Research

平均給与の487万円だけでは、自社の水準は測れない

国税庁の調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、正社員が559万円、正社員以外が210万円でした。業種別の平均も、854万円から276万円まで開いています。雇用形態と業種をそろえて比べることが、自社の水準を判断する手がかりになります。

公開日
2026/10/24
更新日
2026/10/24
読了時間
約 6 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
報酬制度人事データ非正規雇用人事制度

国税庁の「令和7年分民間給与実態統計調査」(2026年9月公表)によると、1年を通じて勤務した給与所得者5,163万人の平均給与は487万円で、前年より1.9%増えました。賃金表の見直しや採用条件を考える場面で、この数字を目安に置く人事担当者は少なくありません。ただし、487万円は雇用形態、性別、業種の違いをひとまとめにした値です。自社の給与がその上か下かを見るだけでは、判断の材料にはなりません。数え方をそろえた数字と並べることが、自社の水準を測る前提になります。

487万円は、1年を通じて勤務した人だけを数えた平均

この調査でいう給与は、令和7年1年間の給料・手当と賞与の合計額で、給与所得控除前の収入金額です。通勤手当等の非課税分は含まれません。487万円の対象は、令和7年の1月から12月まで引き続き勤務し、給与の支給を受けた月数が12か月の人です。年の途中で入社や退職をした人は入っていません。

調査は標本調査で、母集団の事業所3,461,171所から27,420所を抽出し、20,771所が回答しました。回答事業所の標本給与所得者は306,242人です。

自社の年収を487万円と比べるときは、自社の数字が同じ範囲で数えられているかを先に確かめます。通勤手当の非課税分を含めた支給総額で比べたり、年の途中で入社した人を含めて平均したりすると、同じ物差しになりません。

正社員は559万円、正社員以外は210万円

同じ調査で、正社員(正職員)の平均給与は559万円、正社員(正職員)以外は210万円でした。調査では、就業規則等、雇用管理上において正社員(正職員)として処遇している人を正社員(正職員)とし、パート・アルバイト等で正社員(正職員)として処遇していない人を正社員(正職員)以外としています。いずれも役員と青色専従者は除かれています。

区分

計

男性

女性

全体

487万円

597万円

342万円

正社員(正職員)

559万円

623万円

444万円

正社員(正職員)以外

210万円

270万円

179万円

前年と比べた伸びは、正社員(正職員)が2.6%増、正社員(正職員)以外が1.6%増です。正社員(正職員)以外のうち、男性は0.5%減の270万円、女性は2.8%増の179万円でした。

487万円は、この二つの層を合わせた平均です。自社の正社員の平均が487万円を上回っていても、正社員の全国平均である559万円と比べると下回ることがあります。

図解01

正社員は559万円、正社員以外は210万円

正社員2.6%増

正社員以外1.6%増

  • 正社員2.6%増
  • 正社員以外1.6%増
項目正社員正社員以外
全体の平均給与559万円210万円
男性の平均給与623万円270万円
女性の平均給与444万円179万円
正社員(正職員)以外のうち、男性は0.5%減の270万円、女性は2.8%増の179万円でした。出典:国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査結果」(2026年9月公表。1年を通じて勤務した給与所得者)

業種別の平均は、854万円から276万円まで開く

業種別の平均給与は、電気・ガス・熱供給・水道業が854万円、金融業,保険業が726万円、宿泊業,飲食サービス業が276万円でした。

業種が違えば、同じ487万円でも位置が変わります。宿泊業,飲食サービス業の事業所にとっては業種の平均を大きく上回る額で、電気・ガス・熱供給・水道業の事業所にとっては大きく下回る額です。自社が属する業種の平均を使うときは、調査の業種区分のどれに当たるかを確かめます。

年齢、勤続、労働時間の違いは、この平均では見えない

487万円という平均には、年齢の若い人も高い人も、勤続の短い人も長い人も含まれます。ここで引いた数字は、雇用形態、性別、業種ごとの平均で、年齢や勤続年数、1週間の労働時間までは区切っていません。正社員(正職員)以外の中にも、勤務時間の短い人と長い人がいますが、平均給与の数字からその違いは分かりません。

この調査は標本調査で、回答した事業所の数字から全体を推計しています。一般に、細かく区切るほど推計のぶれは大きくなるため、区切った小さな集団の平均は、目安として扱うのが無理のない読み方です。

自社の給与は、対象者と雇用形態と業種をそろえて並べる

自社の水準を見るときは、次の順に数字をそろえます。

  • 対象者は、1年を通じて勤務した社員に限り、年の途中で入社や退職をした人を外します。
  • 給与の範囲は、給料・手当と賞与の合計にそろえ、通勤手当の非課税分を除きます。
  • 雇用形態は、正社員とパート・アルバイト等を分けて、それぞれの平均を出します。
  • 業種は、自社に当たる区分の平均を、全体の487万円と並べて置きます。

そろえて並べたあとで、差が出た箇所を確かめます。賃金表の水準にあるのか、手当や賞与の出し方にあるのか、人員の構成にあるのかで、打つ手は変わります。平均給与の数字は、その確認を始める入り口として使います。

まとめ

国税庁の調査では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円、正社員(正職員)は559万円、正社員(正職員)以外は210万円でした。業種別では、電気・ガス・熱供給・水道業の854万円から、宿泊業,飲食サービス業の276万円まで開いています。自社の給与を判断する前に、対象者、給与の範囲、雇用形態、業種をそろえることが、比較の前提になります。

出典:国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査結果」(2026年9月公表。2026年10月24日に確認)概要ページ/同「調査結果報告」(PDF)

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

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