Practice

出社頻度は「週5」が最多48.3%、理想は「週3」――出社回帰のギャップに向き合う三つの設計

「出社回帰」を進める企業が増える一方、実際の出社頻度と社員が望む頻度には開きがあります。総務省データと最新調査からギャップの正体を確認し、出社回帰を人材の定着・育成につなげる設計の考え方を解説します。

公開日
2026/08/08
更新日
2026/08/08
読了時間
8
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
出社回帰テレワーク人材育成離職防止

「最近、出社の頻度を増やすよう会社から言われた」という声を、耳にする機会が増えていないでしょうか。総務省が2026年5月に公表した「令和7年通信利用動向調査」によると、テレワークを導入している企業の割合は50.1%で、前年より増加しました。その一方で、パーソルキャリアが運営するJob総研が2026年4月に発表した「2026年 出社に関する実態調査」では、2026年度に出社頻度が「増える」と回答した人が75.5%にのぼり、出社回帰の動きが同時に進んでいることが分かりました。テレワークの制度自体は広がっているのに、現場では出社が増えているというのが実情です。この一見矛盾した状況の裏には、企業と社員の間にある「出社頻度」をめぐる認識のギャップが存在します。本記事では、公的データと最新調査から出社回帰の実態を確認したうえで、この動きを社員の不満や離職リスクにつなげず、人材の定着と育成に生かすための三つの設計を解説します。

テレワーク導入は増加、それでも進む「出社回帰」

総務省「令和7年通信利用動向調査」(2026年5月29日公表、2025年8月末時点の調査)によると、テレワークを導入している企業の割合は50.1%で、前年から増加しました。導入目的を見ると、「勤務者のワークライフバランスの向上」や「人材の雇用確保・流出の防止」といった項目で、前年からの伸びが特に大きくなっています。企業の多くが、テレワークを人材確保の手段として位置づけていることがうかがえます。

一方で、現場の実感は異なります。Job総研「2026年 出社に関する実態調査」(2026年4月13日発表、327人対象)によると、2026年度に出社頻度が「増える」と回答した人は75.5%にのぼりました。増加の理由としては「会社の方針が変わった」が39.7%で最多となっており、社員自身の希望というより、企業側の判断によって出社回帰が進んでいる様子がうかがえます。

  • 2026年度、勤務先での出社回帰が「あった」と回答した人は20.2%にのぼりました。
  • 出社頻度は「週に5日」が48.3%で最多となり、次いで「週に4日」が11.9%でした。
  • 出社頻度が増えた理由は「会社の方針が変わった」が39.7%で最多でした。

「週5出社」が実態、「週3出社」が理想――埋まらないギャップ

同調査で2026年度の理想の働き方を尋ねると、「出社派」が53.2%と過半数を占めました。出社そのものを否定しているわけではないのです。問題は頻度にあります。理想の出社頻度を尋ねると、「週に3日」が20.8%で最多となり、実態である「週5日」(48.3%)との間に明確な開きが見られました。

この開きを生んでいる要因のひとつに、通勤という負担があります。同調査では、通勤時間を「非効率に感じる」と答えた人が62.8%、通勤に「ストレスを感じる」と答えた人が75.8%にのぼりました。通勤ストレスが仕事に及ぼす影響を尋ねると、「生産性が落ちる」が51.1%で最多となり、通勤の負担がそのまま業務パフォーマンスに表れている実態がうかがえます。

「出社にはネガティブではないが、会社的に必ず出社なので選択肢は増やして欲しい」「出社の価値は十分感じているが、通勤で疲労が溜まるので週2日はリモートできる日が欲しい」(Job総研「2026年 出社に関する実態調査」自由記述回答より)

出社が「必要」という認識は、実は共有されている

同調査では、出社の必要性について「必要だと思う」と答えた人が76.8%にのぼりました。理由としては、「すぐに質問しやすい」(61.4%)、「リモートより意思疎通できる」(52.6%)、「上司、同僚、部下と話しやすい」(51.4%)が上位を占めています。

