由での再離職は、本人にも組織にも大きな痛手となります。

実施チェック:再入社者に「変わったこと・変わっていないこと」を伝える場が用意されていますか。入社後30日・90日の面談が設定されていますか。

ステップ5:効果測定と制度の改善サイクルを回す

アルムナイ採用も他の人事施策と同様に、やりっぱなしでは定着しません。再入社者数や採用単価だけでなく、再入社者の1年後の定着率と活躍度、受け入れ部門や既存社員の納得度までを指標に置き、年1回は制度を見直します。マイナビ「中途採用状況調査2026年版」では、2025年に退職者が発生した企業は49.3%にのぼり、勤続5年以上の中堅社員の退職については68.8%の企業が業務・経営への痛手と認識しています。容易には代替できない中堅層の穴を埋める現実的な選択肢として、アルムナイ採用の効果を定量的に示せれば、社内の理解と投資は自然と続いていきます。

実施チェック:再入社者の定着率・活躍度を追跡する仕組みがありますか。既存社員側の受け止めを把握する機会(サーベイや面談)がありますか。

「戻りたくなる会社」は、いまいる社員にとっても良い会社

アルムナイ採用の成否は、結局のところ「この会社にもう一度戻りたい」と思ってもらえるかどうかにかかっています。それは裏を返せば、いま働いている社員が「ここで働き続けたい」と感じられる組織であるかどうかという問いと、ほぼ同じです。退職者との関係を大切にできる会社は、在籍する社員との関係も大切にできる会社です。

その意味で、アルムナイ採用は単なる採用チャネルの追加ではなく、オンボーディング、評価・処遇の納得性、マネジメントの質、人材育成といった組織づくり全体とつながった施策です。採用の入り口だけを整えても、迎え入れた人材が育ち、定着する土台がなければ、再入社者は再び去っていきます。

WONDERFUL GROWTHでは、社員の定着と戦力化を支える管理職向け研修や、組織開発・人材育成のプログラムを提供しています。アルムナイ採用の受け皿となる「戻りたくなる組織」「人が育つ組織」づくりに課題をお持ちの方は、ぜひ下記より資料をご請求ください。

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引用元

Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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