⌖ Detail
デシジョンファティーグとは?管理職の判断力低下の仕組みと対策を解説
はじめに
管理職は日々、部下への指示や採用の可否、優先順位の調整など、数多くの判断を求められます。判断の質は常に一定ではなく、時間帯や意思決定の回数によって変化することが知られています。夕方の会議で下された判断が、朝の判断ほど深く検討されていないと感じた経験を持つ管理職は少なくありません。この現象を説明する概念がデシジョンファティーグです。管理職本人の能力の問題として片づけられがちですが、判断の総量という観点から捉え直すと、組織として打てる対策があります。本記事では、概念の内容とマネジメントへの影響、実務で対応するための観点を解説します。
デシジョンファティーグとは?
デシジョンファティーグとは、意思決定を繰り返すことで判断の質が低下していく心理現象を指します。日本語では決断疲れや判断疲れとも呼ばれます。心理学者のロイ・バウマイスターらによる自我消耗(エゴ・デプリーション)研究を背景に広まった考え方で、一日のうちに下す判断の数が増えるほど、その後の判断において深く考えることを避け、安易な選択や先延ばしを選びやすくなるとされています。
裁判官の仮釈放許可率が、休憩直後は高く、時間が経つにつれて低下するという研究結果が、この現象を示す例としてしばしば紹介されます。管理職も同様に、一日の後半になるほど、部下への対応や意思決定の質が変化する可能性があります。判断の対象が重要であるほど、この影響は無視できません。会議が立て続けに入る日や、部下からの相談が集中する時間帯ほど、この傾向が強く表れると考えられています。
よく使われるシーン
管理職の一日のスケジュールを設計する際、重要な判断を午前中に集中させる場面で使われます。人事評価や採用面接など、判断の精度が求められる業務の実施時間を検討する場面でも使われます。管理職向けの研修で、判断力を維持するための時間管理を伝える場面でも用いられます。長時間労働が意思決定の質に与える影響を説明する場面でも参照されます。会議の詰め込みすぎが現場の判断ミスにつながっていないかを見直す場面でも使われることがあります。
デシジョンファティーグを理解することの重要性
管理職の一日の判断の総量に着目せず、能力や意欲の問題として片づけてしまうと、有効な対策を打てません。デシジョンファティーグの考え方を理解しておくと、判断の質が低下しやすい時間帯を避けて重要な会議を設定したり、日常的な小さな判断をルール化して判断の総量を減らしたりといった、具体的な対策につなげやすくなります。既存の登録用語である管理職の罰ゲーム化とも関連が深く、業務量の増加が管理職の負担を高めている背景を理解するうえでも参考になる考え方です。人事部門が管理職の働き方そのものを設計対象として捉え直すきっかけにもなります。プレイングマネージャーが増えている職場ほど、現場業務と意思決定の両方が集中しやすく、判断の質が落ちる時間帯も長くなりがちです。
実務で活かすためのチェックポイント
✺ Editor’s Memo
現場での運用は、業界・規模・組織文化によって大きく変わります。記事内のインタビュー事例も併せて参考にしてください。
— SHARE with カイシャの育成論 編集部