デフォルト・モード・ネットワークとは?意味・役割・活用方法をわかりやすく解説デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network:DMN)とは、脳が「何もしていないとき」に活性化する神経ネットワークのことです。一見ぼーっとしているように見える状態でも、脳はさまざまな“内的活動”をしており、それに深く関わっているのがこのDMNです。「何もしていない=脳が休んでいる」と思われがちですが、実は創造力、自己理解、直感的判断などに関わる極めて重要な役割を担っていることがわかってきています。デフォルト・モード・ネットワークの基本情報項目内容略称DMN(Default Mode Network)発見2001年、神経科学者マーカス・レイクルらによって発表主な活動時安静時、ぼんやりしている時、回想、空想、未来思考など主な領域内側前頭前皮質、後部帯状皮質、楔前部、海馬などDMNが活性化する主な状態と機能状態内容自己内省自分の感情や行動を振り返るとき将来のシミュレーション「次に何をすべきか」「こうなったらどうするか」などを考えるとき他者理解他人の気持ちを想像したり、共感したりするとき創造的思考アイデアが“ふと”ひらめく瞬間など、論理的でない思考の流れ過去の記憶の想起昔の経験や出来事を思い出しているときつまりDMNは、「今この瞬間」から少し離れた“内面的で時間軸を超えた思考”を司るネットワークだと言えます。DMNとその他の脳ネットワークとの関係DMNは、以下の2つの主要ネットワークと対比されることが多いです。ネットワーク主な役割セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)論理的思考、タスク処理、集中状態(外向き)セイリエンスネットワーク(SN)注意の切り替え、重要情報への反応(司令塔)DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)自己内省、想像、記憶、社会的認知(内向き)これらのネットワークがバランスよく切り替わることが、健全な思考・判断・行動の鍵となります。DMNがビジネス・学習において重要な理由1. 創造的思考とひらめきの源意識的に考えている時よりも、意図せず“ふと浮かぶ”アイデアの多くはDMNから生まれるとされています。2. 自己理解と感情の整理リーダーやマネージャーに求められる「内省力」は、DMNの活性化と深く関係しています。3. 人間関係・共感力の強化他者の気持ちを想像し、関係性を築くための脳活動もDMNが担っており、対人関係の知性(Social Cognition)にも直結します。DMNの活性化を促す習慣・環境方法説明散歩単調な身体活動が思考を“解放”し、自然にDMNが活性化する瞑想・マインドフルネス内省や呼吸への集中が脳のモード切り替えを助ける空白時間の確保スケジュールに「何もしない時間」を意識的に入れる寝る前のぼんやりタイムリラックス状態での空想や記憶の整理が促進されるデジタルデトックス常時接続を避けて、脳が“入力から解放される時間”を持つことが重要DMNが乱れると起こるリスク過剰なDMN活動:うつ病や不安症などの「反すう思考(同じことをぐるぐる考え続ける)」の原因になることも低下するDMN活動:自己理解や共感力が低くなり、創造力も損なわれる可能性があるしたがって、DMNを適度に活性化させ、他のネットワークとのバランスを保つことが脳の健康と創造性の両立に不可欠です。まとめ:デフォルト・モード・ネットワークは「ぼーっとしているときの“脳の創造センター”」デフォルト・モード・ネットワークは、「何もしていないとき」にこそ働く、創造力・自己理解・共感力を支える重要な脳内ネットワークです。忙しさやタスクに追われる日々の中で、“意図的なぼんやり時間”を取り入れることが、本質的な成果や深い思考を生み出す鍵になるかもしれません。