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男性の育休取得率が50.9%で初の5割超え――「取って終わり」にしない職場づくりの三つの設計

厚生労働省の最新調査で男性の育休取得率が50.9%となり、初めて5割を超えました。1か月以上の取得を希望する若年層も増えるなか、育休を「取って終わり」にしないための業務設計・制度対応・評価整備の三つの視点を解説します。

公開日
2026/08/07
更新日
2026/08/07
読了時間
8
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
男性育休育児休業両立支援人的資本経営組織開発

「男性も育休を取って当然」という空気は、ここ数年で急速に広がりました。しかし、実際に「どれくらいの期間休むのか」「休んでいる間、業務をどう回すのか」まで踏み込んで準備できている職場は、まだ多くありません。厚生労働省が公表した最新の調査結果は、この差がこれから一段と大きな課題になることを示しています。

男性の育休取得率、初めて5割を超える

厚生労働省が2026年7月31日に公表した「令和7年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は50.9%となり、調査開始以来初めて5割を超えました。前年度(令和6年度)の40.5%から10.4ポイント上昇し、政府が掲げていた「令和7年度に50%」という目標を達成した形です。女性の取得率は88.3%で、男女の差はなお37ポイント余り残っています。

育児休業取得率=出産者(男性の場合は配偶者が出産した者)のうち、調査年の10月1日までに育児休業を開始した者(開始予定の申出をしている者を含む)の数 ÷ 調査前年の9月30日までの1年間の出産者数
――厚生労働省「雇用均等基本調査」における算出方法の定義より

男性の育休取得率は、令和2年度の12.65%から令和6年度の40.5%まで、この4年間でおよそ3倍に伸びています。令和6年度調査では、育休を取得した男性のうち60.6%が「産後パパ育休(出生時育児休業)」を利用しており、2022年の制度創設以降、活用も着実に広がっています。政府は令和12(2030)年度までに85%という目標も掲げており、取得率の上昇は今後も続く見通しです。

「取るかどうか」から「どれだけ、どう取るか」への転換

取得率の上昇と同じタイミングで公表された、厚生労働省委託事業「共育(トモイク)プロジェクト」による若年層の意識調査(速報)は、企業がこれから向き合う課題をより具体的に示しています。子どもを持つことを希望する若年層の約9割が育児休業の取得を希望し、そのうち約7割が「1か月以上」の取得を希望していました。男女別にみると、男性の5割超、女性の約8割が1か月以上の取得を望んでいます。

これまで多くの企業は、男性の育休を数日から2週間程度の短期取得として想定してきました。しかし若年層が希望する取得期間は、明らかに長期化しています。同じ調査では、子育て期に希望する働き方を実現するうえでのハードルとして、次の項目が多く挙げられました。

  • 業務量
  • 長時間労働
  • 突発的な業務
  • 上司の理解
  • 勤務時間の柔軟な調整

実際に子育てをしている社員が企業や周囲に求める支援としても、業務量の適正化、上司・管理職の理解促進、長時間労働・残業の削減など、ほぼ同じ項目が挙がっています。制度を整えるだけでは、これらの課題は解決しません。日々の業務運営とマネジメントのあり方まで踏み込む必要があります。

両立支援は「守り」ではなく、採用・定着の実務課題になる

同じ意識調査では、若年層の約7割が、会社を選ぶ際に「仕事とプライベートの両立を意識している」と回答しました。育児休業制度の有無だけでなく、実際に制度を利用できるか、育児をしながら働き続けられるかが、企業を選ぶ際の判断材料になっています。

さらに注目すべき結果もあります。仕事と育児の両立に積極的に取り組みたいと考える若年層は、両立できる環境があれば「キャリアアップしたい」と回答した割合が、若年層全体より21.9ポイント高いという結果です。両立を重視する人はキャリア意欲が低いという見方とは異なり、両立できる環境があれば、より高い役割を担いたいと考える人が少なくないことを示しています。両立支援は、既存社員への福利厚生にとどまらず、将来の管理職候補・中核人材を育てる人材投資として位置づける必要があります。