これらの理由は、人材育成の観点からも見過ごせません。株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した新入社員のオンボーディングに関する調査でも、新卒配属後にテレワークを多く経験した世代は、職場の先輩たちとの業務外の交流や、社内の人的ネットワークづくりについて不足を感じる割合が相対的に高いという結果が示されています。一方で、上司による伴走支援や職場の心理的安全性の高さが、テレワークの有無にかかわらず適応を後押しすることも分かっており、対面か否かだけでなく、周囲の関わり方が育成の成否を左右するといえます。出社の価値を「なんとなく」で終わらせず、育成・定着にどう結びつけるかを設計できるかどうかが、これからの分かれ目になります。

出社回帰を人材の定着・育成につなげる三つの設計

ここまでの内容を踏まえると、出社回帰を社員の不満や離職リスクにつなげないためには、目的・頻度・負担という3つの観点から、出社の在り方を設計し直すことが欠かせません。

設計1 出社の「目的」を業務単位で言語化する

「会社の方針が変わったから」という説明だけでは、社員の納得は得られません。部署・チームごとに、対面でなければ得づらい価値(新人指導、企画の相談、トラブル対応など)と、リモートでも支障のない業務を洗い出し、出社を求める理由を具体的な言葉にすることが出発点です。

  • 実施チェック:部署・チームごとに「対面が望ましい業務」と「リモートで支障がない業務」を洗い出したか
  • 実施チェック:出社を求める理由を、社員に説明できる言葉にできているか
  • 実施チェック:育成中の若手・新入社員について、対面によるOJTの機会を明確に位置づけているか

設計2 出社頻度を一律にせず、理想とのギャップを踏まえて見直す

理想の出社頻度は「週3日」が最多である一方、実態は「週5日」に偏っています。全社一律で出社日数を定めるのではなく、職種・業務内容・育成段階に応じて、必須出社日と個人が選択できる日を分けて設計することが、納得感と生産性の両立につながります。

  • 実施チェック:全社一律ではなく、職種・チーム単位で出社頻度を検討したか
  • 実施チェック:「必須出社日」と「個人が選べる日」を分けて設計したか
  • 実施チェック:育成期間中の社員とベテラン社員とで、出社設計を分けて検討したか

設計3 通勤負担を前提にした支援策とセットで設計する

通勤に75.8%がストレスを感じ、51.1%が生産性の低下を実感しているという調査結果を踏まえると、出社を求めるだけでは対応として不十分といえます。時差出勤やフレックスタイムの活用、混雑時間帯を避けた通勤の許容など、負担を軽減する制度を出社回帰とセットで導入することが欠かせません。

  • 実施チェック:出社回帰の決定と同時に、通勤負担を軽減する制度(時差出勤・フレックス等)を見直したか
  • 実施チェック:通勤時間帯の柔軟化について、社員の声を確認したか
  • 実施チェック:出社頻度の変更後、社員の負担感や満足度を定期的に確認する仕組みがあるか

出社回帰を、次の一手につなげるために

テレワーク導入企業が増える一方で出社回帰も進むという状況の背景には、「対面には価値がある」という共通認識と、「頻度と通勤負担への不満」という現実的な壁があります。出社を単に元へ戻す対応にするのではなく、対面の価値を言語化し、頻度を設計し、負担を軽減する取り組みへとつなげることが重要です。この三つを組み合わせることで、出社回帰を人材の定着と育成に生かすことができます。

参考にした調査・資料

  • 総務省「令和7年通信利用動向調査」の結果(2026年5月29日公表、2025年8月末時点調査)
  • パーソルキャリア株式会社 Job総研「2026年 出社に関する実態調査」(2026年4月13日発表、327人対象)
  • 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「リモート前後の新入社員に聞く、入社1年目オンボーディング実態調査」(2021年8月30日公開、2024年5月17日更新)

人材育成・組織づくりのご相談を承っています

WONDERFUL GROWTHでは、出社回帰やハイブリッドワークを踏まえた人材育成体系の見直し、新入社員のOJT設計、管理職向けの研修など、貴社の状況に合わせたご支援を行っています。制度の検討段階からのご相談も承っております。

資料請求・お問い合わせはこちら

Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

Related Download

研修プログラム カタログ

WG が提供するテーマ別研修プログラム 18 種の全容・カリキュラム・対象者をまとめた資料です。

✦ SHARE with カイシャの育成論

メディアでも、深く発信しています。

自社メディア『SHARE with カイシャの育成論』では、企業インタビューと人事用語辞典を通じて、より深い知見をお届けしています。