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自社の離職率は高いのか、産業別の平均で読み解く

令和7年の離職率は全産業で13.7%ですが、産業別では6.6%から23.7%まで開いています。自社の数字が高いのか低いのかは、産業の欄と、数え方をそろえた自社の離職率を並べて初めて読めます。入職率との組み合わせで見ることが、手を打つ順番を決める手がかりです。

公開日
2026/10/12
更新日
2026/10/12
読了時間
約 9 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
離職防止人事データ人手不足

厚生労働省の「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表)によると、2025年の離職率は全産業で13.7%でした。ところが産業別に見ると、金融業,保険業の6.6%から宿泊業,飲食サービス業の23.7%まで開いています。自社の離職率が高いのか低いのかは、全体の平均ではなく、自社の産業の欄と、数え方をそろえた自社の数字を並べて初めて読めます。

離職率の全体平均は13.7%、産業別では6.6%から23.7%まで開く

この調査は、5人以上の常用労働者を雇用する全国の事業所から14,840事業所を抽出し、日本標準産業分類の16大産業について、入職者と離職者の状況を聞いたものです。令和7年は1月から6月の上半期と7月から12月の下半期の2回の調査を合わせた年計で、事業所調査の有効回答率は平均60.9%でした。

全産業の離職率は13.7%で、前年から0.5ポイント低下しました。産業ごとの離職率は、次のように分かれています。

産業

入職率

離職率

入職超過率

産業計

14.7%

13.7%

1.0ポイント

宿泊業,飲食サービス業

27.8%

23.7%

4.1ポイント

生活関連サービス業,娯楽業

21.3%

20.1%

1.2ポイント

医療,福祉

14.5%

14.3%

0.2ポイント

卸売業,小売業

12.6%

11.9%

0.7ポイント

情報通信業

13.6%

10.4%

3.2ポイント

製造業

9.6%

9.8%

-0.2ポイント

建設業

10.4%

8.7%

1.7ポイント

金融業,保険業

8.7%

6.6%

2.1ポイント

離職率が産業計を上回るのは、宿泊業,飲食サービス業や生活関連サービス業,娯楽業のように、人の入れ替わりが大きい産業です。製造業の9.8%は産業計より低い水準ですが、製造業の中で高いのか低いのかは、同じ製造業の数字と比べなければ分かりません。

図解01

離職率の全体平均は13.7%、産業別では6.6%から23.7%まで開く

  • 宿泊業,飲食サービス業23.7%
  • 医療,福祉14.3%
  • 製造業9.8%
  • 金融業,保険業6.6%

記号1つが10%(産業ごとの離職者の割合) 産業計:13.7%

産業計の13.7%に対し、宿泊業,飲食サービス業は23.7%、金融業,保険業は6.6%でした。出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表。令和7(2025)年の年計。5人以上の常用労働者を雇用する事業所)

離職率は、入職率と並べて読む

調査は、離職率と同時に入職率と入職超過率も示しています。入職超過率は、入職率から離職率を引いた値で、プラスなら入ってくる人が辞める人を上回っています。全産業の入職超過率は1.0ポイントで、前年から0.4ポイント拡大しました。

離職率が近い産業でも、入職率を並べると事情が分かれます。製造業は、入職率が9.6%、離職率が9.8%で、入職超過率は-0.2ポイントです。辞める人のほうが、入ってくる人より多い状態です。複合サービス事業は、入職率が6.3%、離職率が8.6%で、-2.3ポイントでした。反対に情報通信業は、離職率が10.4%と製造業に近い水準でも、入職率が13.6%あり、3.2ポイントの入職超過です。

離職率が低いことは、人員が足りていることを意味しません。離職が少ない一方で入職も少なければ、職場の年齢構成は動かず、欠員が出たときに補充できるかどうかは別の問題として残ります。自社の数字も、離職率だけでなく、同じ期間の入職率と並べて確かめます。

