Research

人手不足への対応は中途採用が66%|正社員の不足超過は+47ポイント

厚生労働省の労働経済動向調査は、30人以上の民営事業所3,175か所の回答をまとめています。人手不足への対応は、中途採用、新規学卒者の採用、業務の効率化の順に多く挙がりました。自社の対応を採用と業務の見直しに分けて並べることが、見直しの順序を決める材料になります。

公開日
2026/10/25
更新日
2026/10/25
読了時間
約 7 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
人手不足中途採用新卒採用働き方改革人事データ

厚生労働省の「労働経済動向調査(令和8(2026)年8月)」によると、2026年8月1日現在の労働者過不足判断D.I.は、正社員等が+47ポイント、パートタイムが+26ポイントの不足超過でした。人が足りないときに事業所が選ぶ対応で最も多いのは、中途採用です。採用の手立てと、業務や働き方を見直す手立てを同じ表に並べて点検することが、自社の判断の土台になります。

正社員等の不足超過は+47ポイント、運輸と建設で高い

労働者過不足判断D.I.は、調査日現在の状況で「不足(やや不足、おおいに不足)」と回答した事業所の割合から、「過剰(やや過剰、おおいに過剰)」と回答した事業所の割合を差し引いた値です。正社員等は、2026年2月が+49ポイント、5月が+47ポイント、8月が+47ポイントで、ほぼ横ばいが続いています。パートタイムも、2月の+28ポイント、5月の+27ポイント、8月の+26ポイントと、大きくは動いていません。

不足感の高い産業は、正社員等とパートタイムで異なります。

労働者

産業

D.I.(ポイント)

正社員等

運輸業,郵便業

+61

正社員等

建設業

+59

正社員等

学術研究,専門・技術サービス業

+59

パートタイム

サービス業(他に分類されないもの)

+42

パートタイム

宿泊業,飲食サービス業

+34

パートタイム

卸売業,小売業

+32

パートタイム

生活関連サービス業,娯楽業

+32

D.I.は回答した事業所の割合の差で、足りない人数を表す数字ではありません。自社の不足感を全国の値と比べるときは、正社員等とパートタイムを分け、自社が属する産業の値と並べます。

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不足への対応は、中途採用が66%で最も多い

労働者が不足している部門等に何らかの対応をした事業所の割合は、2026年4〜6月期の実績で、調査産業計が67%でした。「対応した」事業所の対応内容(複数回答)は、中途採用の開始・拡大・強化が66%で最も多く、新規学卒者の採用の開始・拡大・強化が49%、業務の効率化の推進が42%と続きます。

上位に並ぶのは採用に関する対応で、業務の効率化は中途採用の66%に対して42%でした。人が足りないときに、採用で補う対応が多く選ばれていることが分かります。

図解01

不足への対応は、中途採用が66%で最も多い

中途採用開始・拡大・強化

新規学卒者の採用開始・拡大・強化

業務の効率化推進

  • 中途採用開始・拡大・強化
  • 新規学卒者の採用開始・拡大・強化
  • 業務の効率化推進
項目中途採用新規学卒者の採用業務の効率化
事業所の割合66%49%42%
上位は採用に関する対応で、業務の効率化が続きます。出典:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年8月)の概況」(2026年9月29日掲載。30人以上の民営事業所、2026年4〜6月期の実績。「対応した」事業所のうちの割合、複数回答)

新規学卒者の募集は、年間を通じた随時が52%

令和7(2025)年度の新規学卒者の採用枠で、正社員の募集を行った事業所は58%でした。募集の時期は、年間を通して随時が52%、春季(3月〜5月頃)のみが25%、年複数回(春季と秋季など)が13%です。春季のみで募集した事業所に今後の予定を聞くと、未定が50%、全く予定していないが20%、検討しているが15%、予定しているが13%でした。

既卒者については、応募可能だった事業所が73%で、そのうち採用にいたった事業所は44%です。今後の方針は、現在のところ未定が31%、応募可能としたいが30%、本社等でしか回答できないが16%、年齢によって応募可能としたいが14%、応募不可としたいが3%でした。未定と、応募可能としたいが、ほぼ並んでいます。

長時間労働の是正は76%、待遇の見直しは61%が取り組む

長時間労働の是正や柔軟な働き方に「取り組んでいる」事業所は76%、「改善の必要がない職場環境である」は17%、「取り組んでいない」は6%でした。取組内容(複数回答)は、業務の効率化を進めるが68%、時間外労働の事前申告制が53%、省力化投資(機械化・自動化、IT化)が46%です。

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保では、「取り組んでいる又は取り組んだ」が61%、「検討の結果、待遇の見直しは必要ないと判断した」が20%、「取り組んでいない」が7%、「異なる雇用形態が存在しない」が8%でした。取組内容は、諸手当と福利厚生がいずれも56%、基本給が53%です。

業務の効率化は、不足への対応でも、働き方の見直しの取組内容でも上位に入っています。ただし、聞いている対象が違うため、二つの割合は並べて比べません。

数字からは、採用できたかと定着したかは分からない

調査の対象は、日本標準産業分類の12産業に属する、30人以上の常用労働者を雇用する全国の民営事業所です。客体5,786事業所のうち、有効回答は3,175事業所(有効回答率54.9%)で、調査時点は2026年8月1日、実施期間は7月1日から8月7日でした。29人以下の事業所の様子は、この調査からは分かりません。

対応状況の数字は、どの対応をしたかの割合です。中途採用を強化した結果、人が集まったのか、入社後に定着したのかは、示されていません。D.I.も、不足と感じる事業所が多いかどうかを示す値で、不足の人数や、不足が続いた期間までは分かりません。

自社の対応は、採用と業務と待遇に分けて並べる

全国の数字は、自社の対応を点検する物差しとして使えます。次の順で並べると、偏りが見えます。

  • 不足している部門と職種を、正社員等とパートタイムに分けて書き出します。
  • この1年に取った対応を、採用の側(中途採用、新規学卒者、既卒者)、業務の側(効率化、省力化投資、時間外労働の事前申告)、待遇の側(諸手当、福利厚生、基本給)に分けて並べます。
  • 採用した人数に、入社後半年と1年の在籍状況を添えます。

採用の側に対応が集まり、入社後の在籍状況を確かめていなければ、補充した人が定着しているかを先に見ます。業務の側の対応が少なければ、不足している部門の業務のうち、手間のかかる部分を洗い出すところから始めます。待遇の見直しは、不足が大きい雇用形態から確かめます。

まとめ

労働経済動向調査では、2026年8月1日現在の労働者過不足判断D.I.は、正社員等が+47ポイント、パートタイムが+26ポイントの不足超過でした。不足への対応は、中途採用が66%、新規学卒者の採用が49%、業務の効率化が42%です。自社の対応を採用、業務、待遇に分けて並べ、入社後の在籍状況まで確かめることが、見直しの順序を決める材料になります。

出典:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年8月)の概況」(2026年9月29日掲載。2026年10月25日に確認)概況ページ/同「概況全体版」(PDF)

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

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