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はじめに
従業員の定着率に課題を感じ、賃金制度や評価制度の整備、あるいは職場環境の改善に取り組みたいと考えたとき、費用面の負担が導入をためらう要因になることがあります。こうした取り組みを後押しする公的な仕組みの一つが、厚生労働省の「人材確保等支援助成金」に設けられている「雇用管理制度・雇用環境整備助成コース」です。本記事では、この助成コースの概要や活用が想定される場面、申請にあたっての注意点を整理して解説します。
雇用管理制度・雇用環境整備助成コースとは?
雇用管理制度・雇用環境整備助成コースとは、離職率の低下を目指して職場の制度や設備を整える事業主を支援する制度です。事業主は雇用管理制度等整備計画をつくり、労働局の認定を受けます。計画どおりに制度や機器を導入し、離職率の目標を達成すると助成金が支給されます(厚生労働省『人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)』、2026-10-30取得)。さらに、雇用関係助成金に共通の要件などもあります(同ページ、2026-10-30取得)。対象の雇用管理制度は5種類で、賃金規定制度、諸手当等制度、人事評価制度に加え、職場活性化制度と健康づくり制度があります。職場活性化制度は、1on1ミーティング、メンター制度、エンゲージメントサーベイ(従業員調査)のうち、いずれかを新たに導入するものです。このほか、従業員の直接的な作業負担を軽くする機器・設備等(業務負担軽減機器等)の導入も対象です(同ページ、2026-10-30取得)。賃金規定制度は、中小企業事業主が整備するものに限られます(厚生労働省『人材確保等支援助成金のご案内 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース』、2026-10-30取得)。
助成額は、導入した雇用管理制度の種類ごとの定額と、業務負担軽減機器等の導入にかかる対象経費に対する助成率で決まります。雇用管理制度等整備計画の期間中に、全ての対象労働者の毎月決まって支払われる賃金を3%以上、5%以上又は7%以上引き上げるという賃金要件を満たすと、助成額が加算されます。3%以上には別の要件があり、7%以上は業務負担軽減機器等の導入に限られます(厚生労働省『人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)』、同パンフレット、2026-10-30取得)。なお、かつて別のコースだった「人事評価改善等助成コース」は、厚生労働省の一覧で廃止されたコースに挙げられています(厚生労働省『廃止済みで経過措置中の助成金一覧』、2026-10-30取得)。人事評価制度は、現在は本コースの雇用管理制度の一つです(厚生労働省『人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)』、2026-10-30取得)。助成金は年度ごとに要件や助成率が見直されるため、申請を検討する際は、厚生労働省の最新の公表資料を確認することが欠かせません。
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よく使われるシーン
このコースは、次のような場面で活用が検討されます。第一に、離職率の高さに課題を抱える中小企業が、賃金制度や評価制度を整備し直すタイミングです。制度整備にかかる費用の一部を助成でまかなえることで、着手のハードルが下がります。第二に、希望する従業員に人間ドックを受診させる健康づくり制度を新たに導入する場面です(厚生労働省『人材確保等支援助成金のご案内 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース』、2026-10-30取得)。第三に、現場の生産性向上や身体的負担の軽減を目的に、介護用リフトや自動化機器といった業務負担軽減機器を導入する場面でも活用されています。