厚生労働省が2026年10月30日に公表した一般職業紹介状況(令和8年9月分)では、有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍、正社員有効求人倍率は1.01倍でした。同じ月の統計でも、パートを含むか、季節調整をしたか、職業ごとに分けたかで、倍率は0.37倍から6.93倍まで開きます。採用の難しさを一つの倍率で語ると、自社の募集が置かれた状況を取り違えやすくなります。雇用形態と職種に分けた倍率へ自社の募集を当てはめて読むことが、採用計画を見直す出発点です。
9月の有効求人倍率は1.19倍、正社員に限ると1.01倍
一般職業紹介状況は、ハローワーク(公共職業安定所)の求人と求職をまとめた統計です。厚生労働省は統計の目的を、公共職業安定所での求人、求職、就職の状況(新規学卒者を除く)を取りまとめ、求人倍率などの指標を作ることと示しています。
令和8年9月分は、2026年10月30日に公表されました。季節調整値で、有効求人倍率は1.19倍(前月差+0.01ポイント)、新規求人倍率は2.19倍(同+0.13ポイント)、正社員有効求人倍率は1.01倍(同+0.01ポイント)です。
有効求人倍率は、月間有効求人数を月間有効求職者数で割って求めます。正社員有効求人倍率は、正社員の月間有効求人数を、パートタイムを除く常用の月間有効求職者数で割って求めます。後者は分母の求職者に、派遣労働者や契約社員を希望する人も含まれるため、厳密な意味での正社員有効求人倍率より低い値になると、厚生労働省が注記しています。1.01倍は、正社員の求人が求職者を少し上回る水準を示す一方で、正社員に絞った実際の需給よりやや低めに出る数字です。
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実数の倍率は、パートを除くと1.25倍、パートは1.06倍
同じ9月でも、集計の範囲で倍率は変わります。参考統計表の実数では、パートを含む全体が1.18倍、パートを除くと1.25倍、パートだけでは1.06倍でした。季節調整値の1.19倍は、季節による求人と求職の増減を取り除いた値で、実数の1.18倍とは算出の方法が異なります。
区分(実数、2026年9月) | 有効求人数 | 有効求職者数 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
パートを含む | 2,237,453人 | 1,900,906人 | 1.18倍 |
パートを除く | 1,419,661人 | 1,132,908人 | 1.25倍 |
パートタイム | 817,792人 | 767,998人 | 1.06倍 |
見る範囲によって、求人が求職者を上回る度合いは違います。正社員を中心に募集する企業は、パートを除く倍率と正社員の倍率を、パートの募集が中心の企業は、パートタイムの倍率を見る必要があります。
新規求人は、パートを除くと1.2%増、パートは2.9%減
9月の新規求人は777,944人で、前年同月と比べて0.4%減りました。パートタイムを除く新規求人は489,196人で1.2%増え、パートタイムは288,748人で2.9%減っています。全体の数字だけでは、パートを除く求人が増えていることは見えません。
産業別の新規求人(前年同月比)では、製造業が8.2%増、情報通信業が5.9%増、サービス業(他に分類されないもの)が4.9%増でした。減ったのは、生活関連サービス業・娯楽業が6.7%減、卸売業・小売業が6.3%減、宿泊業・飲食サービス業が6.3%減です。求人を増やしている業種と減らしている業種が並んでおり、募集をかける先の競争の強さは業種で違うと考えられます。
職業別では、事務従事者の0.37倍から保安職業従事者の6.93倍まで
職業別の表(全国計、常用でパートを含む、2026年9月、実数)では、有効求人倍率の開きがさらに大きくなります。職業計は1.08倍で、先の全体の1.18倍とは表の範囲が異なる別の集計です。
職業(大分類) | 有効求人倍率 | 新規求人倍率 |
|---|---|---|
保安職業従事者 | 6.93倍 | 10.46倍 |
建設・採掘従事者 | 5.13倍 | 8.88倍 |
サービス職業従事者 | 2.66倍 | 4.67倍 |
輸送・機械運転従事者 | 2.09倍 | 3.19倍 |
販売従事者 | 1.84倍 | 3.27倍 |
専門的・技術的職業従事者 | 1.76倍 | 3.38倍 |
生産工程従事者 | 1.65倍 | 2.95倍 |
農林漁業従事者 | 1.05倍 | 2.10倍 |
管理的職業従事者 | 0.86倍 | 1.99倍 |
運搬・清掃・包装等従事者 | 0.69倍 | 1.52倍 |
