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サーバント型と支配型、部下の行動はどう変わるか

上司と部下の信頼は、実は同じくらいの割合で揺らいでいます。パーソル総合研究所の調査では、双方の3割超が信頼が揺らいだ経験を持つと回答しました。指示より支援を先に置くサーバントリーダーシップの考え方から、揺らいだ信頼を戻す関わり方を探ります。

公開日
2026/09/30
更新日
2026/09/30
読了時間
約 6 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
マネジメントリーダー育成人間関係自律型人材

上司と部下の信頼関係は、対等に見えて実は崩れやすいものです。パーソル総合研究所と九州大学大学院池田浩研究室が2026年3月に実施した調査では、リーダーの33.3%、メンバーの34.7%が、相手との信頼が揺らいだ経験を持つと回答しました。指示を出し従わせる関わり方では、いったん崩れた信頼を立て直す糸口をつかみにくくなります。まず相手に尽くし、そのうえで導く「サーバントリーダーシップ」の考え方に、立て直しの手がかりがあります。

支援が先、指示は後になるという発想

サーバントリーダーシップは、リーダーが先に相手を支え、そのうえで導くという考え方です。NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会の説明によれば、指示や命令で従わせる支配型のリーダーシップのもとでは、メンバーは恐れや義務感から行動し、指示を待つ姿勢になりがちです。これに対してサーバント型のリーダーシップのもとでは、メンバーは自分の意思で動きたいという気持ちから行動し、指示される前に動き出す姿勢が生まれるとされています。同じ課題に向き合っていても、リーダーの関わり方しだいで、部下の行動の起点が変わるということです。

AT&Tで管理職を育てた経験から生まれた

この考え方を1970年に発表したエッセイ「The Servant as Leader」で示したのは、アメリカの通信会社AT&Tで38年間キャリアを積んだロバート・グリーンリーフです。グリーンリーフは同社で経営開発部門の責任者を務め、世界で初めての企業アセスメントセンターを立ち上げたほか、女性やアフリカ系アメリカ人の管理職への登用を後押ししました。1964年に退職したのちに執筆と教育活動に転じ、組織で管理職を育ててきた経験から、「組織は個人のためにあるのと同じくらい、個人も組織のためにある」という考えを理論としてまとめました。特定の技法というより、現場で管理職を育てる中から生まれた考え方だという点が、この理論の出発点になっています。

信頼の揺らぎは、上司にも部下にも同じように起きる

先ほどの調査結果が示すとおり、信頼が揺らぐ経験は部下だけのものではありません。リーダーの3人に1人、メンバーの3人に1人強が、同じように相手との信頼が揺らいだ経験を持っています。指示型の関わり方は、この揺らぎが起きたときにこそ弱さを見せます。恐れや義務感で動くメンバーは、リーダーに疑問や不満を伝えにくく、リーダーの側もメンバーの変化に気づきにくくなるためです。サーバント型の関わり方でメンバーが自分の意思で声を上げやすい状態をつくっておくことが、信頼の揺らぎを早い段階でつかむ土台になります。

揺らいだ信頼を戻すには、段階を飛ばさない

同じ調査からは、信頼の修復が一足飛びには進まないことも分かっています。まず何が起きたのかという原因や経緯を説明し、次に謝罪と、同じことを繰り返さないという行動の変化を示し、そのうえで感情面への配慮と一貫した対応で安心をつくり、最後に継続的な関わりと傾聴によって、相手が再び期待を寄せられる状態に至るという段階を踏むとされています。謝罪だけでは不十分で、責任を引き受ける姿勢と組み合わせて初めて効果を持つ点も示されています。もっとも、メンバーから見てリーダーの修復に向けた行動が十分だと感じられた割合は3割前後にとどまり、多くの職場でこの段階を飛ばしたまま終えている実態がうかがえます。

図解01

揺らいだ信頼を戻すには、段階を飛ばさない

謝罪だけでは不十分

  1. 段階1説明原因や経緯を説明
  2. 段階2謝罪行動の変化を示す
  3. 段階3安心一貫した対応で安心をつくる
  4. 段階4傾聴継続的な関わりと傾聴

段階2のあと:謝罪だけでは不十分

謝罪だけでは不十分で、責任を引き受ける姿勢と組み合わせて初めて効果を持つ点も示されています。出典:パーソル総合研究所・九州大学大学院池田浩研究室「信頼の揺らぎと修復のメカニズムに関する研究(上司と部下の信頼関係に関する研究Phase2)」(2026年3月9日から17日に実施、リーダー1,775名・メンバー1,636名)

奉仕を「迎合」にしないための見極め

サーバントリーダーシップは、部下の言いなりになることでも、決めるべきことを先延ばしにすることでもありません。前述の調査が示す修復の段階でも、効果を持つのは謝罪そのものではなく、責任を引き受けたうえでの謝罪でした。相手の話に耳を傾ける姿勢と、結果への責任を引き受けて判断を下す姿勢は、両立させるものであり、どちらかに偏ると本来の効果を失います。傾聴と説明を重ねながらも、決めるべき場面では引き受けて決める。この線引きを自覚しているかどうかが、支援が形だけのものになるか、信頼を築く関わり方になるかを分けます。

まとめ

信頼が揺らいだときにどちらが悪いのかを探すのではなく、原因を説明し、責任を引き受けて詫び、行動を変えるという関わり方を重ねることが、次の信頼を築く一歩になります。

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出典:パーソル総合研究所・九州大学大学院池田浩研究室「信頼の揺らぎと修復のメカニズムに関する研究(上司と部下の信頼関係に関する研究Phase2)」(2026年3月9日から17日に実施、リーダー1,775名・メンバー1,636名、2026年9月30日取得)/The Greenleaf Center for Servant Leadership「Robert K. Greenleaf Biography」(2026年9月30日取得)/NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会「サーバントリーダーシップとは」(2026年9月30日取得)

Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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