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賃金デジタル払いとは?意味・使い方・実務での活かし方を解説
最終更新日: 2026-05-15 / カテゴリ: 報酬・労務 / 英語表記: digital wage payment
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はじめに
キャッシュレス決済の普及や働き方の多様化を背景に、賃金の支払い方法にも新しい選択肢が加わりつつあります。2023年4月の労働基準法施行規則改正により、一定の要件を満たす資金移動業者の口座への賃金支払いが認められたことで、いわゆる「賃金デジタル払い」が制度として動き始めました。本記事では、賃金デジタル払いの意味、活用シーン、運用上の留意点を、人事担当者の視点で整理します。
賃金デジタル払いとは?
賃金デジタル払いとは、現金や銀行口座への振込ではなく、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(いわゆるスマートフォン決済アプリ等を運営する事業者)の口座を通じて賃金を支払う方法を指します。労働基準法第24条第1項では「賃金は通貨で直接労働者にその全額を支払う」原則が定められており、銀行口座振込はその例外として認められてきました。2023年4月施行の労働基準法施行規則改正により、新たに「指定資金移動業者の口座」が振込先として位置づけられ、賃金デジタル払いが選択肢に加わりました。利用には、労使協定の締結、労働者本人の個別同意、上限金額(口座残高100万円以下)など、複数の要件が課されています。
賃金デジタル払いがよく使われるシーン
賃金デジタル払いは、主に以下のような様々なビジネスシーンで活用されます。
多様な雇用形態の従業員への給与支払い*: 短期雇用、外国籍人材、スポット就労など、銀行口座の開設が難しい層への対応として導入が進みます。
副業・兼業の報酬受け取り*: 副業先の報酬を本業の口座とは別に管理したい従業員のニーズに応える選択肢として活用されます。
若年層・新入社員の福利厚生*: 普段からスマートフォン決済を使う層に対し、ライフスタイルに合わせた支払い方法として提示できます。
企業の人事制度刷新*: 「働き方の柔軟性」を象徴する施策として、エンゲージメント向上や採用ブランディングの一環で導入が検討されます。
災害時・緊急時の前払い*: 通常の銀行振込が困難な状況での迅速な賃金支払い手段としても活用が想定されます。
賃金デジタル払いを理解することの重要性
賃金デジタル払いを正しく理解することは、人事の選択肢を広げるうえで意味があります。
人材獲得力の強化*: 多様な働き方を求める人材に対し、柔軟な処遇選択肢を提示できます。
法令遵守の徹底*: 制度導入には労使協定や個別同意など複数の手続要件があり、適切な理解が不可欠です。
リスク管理*: 資金移動業者の破綻時の保証スキームや上限管理など、運用面のリスクを把握する必要があります。
既存制度との整合*: 給与計算システム、社内規程、給与明細の様式など、関連業務全体への影響を見通すことが重要です。
実務で活かすためのチェックポイント
賃金デジタル払いを自社で導入する際には、次のような観点で確認すると、運用の精度が高まります。
- 厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者であることを確認したうえで、対応する事業者を選定する
- 過半数労働組合または過半数代表者と労使協定を締結し、対象労働者の範囲・取扱口座・支払開始時期等を明記する
- 制度を希望する労働者から個別に書面または電磁的方法で同意を取得し、口座残高上限(100万円)の管理方法を本人に説明する
- 給与計算システム・振込データの様式を改修し、銀行振込との並行運用を前提とした業務フローを設計する
- 資金移動業者の破綻時の保証スキーム、債権者保護の範囲、本人手数料の取り扱いを社内規程と就業規則に反映する
よくある質問(FAQ)
Q. 賃金デジタル払いを導入すると、銀行振込はやめなければなりませんか?
A. その必要はありません。賃金デジタル払いは、銀行口座振込や現金払いに代わるものではなく、追加的な選択肢として位置づけられています。労働者本人が同意した場合に限り、デジタル払いで支払うことが可能となり、同意しない労働者については従来通り銀行振込や現金で支払う運用が継続されます。また、同意した労働者がデジタル払いの利用をやめたいと申し出た場合、企業は速やかに従来の支払い方法に戻す義務があります。このように、労働者の選択権を尊重する制度設計が前提となっている点が大きな特徴です。
Q. 賃金デジタル払いを採用しないと、競争力で不利になりますか?
A. 現時点では、必ずしもそうとは限りません。制度開始からの期間が短く、指定資金移動業者の数も限られているため、導入企業は段階的に増えている状況です。一方で、若年層や多様な雇用形態の従業員を多く抱える業種では、福利厚生・採用ブランディングの観点から先行導入の意義が一定あるとされています。重要なのは、自社の従業員構成、人材戦略、給与計算システムの状況を踏まえ、導入の便益と運用負荷を冷静に評価することです。流行に追随するのではなく、自社の経営課題と接続する形での判断が現実的です。
まとめ
賃金デジタル払いは、労働基準法施行規則の改正によって新たに認められた賃金支払いの選択肢であり、指定資金移動業者の口座を通じた支払いを可能にする制度です。導入には労使協定の締結、個別同意の取得、上限金額の管理など複数の手続要件があり、銀行振込を置き換えるものではなく追加的な選択肢として位置づけられています。人材戦略・福利厚生・運用負荷の観点から、自社にとっての導入意義を整理することが重要です。
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関連情報
- カテゴリ: 報酬・労務
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