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勤務間インターバル制度の導入企業は5.7%にとどまる――休息時間を確保する職場をつくる5つの実践ステップ

厚生労働省の調査で、勤務間インターバル制度の導入企業はわずか5.7%にとどまることがわかりました。政府目標の15%を大きく下回るなか、休息時間を確保できる職場をつくるための5つの実践ステップを、法制度の背景と助成金情報とあわせて解説します。

公開日
2026/08/27
更新日
2026/08/27
読了時間
9
著者
WONDERFUL GROWTH 編集部
勤務間インターバル制度働き方改革労働時間過労死防止助成金

厚生労働省の調査で、勤務間インターバル制度の導入企業はわずか5.7%にとどまることがわかりました。政府目標の15%を大きく下回るなか、休息時間を確保できる職場をつくるための5つの実践ステップを、法制度の背景と助成金情報とあわせて解説します。

勤務間インターバル制度とは

勤務間インターバル制度とは、勤務終了時刻から次の勤務開始時刻までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保する仕組みです。長時間労働や不規則な勤務が続くと、睡眠時間や生活時間が圧迫され、心身の健康を損なうリスクが高まります。こうした事態を防ぐため、2019年4月1日に施行された改正労働時間等設定改善法により、勤務間インターバル制度の導入は事業主の努力義務として位置づけられました。現時点では罰則を伴う義務ではなく、企業の自主的な取り組みに委ねられている制度です。

導入率5.7%の内実――政府目標との大きな乖離

厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」によると、勤務間インターバル制度を「導入している」企業は5.7%にとどまりました。「導入を予定又は検討している」は15.6%、「導入予定はなく、検討もしていない」が78.5%を占めており、多くの企業がいまだ着手できていない実態が浮き彫りになっています。

政府は「過労死等の防止のための対策大綱」において、勤務間インターバル制度を導入している企業の割合について、2025年までに15%以上とする目標を掲げていた(厚生労働省)

この目標に対し、実際の導入率は5.7%にとどまっており、目標値との差は9ポイント以上に開いています。厚生労働省はこの結果を受け、労働者数30人以上の企業を対象に、2028年までに「制度を知らなかった企業の割合を5%未満とする」「導入企業の割合を15%以上とする」という新たな数値目標を設定し、周知と導入支援の両面から対策を強化する方針を示しています。

義務化はいつからか――現時点では「努力義務」のまま

勤務間インターバル制度をめぐっては、労働基準法の改正によって将来的に義務化される可能性が報じられてきました。しかし2025年12月、関連する労働基準法改正法案の通常国会への提出が見送られたことにより、2026年2月時点で施行時期は不透明な状況となっています。制度の詳細や施行時期が確定次第、対応を急ぐことになりますが、義務化の有無にかかわらず、長時間労働による健康障害を防ぎ、人材の定着を図るうえで、インターバル制度の意義そのものは変わりません。むしろ法制化を待たずに導入しておくことが、将来の対応コストを抑えることにもつながります。

国際的に見た日本の休息時間規制

EUは労働時間指令により、加盟国に対して24時間ごとに連続11時間以上の休息を全ての労働者に確保するよう義務づけています。フランスは労働法典で「2労働日の間に11時間以上の休息」を権利として明記し、ドイツも労働時間法で1日の労働終了後11時間の休息を規定しています。イギリスも使用者に対し、24時間当たり連続11時間以上、7日当たり連続24時間以上(または14日間当たり連続48時間以上)の休息を労働者に与えるよう義務づけており、ギリシャやスペインではさらに厳しい12時間の休息が求められています。一方、アメリカには労働時間の上限規制がなく、連邦レベルの勤務間インターバル制度も存在しません。主要国と比べると、日本は休息時間の確保が努力義務にとどまっており、制度としての強制力は相対的に弱い位置づけにあります。

休息時間を確保する職場をつくる5つの実践ステップ

ステップ1:勤務間隔の実態を可視化する

制度設計に入る前に、まずは自社の勤務実態を把握します。勤怠データやタイムカードの記録から、部署やシフトごとに終業時刻と翌日の始業時刻の間隔を洗い出し、どの部門・どの時間帯で休息時間が短くなりやすいかを特定します。繁忙期や特定の職種(シフト勤務、宿直・当直がある職場など)で偏りが出やすいため、直近数か月分のデータで傾向をつかむことが出発点になります。

