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心理的安全性とは?「ぬるま湯」との違いと、成果につなげる職場づくりの5ステップ

心理的安全性は「ぬるま湯」ではありません。約3人に1人が意見を言い出しにくい職場で働くというパーソル調査を起点に、エドモンドソンの理論とGoogleの知見をふまえ、定義・測定方法から成果につなげる職場づくりの5ステップまでを解説します。

公開日
2026/07/27
更新日
2026/07/27
読了時間
8
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
心理的安全性組織開発エンゲージメントマネジメント研修

「自分たちの職場は、思ったことを率直に言い合えているだろうか」——人事担当者や経営層の多くが抱く問いです。パーソルファシリティマネジメントが2024年に首都圏の企業で働く958名を対象に実施した「心理的安全性の実態調査」では、勤め先を「自分の考えや意見を誰とでも素直に言い合える環境だ」と感じる人は62.3%である一方、34.0%は「そうは思わない」と回答しました。およそ3人に1人が、意見を言い出しにくい職場で働いていることになります。

一方で同じ調査は、心理的安全性を「上司や先輩が優しく、叱責が少ないこと(46.1%)」「休みが多い・取りやすいこと(42.2%)」と捉える人が多いことも明らかにしました。ここに、この概念の大きな落とし穴があります。心理的安全性とは、決して「ぬるま湯」のような居心地の良さを指す言葉ではありません。本記事では、定義と測定方法を整理したうえで、成果につなげる職場づくりの5ステップを解説します。

心理的安全性とは

心理的安全性(psychological safety)とは、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が1999年の論文で提唱した概念です。「対人関係のリスクをとっても、このチームは安全だとメンバーが共有している信念」を意味します。

質問する、懸念を口にする、失敗を認める、異なる意見を述べる——こうした行動をとっても、恥をかかされたり罰せられたりしないと信じられる状態が、心理的安全性の高い職場です。

この概念が世界的に注目された契機が、Googleが実施した「プロジェクト・アリストテレス」です。同社は約2年をかけて180を超えるチームを分析し、200件以上の面談と250以上のチーム特性の検討を重ねました。その結果、成果の高いチームを分ける最も重要な要因が心理的安全性であると結論づけています。ほかに「相互信頼」「構造と明確さ」「仕事の意味」「仕事のインパクト」の4要素も挙げられていますが、それらが機能する土台になるのが心理的安全性です。

「ぬるま湯」ではない——目指すのは「学習ゾーン」

心理的安全性への最も多い誤解は、「厳しいことを言わず、居心地の良い職場をつくること」と捉えてしまうことです。しかし、提唱者であるエドモンドソン教授自身が、これを明確に否定しています。

同教授は、「心理的安全性」と「仕事の基準(求められる責任や成果の水準)」という2つの軸から、職場を4つの状態に整理しています。

  • 無関心ゾーン(安全性・基準がともに低い):メンバーは最低限の仕事にとどまり、改善も挑戦も生まれにくい状態です。
  • 快適ゾーン(安全性は高いが基準が低い):発言はしやすいものの、成果への緊張感が乏しく、なれ合いに陥りやすい状態です。いわゆる「ぬるま湯」がこれにあたります。
  • 不安ゾーン(基準は高いが安全性が低い):高い要求はあるものの、失敗を恐れて発言できず、問題が水面下に隠れてしまう状態です。
  • 学習ゾーン(安全性・基準がともに高い):安心して意見を出しながら、高い目標に挑む状態です。学習と高い成果が両立します。

目指すべきは、安全性と高い基準の両方が満たされた「学習ゾーン」です。心理的安全性は、要求水準を下げることではなく、高い基準に健全に挑むための土台である——この理解が出発点になります。

心理的安全性の測定方法

職場づくりは、現状を正しく把握することから始まります。心理的安全性はチーム単位で測定できるよう設計されており、匿名のアンケートで数値化するのが一般的です。たとえば次のような項目に、複数の段階で回答してもらいます。

