アブセンティーイズムとは?意味・原因・企業への影響までわかりやすく解説アブセンティーイズム(Absenteeism)とは、従業員が出勤すべき日に欠勤する状態が継続的または頻発することを指します。単なる「休み」ではなく、病気・メンタル不調・家庭の事情などによる計画外の欠勤が主な対象です。日本語では「長期欠勤」や「慢性的欠勤傾向」と訳されることもあります。特に、人材不足や生産性向上が求められる現代の職場において、アブセンティーイズムは企業経営に深刻な影響を及ぼすリスクとされています。プレゼンティーイズムとの違いアブセンティーイズムとよく比較される概念に「プレゼンティーイズム(Presenteeism)」があります。違いを整理すると以下の通りです。項目アブセンティーイズムプレゼンティーイズム状態欠勤して職場にいない出勤しているが集中できない・働けない主な原因病気、ケガ、メンタル不調、家庭事情など体調不良、ストレス、燃え尽き症候群など組織への影響業務の遅延、人員配置の混乱生産性の低下、職場全体の士気低下どちらも「従業員の健康・働き方」と密接に関係しており、エンゲージメントや職場環境の課題を浮き彫りにする指標となります。アブセンティーイズムの主な原因アブセンティーイズムが発生する背景には、以下のような要因があります。身体的な健康問題 風邪や腰痛、慢性疾患などによる欠勤メンタルヘルスの問題 うつ病、不安障害、職場の人間関係によるストレスなど家庭・育児・介護の事情 家庭内トラブル、育児や介護の負担による休み職場の労働環境 長時間労働、ハラスメント、過剰な業務量などによる心身の疲弊アブセンティーイズムが企業に与える影響影響内容説明生産性の低下欠勤者が出ると、業務が滞り、納期や品質に影響が出る可能性があります。残業・負荷の増加他のメンバーに業務が割り振られ、負荷が偏り、さらなる疲弊や離職のリスクが生じます。チームワークの低下欠勤が続くと、職場の信頼関係や連携に悪影響を与えることがあります。離職リスクの増加アブセンティーイズムは「離職予兆」の一つとも言われており、放置すると退職につながるケースもあります。アブセンティーイズムを防ぐ・減らすための対策健康経営の推進 定期健康診断、産業医による面談、ストレスチェックなどを通じて、従業員の健康状態を早期に把握します。柔軟な働き方の導入 テレワークやフレックスタイム制度を導入することで、通勤負担や家庭事情による欠勤を軽減できます。メンタルヘルス支援の強化 社内カウンセリング制度、管理職向けのメンタルケア研修などを導入し、早期の気づきと対応を促進します。エンゲージメントの向上 仕事に対するやりがいや承認を高めることで、欠勤リスクを低減します。日頃の対話や1on1ミーティングの充実も有効です。アブセンティーイズムに対する人事・経営の視点近年では、アブセンティーイズムは単なる「欠勤」ではなく、職場環境や組織風土の課題を示す“警告”として捉えられるようになっています。欠勤率や健康指標を定期的にモニタリングすることは、離職防止や職場改善の第一歩となります。また、人的資本経営(Human Capital Management)の観点からも、従業員の健康状態や出勤状況を「非財務情報」として把握し、開示・改善していく企業が増えています。まとめ:アブセンティーイズムは「人と組織の不調サイン」アブセンティーイズムは、個人の体調不良だけでなく、職場の課題や組織のあり方を映し出す鏡でもあります。単なる出勤管理ではなく、「なぜこの人が休みがちなのか」を組織全体で考え、支援する仕組みを持つことが重要です。健康で活気ある職場をつくるためには、従業員一人ひとりのコンディションに目を向ける企業の姿勢が問われています。