自社の数字と産業の欄は、数え方をそろえてから比べる

調査の数字と自社の数字を並べるときは、数え方が違っていないかを先に確かめます。次の項目が合っていないと、差が出ても、離職の多さを表しているとは限りません。

点検の観点

確かめること

分母

調査は、離職理由別の離職率を、離職者数を1月1日現在の常用労働者数で割って算出しています。自社も、年初の人数を分母にしているか

対象の範囲

正社員だけか、パートタイム労働者を含むか。調査の産業計は、一般労働者が11.4%、パートタイム労働者が19.9%

期間

調査は、2025年の1月から12月の1年間。自社が年度や半期で数えていないか

事業所の規模

調査の対象は、5人以上の常用労働者を雇用する事業所。小さな拠点を含めて数えていないか

産業の区分

自社を16大産業のどこに当てるか。複数の事業を持つ場合は、主な事業の区分を決めて記録しているか

定年退職や契約期間の満了を、離職に含めるかどうかも、社内で決めておく必要があります。調査と同じ定義が分からない場合は、数字を並べるのではなく、自社の年ごとの推移を見る使い方にとどめるほうが、誤読を避けられます。

就業形態を分けると、同じ産業でも水準が変わる

全産業の離職率13.7%は、一般労働者の11.4%と、パートタイム労働者の19.9%を合わせた値です。産業の離職率も、両者の構成比で上下します。

産業

離職率(計)

一般労働者

パートタイム労働者

宿泊業,飲食サービス業

23.7%

21.5%

25.0%

教育,学習支援業

15.1%

9.8%

26.6%

医療,福祉

14.3%

13.6%

15.9%

卸売業,小売業

11.9%

8.5%

17.6%

製造業

9.8%

9.2%

14.2%

金融業,保険業

6.6%

6.3%

10.6%

教育,学習支援業は、全体では15.1%と産業計を上回りますが、一般労働者に限ると9.8%で、産業計の一般労働者の11.4%を下回ります。パートタイム労働者が26.6%と高いために、全体の数字が押し上げられています。正社員の定着を知りたいときに、全体の離職率を見ると、実態より高く読んでしまうことがあります。

反対に宿泊業,飲食サービス業は、一般労働者でも21.5%と、産業計の一般労働者の11.4%を大きく上回ります。正社員に絞ってもなお高い産業であることが、この表から分かります。

離職の理由は、この集計からは分からない

同じ調査は、離職理由別の離職率も示しています。2025年の離職率のうち、個人的理由によるものが10.2%、事業所側の理由によるものが0.9%でした。男女別では、個人的理由が男性で8.8%、女性で11.7%です。

ここでいう個人的理由は、結婚、出産・育児、介護・看護、その他の個人的理由の合計で、事業所側の理由は、経営上の都合、出向、出向元への復帰の合計です。理由は、離職者がいた事業所が回答したものです。離職理由別離職率の資料で確かめた範囲では、個人的理由の内訳は示されていません。

辞めた本人が何を理由に決めたのかは、この集計では読み取れません。離職率が産業の平均より高い、あるいは低いと分かった後で、その背景を確かめる作業は、自社の退職時の面談や、在職者への聞き取りで行う必要があります。

産業の平均との差から、手を打つ順番を決める

自社の離職率を、数え方をそろえたうえで産業の欄と並べたら、差の向きによって、次に確かめることが変わります。

  • 平均より高い場合:入職率も同じ産業の欄と並べ、辞める人が補充で埋まっているかを確かめます。そのうえで、部署、勤続年数、入社の経路で離職を分け、特定の層に偏っていないかを見ます。
  • 平均と同じ程度の場合:平均並みであることは、問題がないことを意味しません。産業の平均が高い産業では、自社も同じ水準で人が入れ替わっている可能性があります。育成に時間がかかる職種の離職は、割合が低くても影響が大きくなります。
  • 平均より低い場合:離職の少なさを維持できている条件を確かめます。同時に、入職が少なく、欠員の補充や年齢構成が課題になっていないかも見ておきます。

どの場合も、調査の数字は自社を評価する基準ではなく、確かめる順番を決めるための物差しです。5人以上の事業所を対象に、産業ごとに平均した数字であり、自社の規模や地域、職種の構成までは映していません。

まとめ

令和7年の離職率は全産業で13.7%ですが、産業別では金融業,保険業の6.6%から宿泊業,飲食サービス業の23.7%まで開いています。自社の離職率は、分母、対象、期間をそろえたうえで産業の欄と並べ、入職率と就業形態も含めて読みます。まず自社の産業の欄を探し、同じ条件で数え直すことが最初の一歩です。

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表。令和7(2025)年の年計。2026年10月12日に確認)厚生労働省の公表ページ

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。ご質問・取材のご依頼は お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

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