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OKRとは|数字だけが独り歩きする目標管理を立て直す

目標管理を行う会社員は83.0%にのぼりますが、MBOを導入している従業員の31.4%は「形ばかりになっている」と感じています。OKRは、会社の目指す方向と一人ひとりの挑戦をつなぎ直すための目標管理の手法です。人事評価と切り離し、短いサイクルで回すことが、形骸化を防ぐ要になります。

公開日
2026/08/22
更新日
2026/09/28
読了時間
約 9 分
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
目標管理人事評価組織開発

「目標管理を行っている」と回答した会社員は83.0%にのぼります。株式会社アジャイルHRが2024年に実施した「ビジネスパーソン1,000人調査」(従業員500名以上の企業に勤める会社員1,124名を対象、2024年2月28日から3月1日にかけて実施)によると、目標管理の手法の内訳はMBO(目標管理制度)が48.1%と最も多く、OKRはまだ6.6%にとどまっています。

一方で同じ調査では、MBOを導入している従業員の31.4%が「形ばかりになっており、形骸化している」と回答し、30.1%が「毎年同じような目標を立てており、発展性がない」、27.8%が「目標がほぼ決められてしまい、やらされ感が強い」と感じていることも明らかになりました。多くの企業がすでに何らかの目標管理の仕組みを持ちながら、その運用に手応えを感じきれていない実態がうかがえます。

MBOを導入している企業の従業員のうち、31.4%が「形ばかりになっており、形骸化している」と回答(株式会社アジャイルHR「ビジネスパーソン1,000人調査」2024年)

OKRは、目標管理を「配分される数値目標」から「社員自身が主体的に関わる仕組み」へと転換するための手法です。

OKRを構成する「目標」と「主要な成果指標」

OKR(Objectives and Key Results)とは、「達成を目指す目標(Objective)」と、その達成度を測る「主要な成果指標(Key Results)」を組み合わせた目標管理の手法です。1970年代にインテルで生まれ、後にグーグルが採用したことをきっかけに広く知られるようになりました。日本ではメルカリやfreee、Chatworkなどが比較的早い時期から導入している企業として知られています。

MBO(目標管理制度)との違い

OKRは、多くの企業が導入しているMBOと比較されることの多い手法です。両者の違いは、主に次の三点に整理できます。

  • 目標の性質:MBOは期初に会社目標を個人へ配分し、達成すべき数値目標として扱うことが中心です。OKRは、社員自身が主体的に設定する、やや背伸びをした「野心的な目標」を志向します。
  • 評価との連動:MBOは人事評価と直接連動させる運用が一般的です。OKRは人事評価と切り離して運用し、達成率100%を前提としない考え方をとります。
  • 見直しの周期:MBOは年1回の設定が主流であるのに対し、OKRは四半期など短いサイクルで見直します。

前述のアジャイルHRの調査でも、OKRには「縦や横(他部署を含む)のコミュニケーションが活発化する」「上司または部下とのコミュニケーションが密になる」「従業員の自律や自主性を高めることに貢献している」といった、MBOでは見られにくい効果が統計的に確認されています。

ただし、同社は事業のフェーズによって適した手法が異なるとも指摘しています。新しい事業を立ち上げる時期のように試行錯誤が欠かせない局面ではOKRが、事業が安定し前年との比較がしやすい局面ではMBOが機能しやすいとされており、OKRが常にMBOより優れているわけではない点には注意が必要です。

図解01

MBO(目標管理制度)との違い

MBO目標管理制度

OKR目標と主要な成果指標

  • MBO目標管理制度
  • OKR目標と主要な成果指標
項目MBOOKR
目標の性質達成すべき数値目標やや背伸びをした「野心的な目標」
評価との連動人事評価と直接連動人事評価と切り離して運用
見直しの周期年1回の設定が主流四半期など短いサイクル
人事評価と切り離し、短いサイクルで回すことが、形骸化を防ぐ要になります。

目標管理の見直しが必要とされる背景

MBOが抱える形骸化や、やらされ感といった課題は、制度そのものの欠陥というより、変化の速い経営環境に対して年1回の目標設定サイクルが追いつきにくくなっていることの表れでもあります。市場や顧客の状況が数か月単位で変わる中、期初に立てた数値目標を1年間そのまま追い続けることは、社員の実感から離れやすくなります。

加えて、目標が「会社から配分される数値」として与えられるだけの状態が続くと、社員が自ら考えて動く機会が減り、エンゲージメントの低下にもつながりかねません。OKRのように、短いサイクルで目標を見直し、社員自身の主体性を織り込む仕組みは、こうした課題への一つの対応策として注目されています。