2025年10月義務化「柔軟な働き方を実現するための措置」への対応

企業対応を後押しする制度変更も、すでに始まっています。改正育児・介護休業法により、2025年10月1日から、3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者を対象とした「柔軟な働き方を実現するための措置」が、企業規模を問わずすべての企業に義務づけられました。次の5つの選択肢のうち、2つ以上を実施する必要があります。

  • 始業・終業時刻等の変更(フレックスタイム制や時差出勤)
  • テレワーク等(月10日以上、原則時間単位で利用可能)
  • 保育施設の設置運営等(ベビーシッター費用の補助を含む)
  • 養育両立支援休暇の付与(年10日以上、原則時間単位で取得可能)
  • 短時間勤務制度(原則1日6時間)

あわせて、対象社員に対する仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取と、その内容への配慮も義務化されています。企業規模にかかわらずすべての企業が対象となる点は、中小企業にとっても実務上の影響が小さくありません。育休取得後の「戦力化」を制度面から支える枠組みは整った一方、どの措置を選び、どう運用するかは各企業の設計に委ねられています。

「取って終わり」にしない職場づくりの三つの設計

取得率の上昇、取得期間の長期化、そして制度の義務化が同時に進む今、人事担当者・経営層に求められるのは、次の三つの設計です。

設計1:「1か月以上の不在」を前提にした業務設計

短期取得を前提にした引き継ぎでは、1か月以上の不在に対応しきれません。育休取得予定者本人だけでなく周囲のメンバーも交えて属人化している業務を洗い出し、取得開始日から逆算した引き継ぎ計画書を早期に作成します。代替対応にあたる社員の負荷が一時的に増える点を踏まえ、評価や処遇に反映するルールをあらかじめ定めておくことも欠かせません。

  • 実施チェック:属人化している業務を棚卸しし、複数人が対応できる状態にしているか
  • 実施チェック:代替対応をした社員を評価・処遇の面で適切に処遇する仕組みがあるか

設計2:柔軟な働き方の義務化を、自社の運用ルールに落とし込む

5つの選択肢の中から、自社の業種・職種で実行可能な2つ以上を選定し、就業規則に反映します。あわせて、個別意向聴取を誰が・いつ・どのように行うかを定め、聴取結果を配置や業務量の調整に反映する運用ルールまで整えることで、制度を「あるだけ」の状態にしません。

  • 実施チェック:自社が選択する2つ以上の措置を決定し、就業規則に反映したか
  • 実施チェック:個別意向聴取の結果を業務量の調整や配置に反映する運用ルールがあるか

設計3:育休を「キャリアの空白」にしない評価・管理職マネジメント設計

管理職には、育休取得者の業務再配分や評価方法についての研修を行います。取得を理由とした評価上の不利益が生じないことを人事制度上で明文化したうえで、復職前後のキャリア面談を通じて本人の意向を確認し、業務内容や役割の認識をすり合わせます。

  • 実施チェック:育休取得を理由に評価・昇進で不利益が生じない仕組みを明文化しているか
  • 実施チェック:復職前後にキャリア面談を実施し、本人の意向を確認する運用があるか

まとめ

男性の育休取得率が初めて5割を超えたことは、法制度の整備と、企業・社会が取得を後押ししてきた成果です。しかし公的データが同時に示しているのは、女性との37ポイントの差、そして「1か月以上」の取得を希望する若年層の増加という、次の課題です。制度を用意することと、実際に運用できる組織をつくることは、別の取り組みになります。

取得率という指標の先にある「取得後も戦力であり続けられる職場」をどう設計するかが、これからの人事の実務課題になります。男性育休の推進や、仕事と育児の両立支援の仕組みづくりについてご相談をご希望の方は、下記より資料請求ページへお進みください。

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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