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限定正社員とは?勤務地・職務・時間を限定した正社員制度を解説
はじめに
転勤や職種変更、長時間労働への対応が難しく、正社員としての就業をあきらめてしまう人がいます。一方で企業側も、働き方の制約を理由に有能な人材の採用や定着の機会を逃すことがあります。この課題に対応する選択肢として、厚生労働省が普及を進めているのが、限定正社員という雇用区分です。自社に合った形で導入するには、制度の全体像を理解しておくことが欠かせません。
限定正社員(多様な正社員)とは?
限定正社員とは、勤務地、職務内容、労働時間のいずれか、または複数を限定した正社員のことです。厚生労働省は多様な正社員という呼び方でこの制度の普及を進めており、限定正社員と多様な正社員は同じ制度を指す言葉として使われています。
限定の対象によって、転勤の範囲を限定する勤務地限定正社員、担当する職種や業務内容を限定する職務限定正社員、所定労働時間を短縮する短時間正社員などに分類されます。無期労働契約を結び、賞与や退職金の対象となる点は通常の正社員と同じですが、転勤や職種変更、時間外労働の範囲があらかじめ限定される点が特徴です。
有期雇用契約を結ぶ契約社員とは、契約期間の定めの有無という点で異なります。また、勤務地や職務内容を限定しない従来型の正社員の働き方はメンバーシップ型雇用と呼ばれており、限定正社員はその対概念として位置づけられます。無期転換ルールにより有期契約から無期契約に転換した従業員の受け皿の一つとしても、限定正社員の制度が活用されています。
処遇のあり方についても、勤務地や職務を限定する分だけ通常の正社員より基本給や賞与の水準を下げる企業がある一方で、限定の有無にかかわらず同じ職務であれば同水準の処遇とする企業もあり、同一労働同一賃金の考え方を踏まえた制度設計が求められます。
よく使われるシーン
育児や介護と仕事の両立を理由に転勤を避けたい従業員からの相談や、多様な人材の定着を目的とした人事制度の見直しを検討する場面で使われます。小売業や介護業など、事業所が全国に分散する業種で、転勤を伴わない勤務地限定正社員の制度を新設・見直しする場面でもよく使われます。無期転換ルールへの対応方針を検討する際、無期転換後の従業員をどのような雇用区分で受け入れるかを議論する場面でも登場します。求人票の作成にあたり、勤務地や職務の範囲を明示する際にも関係する考え方です。
限定正社員を理解することの重要性
人事担当者がこの制度を理解しておくことには、実務上の意義があります。第一に、転勤や長時間労働への対応が難しいという理由で離職や採用機会の損失につながっている場合、限定正社員という選択肢が解決策になり得ると気づけます。第二に、無期転換ルールへの対応において、受け皿となる雇用区分の設計に活用できます。第三に、勤務地や職務を限定する分、通常の正社員と処遇にどのような違いを設けるかという制度設計上の論点を把握できます。第四に、多様な働き方を用意することが、採用競争力や従業員の定着率の向上につながるという視点を持てます。
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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