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個人面接後の選考辞退の48.5%は「誠実さ」不足が理由――採用CX(候補者体験)を高める三つの設計

個人面接後に選考を辞退した候補者の48.5%が「誠実さ」の欠如を理由に挙げています。有効求人倍率1.18倍で人材獲得競争が続くなか、リクルートマネジメントソリューションズの調査をもとに、採用CX(候補者体験)を高める三つの設計を解説します。

公開日
2026/09/03
更新日
2026/09/03
読了時間
6
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
採用CX候補者体験中途採用面接官トレーニング

厚生労働省が2026年8月28日に発表した一般職業紹介状況によると、2026年7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍でした。人手不足感が続くなか、マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」では、経験者採用に積極的な企業が74.2%にのぼり、正社員の「質的な不足」を感じる企業は55.6%と前年より6.7ポイント増加しています。募集要件を満たさない人材については「採用しないことが多かった」と回答した企業も62.1%(前年比7.7ポイント増)に達しており、多くの企業が採用基準を下げるのではなく、要件に合う人材を厳選する方向に動いていることがうかがえます。

人材獲得の競争が続くなかで、企業は候補者を選ぶ立場であると同時に、候補者から選ばれる立場でもあります。選考プロセスで候補者が何を感じ、何を理由に選考から離れるのかを可視化する概念が「採用CX(Candidate Experience、候補者体験)」です。株式会社リクルートマネジメントソリューションズが2024年11月22日に発表した「日本の新卒採用選考プロセスにおける採用CX調査」(内定を獲得した大学生・大学院生797名対象)から、候補者体験を高めるための具体的な設計を確認していきます。

採用CX(候補者体験)とは何か

採用CXとは、候補者が応募から内定に至る選考プロセスを通じて抱く体験や、そこから形成される企業への印象を指す概念です。欧米では10年以上前から注目されてきましたが、日本でも人口減少などを背景に関心が高まっています。前述のRMS調査は、候補者の評価観点を「妥当感」「公平性」「実力発揮感」「納得感」「誠実さ」「参加しやすさ」の6つに整理しており、選考の負担を軽くする「参加しやすさ」だけを追求すればよいわけではないことを示しています。

なぜ「誠実さ」が選考の分かれ目になるのか

RMS調査では、6つの評価観点のうち、選考参加意欲への影響が最も大きいのは「誠実さ(企業が学生にしっかり向き合ってくれている)」という結果でした。評価が満たされた場合にも損なわれた場合にも、6観点の中で参加意欲への影響が最も大きかったのがこの項目です。

影響は意欲の変化にとどまりません。個人面接を経験した後に選考を辞退した候補者のうち、48.5%が「面接官の態度から、学生にしっかり向き合ってくれていないと感じた」ことを辞退理由に挙げています。面接官一人ひとりの振る舞いが、候補者の辞退という具体的な行動に直結していることがうかがえます。

近年広がるAI面接についても、示唆的な結果が出ています。AI面接の経験者は調査対象全体の28.4%にとどまり、人による面接と比較すると「妥当感」「実力発揮感」「納得感」「誠実さ」のいずれについても、4割を超える候補者が「人による面接よりも感じにくい」と回答しました。効率化の手段として広がるAI面接ですが、候補者体験の観点では慎重な設計が必要だと分かります。

採用CX(候補者体験)を高める三つの設計

設計一 面接官の「誠実さ」を仕組みで支える

「誠実さ」を個々の面接官の資質だけに委ねると、対応にばらつきが生まれます。RMS調査で辞退理由となった「向き合ってくれていない」という印象は、態度や言葉づかいなど日々の行動の積み重ねから生まれるものであり、組織として底上げする仕組みが欠かせません。

  • 面接官向けに、傾聴の姿勢やフィードバックの伝え方を扱う研修を実施しているか
  • 面接後、候補者へ結果や次の選考への見通しを一定期間内に伝える運用になっているか
  • 面接官同士で候補者からの評判や対応の振り返りを共有する場を設けているか

設計二 選考前の「参加しやすさ」の負担を削る

RMS調査では、適性検査を受ける前に選考を辞退した候補者の理由として、事前準備や段取りの煩雑さに関連する項目が目立ちました。「参加しやすさ」は選考参加意欲そのものへの影響こそ「誠実さ」ほど大きくないものの、選考にたどり着く前の離脱要因になり得る点に注意が必要です。

  • 適性検査や面接の日程調整に、候補者側の負担が大きい手順が残っていないか
  • 受検や応募に必要な準備事項を、事前に分かりやすく案内できているか
  • 選考の各段階に進むまでの日数や、次のステップの見通しを候補者に共有できているか

設計三 AI活用は「代替」ではなく「補助」に限定する

AI面接は面接官の業務負荷軽減や評価基準の均一化に役立つ一方、現時点では候補者からの評価が人による面接に及ばない場面が少なくありません。効率化できる工程と、対人での対話を残すべき工程を切り分けて設計することが重要です。

  • 一次選考など負荷の大きい工程にAI面接を限定し、最終段階には人による面接を残しているか
  • AI面接を導入する際、候補者に目的や評価の仕組みを説明できているか
  • AI面接の経験者と未経験者とで評価に差が出ることを踏まえ、初回利用者向けのフォローを用意しているか

まとめ

有効求人倍率が高止まりし、経験者採用に積極的な企業が7割を超えるなか、候補者体験は「良い人材に選ばれるための設計」として、採用活動の重要な一部になりつつあります。面接官の振る舞いから選考前の手続きの負担まで、候補者の目線に立って選考プロセス全体を見直すことが、今後の採用力を左右していきます。

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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