⌖ Detail
はじめに
求人票の文言や社内規程の言葉づかいが、無意識のうちに特定の性別を前提とした表現になっていないでしょうか。「彼が担当する業務」といった代名詞の使い方や、「バリバリ働ける人材」のような表現が、応募者や従業員に性別を前提とした印象を与えてしまうことがあります。人事担当者が意図せず使っている定型文が、実は特定の層の応募をためらわせる要因になっているケースも少なくありません。多様な人材が安心して力を発揮できる職場をつくるうえで、制度や言葉づかいから性別を前提とした要素を取り除く発想が広がっています。この記事では、そうした発想を表す「ジェンダーニュートラル」について、定義から実務での活かし方まで解説します。
ジェンダーニュートラルとは?
ジェンダーニュートラル(Gender Neutral)とは、制度や言葉づかい、職場環境などにおいて、特定の性別を前提とせず、誰にとっても中立的であるように設計する考え方を指します。人事領域では、求人票や職務記述書の文言から性別を連想させる表現を排除すること、育児・介護休業制度を性別にかかわらず利用しやすい設計にすること、更衣室やトイレといった施設をすべての性の従業員が利用しやすい形に整備することなどが具体的な取り組みとして挙げられます。性別による偏見や思い込みである「ジェンダーバイアス」を取り除く土台として、制度や環境そのものを中立的に設計する視点であるといえます。
よく使われるシーン
ジェンダーニュートラルは、求人票や職務記述書の文言を見直す場面、育児休業・介護休業といった両立支援制度を設計する場面、社内規程やイベントの案内文を作成する場面で意識されます。また、オフィスの設計やユニフォームの選定、社内システムの入力項目における性別欄の扱いなど、物理的な環境や制度面の設計においても検討されることがあります。海外に拠点を持つ企業では、グローバルな人事ポリシーを策定する際の基本方針として明文化されるケースもあります。採用面接での質問項目を見直す際にも、性別を前提とした質問が含まれていないかを確認する観点として用いられます。
ジェンダーニュートラルを理解することの重要性
多様な人材を採用し、長く活躍してもらうためには、性別を前提とした制度や言葉づかいが応募や定着の妨げになっていないかを見直す視点が欠かせません。求人票の表現一つで、本来応募してほしい層からの応募を逃してしまう可能性もあります。ジェンダーニュートラルな視点を制度設計に取り入れることで、性別にかかわらず能力を発揮しやすい環境を整え、採用競争力や従業員のエンゲージメント向上につなげることができます。また、個人の意識に働きかける研修だけでは、担当者が変わるたびに対応にばらつきが生じやすくなります。制度や文書そのものを中立的な形に整えておくことで、誰が運用しても一定の水準を保てるようになる点も見逃せません。ダイバーシティ推進を担う立場にとって、個人の意識づけだけでなく、制度や仕組みそのものを見直す起点となる重要な考え方です。