  • このチームでは、ミスをするとたいてい責められる(回答を反転させて集計する項目)
  • このチームでは、問題や言いにくい課題も提起できる
  • このチームのメンバーには、助けを求めやすい
  • このチームでは、リスクをとっても安全だと感じられる
  • 自分ならではの力や視点が、活かされていると感じる

測定にあたっては、3点に注意します。第一に、心理的安全性は個人ではなくチームの性質であるため、チームごとに集計することです。第二に、「責められる」「助けを求めにくい」といった反転項目を混ぜ、回答の偏りを抑えることです。第三に、一度きりで終えず、四半期ごとなど定点で測り、施策の効果を確かめることです。

成果につなげる職場づくりの5ステップ

ステップ1 現状を測り、対話の出発点にする

まずは前述のアンケートで、チームの現状を数値化します。大切なのは点数の高低そのものよりも、「なぜこの結果になったのか」をチームで語り合う材料にすることです。数値は評価のためではなく、対話のきっかけとして扱います。

実施チェック:チーム単位で心理的安全性を測定し、結果を当事者と共有して対話の場を設けたか。

ステップ2 リーダーが「弱さ」と「非を認める姿勢」を先に示す

心理的安全性は、立場が上の人の振る舞いに強く左右されます。リーダーが自分の失敗や分からないことを率直に開示し、「自分も間違えることがある。気づいたら教えてほしい」と伝えることで、部下も安心して声を上げられるようになります。

実施チェック:管理職が自らの失敗や不明点を開示し、指摘を歓迎する姿勢を、言葉と態度の両方で示したか。

ステップ3 発言と失敗を歓迎する仕組みをつくる

姿勢だけに頼らず、発言が自然に生まれる「仕組み」を用意します。会議の冒頭で全員が一言ずつ話す、質問や反対意見に「指摘してくれてありがとう」と応じる、失敗を責めずに学びとして共有する場を設ける、といった運用が有効です。

実施チェック:会議や日常業務に、誰もが発言できる機会と、失敗を学びに変える仕組みを組み込んだか。

ステップ4 高い基準とセットで運用する

心理的安全性を「学習ゾーン」へ引き上げるには、高い目標や明確な期待とセットで運用することが欠かせません。安心して意見を言える環境の中でこそ、あえて高い基準を掲げ、率直な議論を通じて仕事の質を高めていくことができます。

実施チェック:安心して発言できる環境と、達成すべき高い基準・期待とを、同時に明示できているか。

ステップ5 1on1とふりかえりで習慣にする

一度の施策では定着しません。定期的な1on1で一人ひとりの声を拾い、プロジェクトごとのふりかえりで「うまくいったこと」と「改善したいこと」を率直に話し合う習慣をつくります。ステップ1の測定を定点で続け、変化を確認していきましょう。

実施チェック:1on1・ふりかえり・定点測定を、継続的な仕組みとして運用に組み込んだか。

まとめ

心理的安全性は、居心地の良さを追い求めることではなく、高い成果に挑むための土台です。およそ3人に1人が意見を言い出しにくい職場で働いているという現状の中で、まず現状を測り、リーダーが率先して安全な場をつくり、高い基準と両立させていくことが、成果につながる職場づくりの近道になります。自社のチームがいま4つのゾーンのどこにあるのかを見極めることから、始めてみてはいかがでしょうか。

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出典

  • パーソルファシリティマネジメント「心理的安全性の実態調査」(2025年3月発表/調査期間2024年10月28日〜11月6日/首都圏の従業員50名以上企業に勤務する20〜60歳、有効回答958名)
  • Google re:Work「Guide: Understand team effectiveness(プロジェクト・アリストテレス)」
  • エイミー・C・エドモンドソン『恐れのない組織(The Fearless Organization)』(2018年)ほか

Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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