実施チェック:過去3か月分程度の勤務データから、終業〜翌日始業の間隔が11時間未満となっている勤務パターンを洗い出しましたか。

ステップ2:確保するインターバル時間を設計する

厚生労働省の導入・運用マニュアルやEU諸国の規制では11時間が一つの目安とされていますが、業種や職種の実情に応じて9時間からの段階的な導入も選択肢になります。実際に、後述する助成金制度でも9時間以上からの導入が支援対象とされています。全社一律にするか、部署・職種ごとに時間数を分けるかを検討し、災害対応や突発的なトラブル対応など、インターバルを確保できない場合の例外規定もあわせて定めておきます。

実施チェック:自社の業務実態に合わせて確保すべきインターバル時間数を決め、例外的にインターバルを確保できない場合の対応方針を定めましたか。

ステップ3:就業規則・労使協定を整備する

設計した制度は、就業規則に明文化し、必要に応じて労使協定を締結します。翌日の始業時刻にインターバル時間が食い込んでしまう場合の取り扱い(始業時刻を繰り下げるのか、勤務したものとみなすのか)についても、あらかじめ規定しておくことがトラブル防止につながります。36協定の運用状況とあわせて見直すと、長時間労働対策全体の整合性を取りやすくなります。

実施チェック:インターバル確保によって始業時刻が繰り下がる場合の賃金・勤怠の取り扱いを、就業規則に明文化しましたか。

ステップ4:勤怠管理システムで運用を仕組み化する

制度は定めるだけでなく、日々の運用で機能させることが重要です。勤怠管理システムにインターバル時間の設定を組み込み、規定時間を下回りそうな勤務が発生した際に、本人や管理職へ自動でアラートが届く仕組みを整えます。管理職が部下一人ひとりの休息状況を個別に把握し続けるのは負荷が高いため、システムによる自動チェックに置き換えることで、運用の抜け漏れを防ぎます。

実施チェック:インターバル未達が見込まれる勤務を、本人・管理職に自動で知らせる仕組みを勤怠システムに設定しましたか。

ステップ5:管理職への周知とモニタリングを継続する

制度の趣旨や運用方法を管理職に周知し、シフト作成や業務の割り振りの段階からインターバル確保を前提とする意識を浸透させます。導入後は3〜6か月程度の期間で運用状況を振り返り、想定より確保できていない部署がないか、例外規定が形骸化していないかを確認し、必要に応じて運用ルールを見直します。

実施チェック:導入後の運用状況を定期的に振り返る場を設け、管理職向けに制度の意図と運用方法を周知していますか。

導入コストは助成金で軽減できる

勤務間インターバル制度の導入には、勤怠管理システムの整備や就業規則の見直しなど一定のコストがかかりますが、中小企業には公的な支援策があります。厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」は、9時間以上の休息時間を確保する制度の新規導入や、適用範囲の拡大、時間数の延長に取り組む中小企業を対象に、導入にかかる経費の最大4分の3(小規模事業者は最大5分の4)を助成する制度です。2026年度は、11時間以上のインターバルを新規導入する場合の助成上限額が、前年度の120万円から150万円に引き上げられました。さらに、月60時間以内の時間外労働に係る割増賃金率を5%以上引き上げることを成果目標に加えた場合は25万円、一定の要件を満たすとさらに75万円が加算される仕組みも新設されています。勤怠システムの導入や専門家によるコンサルティング費用も対象となるため、制度設計の段階で活用を検討する価値があります。

まとめ

勤務間インターバル制度の導入企業は5.7%にとどまり、政府が掲げてきた15%という目標には遠く及んでいません。義務化の時期は不透明な状況が続いていますが、長時間労働による健康障害を防ぎ、人材の定着を図るという制度の目的そのものは、法制化を待たずに取り組む価値があります。勤務実態の可視化から始め、インターバル時間の設計、就業規則の整備、システムによる運用、管理職への浸透という5つのステップを踏むことで、無理なく休息時間を確保できる職場づくりを進めることができます。

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本記事は WONDERFUL GROWTH 編集部が、現場の人事・経営者の方々への取材と 自社支援データを元に作成しています。
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