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ワーク・ファミリー・コンフリクトとは?仕事と家庭の役割葛藤を解説
はじめに
仕事で重要な会議が入っているのに子どもの発熱で保育園から呼び出しを受ける、家族との約束があるのに繁忙期で残業が続く。こうした仕事と家庭の板挟みは、多くの従業員が経験する悩みです。この葛藤を学術的に説明する概念が、ワーク・ファミリー・コンフリクトです。
ワーク・ファミリー・コンフリクトとは?
ワーク・ファミリー・コンフリクトとは、仕事上の役割と家庭上の役割を同時に果たそうとする際に生じる葛藤を指す概念です。仕事の要求が家庭生活を圧迫する方向と、家庭の要求が仕事に支障をきたす方向の、双方向の影響があるとされています。
葛藤が生じる要因としては、労働時間の長さや業務量の過重、家庭内での家事・育児・介護の負担、性別役割分業の意識、職場の理解が得られにくい風土などが挙げられます。従来の「ワークライフバランス」がより広い概念であるのに対し、ワーク・ファミリー・コンフリクトは仕事と家庭という二つの役割の間で生じる葛藤そのものに焦点を当てた、産業組織心理学の研究領域で用いられる概念です。
一方で、仕事の経験が家庭生活によい影響を与える、あるいはその逆といった役割間のプラスの相乗効果を指す「ワーク・ファミリー・ファシリテーション」という対になる概念も研究されています。
この概念が示す重要な点は、葛藤の原因を個人の時間管理能力の不足として片づけてしまうと、根本的な解決にならないということです。長時間労働が常態化した職場風土や、性別によって家事・育児の負担が偏る社会構造そのものが葛藤を生み出している場合、個人の努力だけで解消することは難しく、組織や制度の側の見直しが欠かせません。
よく使われるシーン
両立支援制度の設計にあたり、従業員がどのような場面で葛藤を感じているかを把握するための組織サーベイで扱われます。管理職研修で、部下が抱える仕事と家庭の板挟みへの理解を深める目的でも取り上げられます。人事担当者がメンタルヘルス不調や離職の背景要因を分析する際、仕事と家庭の葛藤という観点から状況を整理する場面でも用いられます。育児休業からの復職者向けの面談で、復職後にどのような葛藤が生じやすいかをあらかじめ共有し、支援策を検討する材料としても使われます。
ワーク・ファミリー・コンフリクトを理解することの重要性
人事担当者がこの概念を理解しておくことには、実務上の意義があります。第一に、従業員のメンタルヘルス不調や離職の背景に、仕事と家庭の板挟みが潜んでいないかを把握する視点を持てます。第二に、育児や介護と仕事の両立支援制度を設計する際、労働時間の見直しだけでなく、職場の理解や風土づくりも含めた対策の必要性に気づけます。第三に、性別役割分業の意識が葛藤の一因となっている場合、制度だけでなく組織文化の変革にも目を向けるきっかけになります。第四に、葛藤を個人の能力や努力の問題として片づけず、組織としての構造的な課題として捉え直す視点を持てます。
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
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