OKRを形だけにせず導入する手順

目的を全社で共有し、経営層がコミットする

OKRは、一部の部署だけで運用しても効果が限定的です。まず経営層が「なぜ目標管理の方法を見直すのか」を言葉にし、全社に向けて発信することが出発点になります。人事評価制度とは切り離して運用することも、この段階であわせて周知しておくと、後の混乱を防げます。

全社で運用を始める前に、経営層と社員の間で次のことが済んでいれば、導入の土台はできています。

  • 経営層が導入の目的とゴールを自らの言葉で説明できる状態になっている
  • 人事評価と直結させない方針を、社員へ明確に伝えている

Objective(目標)を設定する

Objectiveは、定量的な数値そのものではなく、部門やチームが目指す方向を示す定性的な言葉で表現します。誰が読んでも意味が伝わり、少し背伸びをすれば手が届く水準に設定することがポイントです。全社のObjectiveから部門、個人へと、目指す方向がつながっていることを確認します。

書き上げたObjectiveは、次の状態になっていることを確かめてから確定します。

  • Objectiveが数値目標ではなく、目指す状態を表す言葉になっている
  • 全社・部門・個人のObjective同士のつながりを説明できる

Key Results(主要な成果指標)を設定する

Key Resultsは、Objectiveの達成度を測るための定量的な指標です。一つのObjectiveに対して2〜4個程度にとどめ、進捗が誰の目にも数値で確認できる形にします。OKRの考え方では、達成率が100%になる目標ではなく、6〜7割程度の達成を妥当な水準とみなす運用が一般的です。この点は、達成率がそのまま評価に響くMBOとの大きな違いであるため、事前に社内で認識をそろえておく必要があります。

Key Resultsを決め終えたといえる目安は、次のとおりです。

  • Key Resultsが2〜4個程度に絞られている
  • 達成率を100%とせず、挑戦的な水準に設定する方針を共有できている

短いサイクルで運用し、こまめにチェックインする

OKRは、四半期など短いサイクルで設定と見直しを繰り返します。サイクルの途中では、週次または隔週の1on1などを使い、進捗状況や障害になっている点を上司と部下で確認する「チェックイン」の場を設けます。この振り返りが形式的なものにならないよう、進捗の数値だけでなく、次に何を試すかまで話し合うことが重要です。

運用が定着してきたかどうかは、日々の進め方に表れます。

  • 四半期など、あらかじめ決めたサイクルで運用できている
  • チェックインの場で、進捗の数値と次のアクションの両方を話し合えている

レビューを行い、人事評価と切り離して次のサイクルへつなげる

サイクルの終わりには、Key Resultsの達成度を確認するだけでなく、目標設定や進め方自体を振り返るレビューを行います。達成率の低さをそのまま人事評価に反映させると、社員は挑戦的な目標を避けるようになり、OKR本来の狙いが失われてしまいます。達成度の評価と、挑戦したこと自体への評価を分けて考える運用を、あらかじめ制度として設計しておくことが欠かせません。

OKRの狙いを保てている組織では、評価と振り返りが次のように扱われています。

  • 達成率の低さを理由に、一律で評価を下げていない
  • レビューの結果を、次のサイクルのObjective設定に反映できている

導入にあたって留意したいこと

OKRを導入する際は、いくつかの留意点があります。まず、MBOを直ちに廃止する必要はありません。人事評価に関わる仕組みはMBOのまま残し、目標に対する挑戦と対話を促す仕組みとしてOKRを併用する企業もあります。

また、「野心的な目標」を掲げること自体が、社員にとって新たなプレッシャーにならないよう配慮も必要です。挑戦した結果がうまくいかなくても不利益を受けないという心理的安全性が確保されていなければ、OKRはかえって形だけの制度になりかねません。

最初から全社一斉に導入するのではなく、一つの部門でスモールスタートし、運用上の課題を洗い出してから全社展開する進め方も有効です。

まとめ

OKRは、目標管理を「配分される数値目標」から「社員自身が主体的に関わる仕組み」へと転換するための手法です。導入にあたっては、経営層のコミットメントから始め、Objective・Key Resultsの設定、短いサイクルでの運用とチェックイン、人事評価と切り離したレビューまでを一貫した仕組みとして設計することが、形骸化を防ぐための鍵になります。

自社の目標管理制度の見直しや、OKRと評価制度・1on1の接続にお悩みの場合は、外部の知見を取り入れることも一つの選択肢です。

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Editor’s Note

本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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