事務従事者 | 0.37倍 | 0.80倍 |
職業計 | 1.08倍 | 2.10倍 |
事務従事者は、有効求人が181,983人に対して有効求職者が487,078人で、求職者が求人を大きく上回っています。保安職業従事者は、有効求人97,693人に対して有効求職者が14,087人、建設・採掘従事者は、有効求人115,050人に対して有効求職者が22,413人で、求人が求職者を大きく上回ります。倍率が1倍を下回るのは、事務従事者(0.37倍)、運搬・清掃・包装等従事者(0.69倍)、管理的職業従事者(0.86倍)です。
図解01
職業別では、
倍率の開き
事務従事者0.37倍
保安職業従事者6.93倍
事務従事者0.37倍
保安職業従事者6.93倍
- 1雇用形態正社員と
パートに 分ける - 2職業大分類の
倍率を 当てはめる - 3勤務地都道府県の
倍率を 添える - 4自社の
記録応募数と 内定承諾の 数を 並べる
ハローワークの数字は、自社の応募数を示すものではない
この統計が示すのはハローワークでの状況で、民間の求人媒体や紹介会社の募集と応募は、集計の対象として示されていません。新規学卒者も対象に含まれません。自社が複数の経路で募集している場合、応募の集まり方は倍率どおりとは限りません。
地域の差もあります。都道府県別の有効求人倍率(季節調整値、就業地別)は、福井県と山梨県が1.74倍で最も高く、大阪府が0.96倍で最も低くなりました。全国の1.19倍は、こうした地域の違いをならした数字です。
倍率は、求人と求職者の数の比です。賃金、勤務地、勤務時間といった求人の条件が、求職者の希望に合っているかまでは示しません。同じ職種で倍率が同じでも、条件の違いで応募の集まり方は変わります。
自社の募集は、雇用形態と職種で分けて倍率に当てはめる
読み方は、自社の募集を一覧にするところから始まります。雇用形態は正社員とパートに分け、職業の大分類の倍率を当てはめ、勤務地の都道府県の倍率を添えます。そのうえで、自社の記録で、応募数と内定承諾の数を並べます。倍率の水準ごとに、確かめる点が変わります。
- 倍率が1倍を下回る職種(事務従事者、運搬・清掃・包装等従事者、管理的職業従事者):求職者が求人を上回っているため、応募は集まりやすい側にあります。応募が集まる前提で、選考の基準と面接の評価項目を先に文章にしておくと、選ぶ段階で迷いません。
- 倍率が2倍を超える職種(保安職業従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者、輸送・機械運転従事者):求人が求職者を大きく上回る側にあります。賃金、勤務時間、入社後の育成の見通しなど、募集の条件を公開の前に点検し、募集の期間も長めに見ておきます。
- 倍率が1倍から2倍の職種(専門的・技術的職業従事者、販売従事者、生産工程従事者、農林漁業従事者):どちらにも寄り切らない中間にあります。自社の応募数と内定承諾の記録を倍率と並べ、記録が示す傾向を優先します。
自社の記録は、直近3か月の募集ごとに、応募数、面接に進んだ数、内定承諾の数を並べます。倍率が高い職種で応募が集まっているなら、条件の見せ方が合っている可能性があります。倍率が低い職種で集まらないなら、募集の条件か伝え方に原因があると考えられます。倍率と自社の記録を突き合わせる作業が、倍率を採用計画に使うときの確認です。
まとめ
令和8年9月の有効求人倍率は1.19倍、正社員有効求人倍率は1.01倍でした。実数ではパートを除くと1.25倍、パートタイムでは1.06倍で、職業別には事務従事者の0.37倍から保安職業従事者の6.93倍まで幅があります。自社の募集を雇用形態と職業に分けて当てはめ、自社の応募の記録と突き合わせて、募集条件を見直す根拠にします。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」(2026年10月30日公表。2026年11月5日に確認)発表ページ/厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)報道発表資料・参考統計表」(同日公表。2026年11月5日に確認)報道発表資料、参考統計表/厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)統計の概要」(2026年11月5日に確認)統計の概要
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Editor’s Note
本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。
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